心は何も知らない
55ページに行きますと「私が記憶と遺伝に関して科学的な発見のこの部分を引用するのは、このタイブの知性は心とは別個に働いていることを示すためです。しかし心は協力するためにそのことを知らねばなりません。こんなふうにして過去に何が起こったか、現在何が起こりつつあるかを心が知るわけです」とあり、その次にちょっと不可解なことが書いてあります。「この間題に関して進化した友星人が用いている装置類や図表などによって私が目撃した事柄を述べてみましょう。彼らの用いている方法は、地球の科学者のそれよりも簡単で、理解しやすくできています。一例として2本の平行線をあげましょう。1本は白で他は黒です。白い方は男性を表し、黒い方は女性を表します。
そして一定の時間的間隔をおいて2本の線は数字の8という字の形で互いに交差します。そして2本は絶えず能動的です。8という字形のなかに両者は目的に応じて7ないし9種類の異なる結合状態を生じます。こうした輪状を作った後、特殊なメッセージを帯びた使者が生まれます。この使者は次の段階がどのようになるかの設計図を持っていますが、自身を過去から切り離すことはしません。ここで記憶が運ばれます。記憶こそは永遠性を持つ、人間または他の個体の唯一の部分です」。この記憶というのは遺伝子の持つ遺伝情報とは別なことではないかと思います、よくわかりませんが〜。ここは、アダムスキーが金星へ行って金星の科学研究所あるいは学校のようなところで見た光景のことが書いてあるのだと思いますが、この文章だけでは8の字を描いて交差するというものが何を意味しているのかよくわかりませんね。
そして55ページの最後のところに「これが、人間の"意志"が右の過程の"意志"に身をゆだねなければならぬ理由です」とあります。「人間の"意志"」というのは言いかえれば心の意志であり、早く言えば心(マインド)です。「右の過程の"意志"」というのは細胞の中のある実体が発する意志あるいは波動というものでしょうから、結局そういうものに心を調和させなければならないということをここで言つているわけです。難しいですねえ、なかなかー。
それから56ページのはじめにば「前述のように友星人は数千年間右の知識を持っていて、それを応用しています。人間が真の自我を知ろうとすれば右の知識は根本的に重要です。右の知識の中に生命の絶対的な確実性があるからです」とありますから地球でも分子生物学がもっと発達して細胞内に潜む実体と人間の心との関係を科学者がもっと深く研究して解明してくれないことには、人間の本当の精神的な向上というものはあり得ないのではないかと思います。そういう知識を持たずに、やれ愛の精神がどうのこうのと言ったところではじまりませんね。
そして4行目を見ると「われわれはみな自分の肉体何で何が起こっているかについてほとんど知っていないという事実を認めねばなりません。しかしある種の知識が肉体を通じて働いていて、『どうしたらよいか』を心は知らないのに肉体は知っているということがわれわれにはわかっています」とあります。これの一番よい例は眠っているときです。睡眠中に心は眠っているーというよりは休息しているのですが、その最中にも宇宙の意識というものは人体を働かせています。しかし心はそのことを何も知りません。ですからこの例を見ても、人体に宿る神秘的なカあるいは英知というものと人間の心とは全く別問題だということがわかります。もっとも心がかなり発達した人は何か不思議なテレパシツクな印象を受けることもあるわけです。私たちもそういう能力を開発して行くためにもこの『生命の科学』を研究しているわけです。
睡眠といえば私は眠っている間に大いびきをかきます。ときどき自分のいびきで目が覚めるほどの大いびきです。それで家内の話によれば、いびきがあまりに大きいので隣の部屋から「やかましい!」と声をかけると、途端に私はいびきをやめるのだそうです。だから家内は、聞こえているのじゃないかと言っていますが、私は眠っていますから全然気づいていません。これは私の心ではなく、別な何かが隣から来る声をキャッチして、いびきをやめさせるように働きかけているのだと思います。ですからやはり心は眠っていても人体内部や何か別な動きがあるということが言えます。
しかし普通は心というものは人体内部の英知に気づいていません。だから、心(マインド)をもっともっと敏感にさせるためには内部に宿る宇宙の英知・カというものに感応するようにしなければいけないということをアダムスキーが声を大にして言っているわけです。
そこでそのためにこうい哲学を勉強されるのは大変結構なのですが、さらに理解カを深めるためには分子生物学や医学を、初歩的でいいですから勉強されるのがいいですね。そうすると人間の体はいかに素晴らしいものであるかということがよくわかってきます。そのために最適の参考書というのがなかなか見当たりませんが、タイムライフ社の『ライフ・人間と科学シリーズ』(全25巻)のなかの『細胞と生命』(3900円〉と題する一巻は素晴らしい本です。これは外国の本を訳したものですが、昨年全部改訂したそうですから最新の知識が盛り込まれているはずです。写真や図もたくさん出ていて非常にわかりやすく書いてありますからお読みになって下さい。
地球の科学の進歩
それでこの本〈『細胞と生命』〉の序文にアメリカのロックフェラー大学のルネ・デュボという学者が次のような素晴らしいことを書いています。
「単細胞のユーグレナが暗やみのなかで数日間、まるで太陽が昇ったり沈んだりするのを知っているかのように生活するという驚くべき事実が示されている。ユーグレナだけではない。どんなに原始的であってもすべての細胞は宇宙からのカを感じ、いまだわたしたちにはわからない機構によってそれに反応している」
こういう一流の学者が、あらゆる細胞は宇宙から来る何かのカを感じて生きているのだと言っているぐらいですから、アダムスキーの言っている、宇宙の意識があらゆる動植物を支配して生かしているということも間違いないでしょう。
このように地球の科学もどんどん進歩していますが、しかしそれでもわからないことはまだあります。例えば糖尿病を治す特効薬として有名なインシュリンというのがありますが、これはすい臓で自然に生産されるものです。だから人間はそう簡単には糖尿病にならずにすんでいるわけです。しかし何もすい臓の中だけでなく、例えば胃袋の中でインシュリンが作られてもよさそうなものですが、すい臓でしかできません。それをいったい何者が指令しているのかということになると今の地球の科学ではわかりません。永遠のナゾというほどのものではないでしょうが、巨大なナゾですね。
それはともかく糖尿病患者にとってインシュリンは非常に重要なもので、今では供給が需要に追いつかず、人体からのインシュリンだけでは間に合わないので、ウマやブタなどの動物のすい臓からもインシュリンを取り出し、薬品にして供給しているという状態のようです。しかしさきほども言いましたように、DNAの組み変えということまでできる時代になってきましたので、将来はこれを利用して大量にインシュリンをつくることもできるでしょう。つまりインシュリンをつくるような遺伝子を別な細菌に組み込んで大量に生産すれば大量にインシュリンができるということになります。例えば大腸菌というのは20分ごとに分裂を行いますから、1回の分裂ごとにものすごい数で増えていきます。そこでこれにその遺伝子を組み込んで、最終的にこの細菌の生産したインシュリンを取り出して精製すればよいわけです。
それから今、ガンを治す薬としてインターフェロンというものが注目されていますが、このインターフェロンというたんばく質は動物の遺伝子で作られることはわかっていますから、その遺伝子を組み変えて細菌に大量に生産させようという研究が続けられています。
ただし、いつか科学雑誌でインターフェロンの記事の翻訳を顧まれたことがありますが、それを読んだ限りでは、これで確実にガンが治るというところまではまだ行っていないようですね。
そういう遺伝子工学というものが非常に発達してきていますから、誤用されればとんでもない生物が作られるかもしれませんが、反対に良く利用されるならば人類に偉大な恩恵をもたらすことにもなるでしょう。人体の秘密というものは無限にあると言ってもよいほどでしょうが、とにかく科学界の今後の研究発展が大いに期待されます。
すべては自分自身
さて57ページに行きますと「テレパシーを開発するには」という小見出しがありますが、これに続く5行ほどは『生命の科学』の中で最重要な部分のひとつだと思います。何と書いてあるかといいますと「この大いなる英知と共に働くに際して友星人が用いる方法は、心のかわりに自己の意識でもって万物を観察することにあります。わかりやすくいえば、彼らは観察される個体があたかも自分であるかのようにその個体について意識的になるのです」とあります。ここの「観察される個体」というのは動物でも植物でも無生物でも何でもいいのですが、進化した惑星の人々は、それが「あたかも自分であるかのようにその個体について意識的になる」というわけです。これは大変重要なところです。つまりここで「愛」という言葉で表現される考え方が出て来るわけです。「愛」というのは「一体性」ということですから、したがって「愛」を「愛する」というふうに動詞で言えば「相手との一体性を感じる」という意味になります。「相手」というのは男女のことも含まれますが、そればかりではな<て、目に入るあらゆるものです。それが自分自身だというふうなフィーリングを起こせということです。これがテレパシーの能力を開発するための基本として最大のカギであるようです。ですからいかなる人を見てもみな自分自身だというふうなフィーリングで見なければいけませんし、動植物についても同様です。
バック・ネルソンが金星の円盤に乗せられる直前に金星人から伝えられた宇宙の法則の冒頭に、空を飛ぶ小鳥から地面をはう虫けら1匹に至るまで愛しなさいというような法則がありましたが、(日本GAP機関誌『OAPニューズレター』73号参照)まさにあれですね。そしてこういうテーブルとかイスとかジュータンとかあるいは自分の着ている衣類などの無生物についても同様のフィーリングを起こしなさいということをここで言っています。「無生物なんて生き物じゃないからそんなものを自分自身と思えなんていわれたって無理な話だ」と思われるかもしれませんが、それは地球人のマインドによる考えにすぎません。そんな状態をはるかに超えて、ありとあらゆるものを自分自身だと見るようなフィーリングを起こすときに初めて本当のテレパシックな能力が開発されるのではないかと思います。もっとも私がそういうふうにやったというわけではありません。私はまだまだ俗物ですから、なかなかそんなフィーリングは起こりませんが、ここはどうもそういうことを言っているようだということです。
これを口で言うのは簡単ですが、実際にこのフィーリングを起こすのばなかなか難しいですね。しかし私はそういう練習はやっています。どうやるかといいますと、まず自分の意識がどんどん拡大していつて地球全体とだぶり、さらに太陽系全体に広がっていき、それが銀河系全体に広がり、さらに宇宙全体に広がってゆくというようなフィーリングを起こすわけです。それでこれをやる前に「大宇宙は私であり、私は大字宙だ」というような言葉を唱えます。今年の年晋状にこれを印刷して配りましたが、あれはだてや冗談で書いたのではなく、実際に私のミラクルワードとしていつも唱えているものです。その言葉を唱えて「万物は私だ。存在するものはすべて私自身だ」というようなフィーリングを高めるのですが、なかなか難し
いですね。
それでこれを私はだいたい夜、寝床の中へ入ってから実習します。私はあまり寝つきがよくありませんので、その時間を利用するわけです。これを毎日やっています。ただし日中は仕事が忙しかったり、あるいはいろいろな想念がわき起こって来て落ち書きませんのでそういうフィーリングを絶えず起こし続けることはなかなか難しいですね。
それで、あまり人間が多いとうまくいかないという方もいらっしやるようですが、私自身は多勢の人間を見ることが好きなものですから、こういう東京の大都会のド真中で無数の群衆を見るとむしろ楽し<なってきます。「素晴らしい生命体がここにたくさん存在しているのだ。みんな私だ」というふうに見てしまいます。新宿とか有楽町あたりの盛り湯の大群衆を見ると本当に楽しくなってきます。
先月も言いましたが、こういうフィーリングを起こすと注意力散漫になったような、ちょっとボーツとした状態になってきて、ときどき失敗をやることもあります。私などは一時自分の家の電話番号さえ忘れてしまい、(一同笑)外から家へ電話をかけようとして番号を思い出せないということもありました。しかしそれを過ぎれば今度は自分が非常に敏感になってきているのがハッキリわかります。これがテレパシックな感知カが増してきたしるしではないかと思います。
自分なりの方法で
とにかくこの第4部で最も重要なのは、この57ページの「テレパシーを開発するには」という小見出しのついたところです。このわずか5行の文章のなかに、一般の地球人が全く考え及ばないようなことが圧縮されて書いてあります。これをどのように生かされるかはみなさんのご自由ですし、また人それぞれ段階が異なりますから、自分なりに無理のない方法を考えておやりになって下さい。
また、「自己の意識でもって万物を観察する」というところの「自己の意識」という言葉がどうもピンと来ないというのでしたら、「意識」を「愛」に置き換えて「自己の愛」と言ってもよいでしょう。それは言葉の問題であって、実体さえ把握していれば何と表現しようと一向に構わないと思います。ですから"宇宙の意識"というのも"宇宙の愛"と言い換えてもいいですね。結局両方とも一体性を表す言葉ですから
まだまだしゃべりたいことがたくさんありますが、時間がまいりましたのできょうはこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
(1982年4月3日 東哀文化会館にて) |