原題では「Cossic And Carnal Cell Activity」となっています。cosmicは「宇宙的な」という意味です。そして carnalは「肉欲的な」あるいは「物質的な」という意味の形容詞で、どちらかというと前者の意味が強いです。 これは「肉」という意味から出た言葉で、「謝肉祭」という意味のカーニバル(carnival)という言葉と関連があります。cellは「細胞」で、activityは「活動」です。それでcarnal cell(直訳は「肉欲的な細胞」)をここでは「肉体の細胞の」と訳していますが、もっと詳しく言えば「宇宙的な細胞」に対しての「非宇宙的な細胞」という意味になります。ですからそのように訳したほうがよかったかもしれませんが、それではあまりにも意訳になりますから「肉体の細胞」としました。
要するに宇宙的細胞と、非宇宙的細胞(肉欲とか物質的なものばかりに執着したがる細胞)というものが人間の体の中にあるというのです。人間の体の細胞はみな同じものだと普通の医学ではみられているかもしれませんが、アダムスキーによれば、宇宙的な細胞もあれば、肉欲的でわがままな非宇宙的な細胞もあるというわけです。このような区別は今の医学では全く言われていません。それをなぜアダムスキーが知っているのかといいますと、もちろんプラザーズから聞いたからでしょう。彼自身の独創的な発想ではないと思います。
意志を持つ細胞
最初に「細胞の活動」という小見出しがありますが、細胞というのは単なる死物ではなく、それぞれ生き物として活動しており、互いに知識や情報を交換し合っているのだというのです。これはアダムスキーだけが言っていることではなく、114ページのしまいのところに「1964年6月号のリーダーズダイジェスト≠フ195ページを読むとよいでしょう。この記事における科学者の次のような声弓は私の初期の陳述が正しいことを裏書きしています。『これらの進行する酵素は、細胞間の空間を越えて呼びかけては知識を交換し合う他の細胞の声なのであって、そのため無数の細胞が肉体を形成するように集合し、集団化や繁殖においては調和して活動し、適宜な所を得、特殊な各部を形成するのである』」とありますように、昔から言われていることです。この本の英文版を、会員のH氏が早稲田大学の図書館で見つけて、この記事の全文をコピーして私に送ってくれたことがあります。それを読みましたが、大変素晴らしい記事でした。しかし1964年の記事ですから、今の医学から見ればだいぶ古い知識になってしまったでしょう。今の分子生物学はもっとはるかに進歩していると思います。
とにかく細胞が生き物であって、お互いに声をかけては知識を交換し合い、ある細胞は心臓を形成するために集まり、ある細胞は肺を形成するために集まるというように、それぞれお互いの分担を決めているのだというわけです。これは実に神秘的な現象です。いったいどうしてこんなことが行われるのかということを考えていきますと何だかわけがわからなくなってしまいます。
霊界通信はウソ
そのように細胞は生き物であって、想念を発生し、知識を放っていますから、そのことを知るならばいわゆる霊界通信というものはすべて間違いであるということがわかります。霊媒が死んだ人の霊を呼び出して自分の体に乗り移らせてものを言わせるということがよく行われていますが、本当は霊媒の体の中のある細胞の知識・情報が増幅されて伝えられ、それが霊媒の口から出てくるのにすぎないのです。死んだ人間が乗り移っているのではないということです。
そういうことが115ページの「死者の霊が語るのではない」という小見出しのところに非常に簡単に書いてあります−「各種の心霊団体は『センスマインドが細胞の持つ知識と接触するとき何が発生するか』を知ってはいません。だから心霊団体は霊媒が感受する事柄は死者から来るものと思い込んでいるのです」と一。
そういう私も昔はそう思っていたのです。私は昔ある新興宗教の団体に属していたのですが、その団体がこういう霊界通信のことをしきりに言うものですから私もそれをうのみにして非常に関心を持って研究したりしたこともあります。
そういうわけで私はいわゆる霊界通信の現場を直接見たことが何度もあります。特に忘れられないのは私がまだGAPを始める前にーあるUFO研究グループの幹部をしていたのですがー九州から来た一人の女子中学生の霊能者と会ったときのことです。この人を東京へ連れてきたのは九州のアダムスキー研究家の方々〈男性〉で、私にぜひ、中学生の女の子が霊媒になって霊界通信をやるところを見てくれというわけです。そこで私は会揚である日本式旅館の大広間に指定された時刻に行きました。そしたらちょうど夏の暑いときでしたので5、6人の男の人たちはふんどし一つになって部屋の中でゴロゴロしておりまして、私が入って行くとあわてて腹ばいになって別の部屋へ逃げ込んで、ちゃんと着替えをしてから改めて出てきました。そのときの、ふんどし一つで腹ばいになって逃げるところが非常におかしかったのを私は今でもよく覚えています。
中学生の少女の名前は忘れましたが、非常に純真そうなかわいい娘さんで、ちゃんとみこの衣装に着替えて出てきました。私はその少女のすぐそばに座り、2時間ぐらいかけて見ていましたが、覚せい時はありふれた普通の純真な娘さんであったのが、しばらく正座しているとやがて一種のトランス状態に入っていきました。トランス状態というのはこうこう状態とも言いまして、自分自身がわからない失神した状態のことです。そうすると目がちょっとおかし<なってきて、普通は黒目が見えるのに、白目になります。そうすると何か光景が見えるらしく、l霊界の人と話し合っているようなことを座ったままでどんどんしゃべります。はじめはいかにも面白い話をします。目に見えない世界にいる人としきりに何か話し合っているのだなということがわかります。
しかしそのうちだんだん支離減裂になってきて、つじつまの合わない話になってきたのです。そこで私はこれは霊界通信ではなくて一種のうわごとを言っているような状態なのだなと思いました。ただし、せっかく私に見せるためにわざわざ少女を連れてきてくれたのですから、批判めいたことを言っては失礼だと思いまして、私は結局何も言わずに終始黙って見ていました。
これ以外の霊媒の人の様子を見たときも同じような状態になりましたので、私は霊界通信というものはいかがわしいものだということがわかり、だんだん信じられなくなりました。特にアダムスキー哲学を深く研究するようになってからは、そういうようなことは全然信じられなくなり、結局その心霊学や新興宗教とは別れてアダムスキー哲学1本に決めたわけです。
ところでこの『生命の科学』の原本が私に送られてきたのはアダムスキーが亡くなる少し前でした。それを読んだとき私は大変驚きました。そしてこれこそ本当に宇宙の法則を述べた本であることに間違いない、これ以上のものは世界中どこを深してもないのだと考えるようになりました。霊媒の解釈ひとつにしても、体の中の細胞が発する情報をもとに霊媒がものを言うのだと説いた本はありません。
ところがまだまだ守護霊だとか霊界だとかいうものを信じている人がたくさんありまして、またそれを利用して大金をもうけているあやしげな宗教家もたくさんいます。例えば最埠『守護霊を持て』というような本の広告が新聞に半5段で大きく出ています。普通の新聞は1ページが15段に分かれていますが、そのうちの5段を左石いっばい〈紛38cm)に使った全5段というスペースの広告料は1回で1500万円から、新聞によっては2000万円ぐらいするでしょう。その半分の半5段というスペースでも1000万円ぐらいすると思います。そんなに高い広告料を出してももうかる ̄のですから、いかにそういういかがわしい本が売れるかがわかります。そしてそれほど多くの人がそういう本を読んで惑わされているわけです。
守護霊とか高級霊のことを言っている宗教団体のすべてをけなすつもりはありませんが、はっきり言って間違いです。本当に頼るべきものは、霊媒や守護霊や死者の霊ではなくて、あくまでも自分自身の内部に宿る宇宙的な生命力ーすなわち”宇宙の意識”なのだとアダムスキーは言っています。それを徹底的に認識して、そういう生き方をする必要があると思います。
地球人は外来細胞のかたまり
それから115ページの9行目に「私が説明し得る限りでは、秩序ある(宇宙的な)細胞はそれぞれ周囲により小さな分子群を従えた1個の送受信局を持っています」とあります。 そして116ページのはじめには「この細胞を形成する数百の働きバチ(より小さい分子)は宇宙の根源そのものであって、中心の局の指令に従っています。それゆえ、心が自らを宇宙的な秩序ある印象にゆだねるならば、心にとっては分子群(働きバチ)から印象を感受することが容易となります。このことを知らない心霊学の学者は、そうした印象顆が死者の霊魂から来るものと考えていますが、いかにも霊が語るように思われるのは各細胞が独立した1個の実体であるからです」とあります。これはすごい知識です。このことを知っているのはこの『生命の科学』を読んだ人ぐらいでしょう。だからこそいまだに守護霊がどうのこうのと言われているわけですが、とにかくここに盛り込まれた知識というのは本当に宇宙的なものであり、スペースプラザーズ(異塁人)から伝えられた知識にほかならないと思います。
ところで細胞といいましてもすべてが宇宙的な細胞というわけではなくて、なかには「クセの悪い習慣細胞」もあるということが116ページのまん中あたりからあります。「ところが人体の内部には宇宙的な原理に反して働く細胞群があります。それは心によって創造された”習慣細胞”であって、自分たちの勝手な方法で自分を支配しようとしています。宇宙的な秩序ある組織体の中では恐怖は存在しません。人間が知っている恐怖なるものは心によって作られた外来細胞から来るのですc一また羨望、嫉妬、猜疑などを起こす多数の”外来細胞”もいて、それらは個人が宇宙的な目的と一体化しようとするのを妨害」しているということです。
ここの「外来細胞」というのは原語では foreign ce11s とあります。foreign というのは一般的には「foreign language(外国語)」というように「外国の」という意味で使われますが、「外来の」という意味もありまして、ここでは後者の意味になります。アダムスキーはなぜ「外来細胞」と表現したかといいますと、自分の心が作り出した、本来は存在してはならない習慣細胞であるからです。これは非常に重要なところです。
普通の地球人はこの外来細胞のかたまりであると言ってもよいでしょう。例えば酒が飲みたくてしようがないという、いわゆるアル中になってしまった人がいます。毎日飲んでばかりいて、飲まないときは手がふるえ、飲ませるとそれがピタリとやむというのがアル中の特徴ですが、そういう人というのは酒を欲しがる細胞で体の中が固められてしまい、そのために本人が酒を欲しがるわけです。
あるいはーこれはよく例にあげるのですがーあるスリの名人の話があります。このスリがあるとき警察につかまえられて、なぜそんなに何度もつかまえられながらもスリがやめられないのかと聞かれたら、そのスリは自分はもうやめようと思っているのだが、自分でも気がつかないうちにこの右手が勝手に他人のものを握っているのだと答えたということです。これなどは明らかに右手の細胞が、人のものを盗んで快感を覚えるという外来細胞の固まりになってしまったわけです。
ほかにもいろいろな悪癖を持っている人がいますが、それはすべて外来細胞(習慣細胞)のなせる業であるというわけです。
それではそういう外来細胞をたくさん抱えた人がその悪癖を治すためにはどうすればよいかといいますと、体の一部分を切り取る・・‥わけにもいきませんから、猛烈な信念によって宇宙的な思念を全身に吹き込んでやり、それによって次第に外来細胞をなくしていくよりほかに方法はありません。
病は想念から
そういう人間の悪癖を起こす外来細胞や医学的にはガン細胞と言われるような異細胞はすペて人間がつくり出した細胞です。それがどのようにしてつくり出されるかということについてはいろいろの説がありますが、ガン細胞などは人間の想念によってつくられると言ってもいいでしょう。というのも地球人の想念はダメになっていまして、ガンになるのは当たり前だと思い込んでいるからです。ガンというものは存在するものだ、ある程度年をとったりあるいは何かの拍子でガンになるのだと思い込んでいるものですから、その想念に乗じて何かよくない刺激を与えられると、そこにそういう外来細胞ができて、それがみるみるうちに繁殖するのだと思います。ですから結局、人間の想念によってそういう外来細胞(悪魔細胞ともいいます)をつくらないようにするということが最も重要になります。
そういうことが117ページのまん中あたりで「あなたは質問するでしょう。『センスマインド(心)は物を創造することができるのか?』と。できるのです。なぜなら心とは一原因の結果であるために心も同じ可能性を持つからです」と書いてあります。つまり何かによってつくり出されたものはまたほかのものをつくり出すカがありますから、心も同じ可能性を持つわけです。そして「嫉妬、憎悪などのすべては人間の創造物です。宇宙には本来そんなものは存在しないからです」とあります。これは素晴らしいところですね。宇宙全体を考えてみた場合、もともと嫉妬や憎悪というものが存在していたとすればこの大宇宙というものはできなかったでしょう。大字宙が完ペきな一つの意志(これをアダムスキーは”意識”と言っています)によってつくられたものであるならば、その中に含まれるあらゆる物質一人間も含めて−も当然完全につくられていなければならないはずです。しかるに地球人は憎悪や嫉妬に狂い、自分を減ほしたりします。しかしそれは宇宙がつくり出したものではなくて、人間が自分自身でつくり出したものにほかなりません。その理由は簡単です。憎悪や嫉妬をやたら起こす人がいる一方、同じ人間でありながらそんなものを全然起こさない人もいます。ということは人間は本来ないものをつくり出しているのだということになります。
ですからこれをなくすためには、もともと自分がつくり出したものですから、自分で自分をしかりつけてなくすよりほかに方法はありません。
>>第9課 2部へ続く |