原文に忠実な訳
「万物の相互関係」というのは、原題では「TheRelationship Of All Creation」 となっています。 「All Creation」が「あらゆる被創造物」で、「Relationship」が「相互関係」ですから「あらゆる被創造物(万物)の相互関係」というふうになります。 この「万物」というのは all tings とも言えますが、しかしそれでは「この部屋の中にあるあらゆるもの」というような意味にもなりますから、意味の範囲が狭くなります。ですから「宇宙全体のあらゆる創造物」という揚合にはall creationと言うわけです。
それから最初のところの「先課では、混乱をなくすためにできるだけ簡潔に万物の相互関係を説明しようと述べました」というところの原文はどうなっているかといいますとIn tbe last lesson we stated that we vould explain the relation ship of all creation as simply as possiblein order to eliminate confusion.というふうに書いてあります。これがまさにここに訳してある通りの意味になるわけです。ですからここは全体が非常に忠実に訳してあるということがこれでおわかりになると思います。
宇宙は"無い"
さて、46ページのしまいから5行目のところを見ますと「このガス状の中に最高の活動が存在しています」とあります。これは、宇宙空間に物質ができるときは、まず最材にガスのようなものができて、そしてそれが化合したり分離したりして最初はほんの小さな物体になり、それがだんだん大きくなっていって、遂には大きな恒星になり、惑星もでき、さらに銀河系もできるのだということを言っています。
しかしその銀河系も永久に不滅であるかというとそうではありません。かなり長い斯間宇宙空間に一銀河〈星雲ともいいます。これは「銀河系」というふうに系の字をつけると私たちの銀河系だけを意味することになるので、よその星雲は系の字をつけずに「銀河」というのが正しいのだそうです)が存在しますが、しかしそれもやがてはなくなります。あらゆるものが生じては滅し、生じては減しということを繰り返しています。
ですから結局はこの前の松山支部大会(3月21日)でお話したように、宇宙というものは何も無いということになるわけです。哲学的な意味でそうなるというよりも、本当に無いんですね。私たちにはいかにも何かが存在するように見えますが、それは変化する姿の瞬間瞬間を私たちが認めているにすぎません。今は『生命の科学』の解説講義の時間ですからあまりこういう宇宙論を詳しくお話できませんが、とにかくそういうふうに宇宙というものは本来何も無いのです。しかし人間の側から見れば変化する姿として有るように見えます。ですからある意味では有るといってもいいでしょうが、本当は存在するように見えるだけです。
例えば今の一瞬間において私たちにはこの東京文化会館という建物が存在するように見えますが、これはいつかは無くなってしまうものです。それからこの部屋にはたくさんの方々ー100名ぐらいでしょうかーがいらっしゃいますが、これも存在するように見えるだけで、いつかはみなさん方も今の姿のままとしては消えて無くなります。そう遠くないでしょう。せいぜい100年もすればここにいる方々はだれもいなくなっているはずです。もしこの建物がまだあれば、また別な人がここへ来てこういう研究会を開くかもしれませんが−。とにかくそういうふうに人間は変化していくだけです。そして生命だけが永続します。
このように、宇宙空間というのは絶対的に存在するというものではないようです。そのことを念頭に置き、そして『生命の科学』の中でアダムスキーは、目に見える側のものの働きを説明しているわけですから、そのような解釈をすることにします。
空間の活動
47ページのしまいから4行目に「物質の出生地は空間である」とありますが、当然そうです。ただしこの空間というのは非常に難しい問題で、普通私たちは空間とは三次元空間の広がりだというふうに考えますが、実際はそんなものではなくて、ものすごく難しいらしいですね。例えばアインシュタインの「重力場方程式」という難しいのがありますが、これをソ連の科学者のフリードマンが解いたところ、解が3つ出てきたということです。その2番目に、「宇宙空間には何もない」という答えが出ています。もっともこれはあくまで科学的な研究結果であり、私は別にそういうことと関連づけて言っているわけではありません。
とにかく空間というのは大変難しい問題ですが、ここでアダムスキーが言っている空間というのは目に見える3次元空間のことです。その空間からあらゆるものが生まれ出て来るということは間違いないでしょう。それがどのように行われるかということが48ページから49ページに書いてあるわけですが、つまり最初にガス状、それから液状となり、さらにそれが凝固して物体となっていくということです。
それから49ページのしまいのところに「あらゆるガス類はいくども周期をくり返してゆく可能性を帯びています」とあり、さらに50ページヘいきますと「そのことは元の状態にあるガス類は不変であるように見えますが、一方固体は発生したり消滅したりしているのです」というふうに書いてあります。だからあらゆるものは本来はないものだということになるわけです。
ところが「原因は不変」であると50ページの小見出しにあります。つまり何か物を作り出そうとするエネルギーまたは英知、あるいはアダムスキーの言う意識というものがどこかに存在していて、それによって物体が生じ、あるいは滅しということが繰り返されているわけですが、その原因となるものは不変であるということです。
そして50ページの11行目には「最初の二つの段階においてはある種の英知が現象の背後の指令者であったことをすでに述べました」とあり、51ページの14行目には「永続する唯一のものは"宇宙の意識"と材料なのであって、これは絶えまなき活動と更新の過程を通じて働いています」というふうに書いてあります。ですから現象界というものを絶対視しないことが大事です。そしてあらゆる現象は変化するものであり、私たち人間も常に変化しているということを認識しなければなりません。
細胞は変化している
「しかしそうはいっても、ある人間を見ても、きのうときょうとで別に変わりないじゃないか」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。ご承知のように人体をはじめ、あらゆる動・植物は細胞からできています。例えば人体にはどれぐらいの細胞があるかといいますと、60兆です。1兆と言っただけでもちょっとピンとこないほどの数字ですが、60兆というのですから気の遠くなるような数ですね。さらに驚くべきことには、人体内で1秒間に5000万という細胞が死減しているんです。カチッ、カチッ、という間に体の中で5000万の細胞が死滅し、同じ1秒間に新しい細胞がやはり5000万生まれてくるというような変化が繰り返されています。すさまじいものですね。これで人間の体は絶えず変化していることがわかると思います。
ところで1個の人体細胞がどれぐらいの期間持続するのかというと、それは細胞によって違うけれども、神縫細胞の場合にはだいたい1カ月ぐらいだろうということです。ですから1個の生き物としての細胞の生きている期間というのは非常に短いものです。
このように人体内で絶えず起きている変化に自分の心(マインド〉は気がつかないのですが、しかしそれにもかかわらず細胞をどんどん死滅させては新しい細胞と入れ換えるように指令している何かがあります。それがすなわちアダムスキーの言う"宇宙の意識"というものです。
記憶とテレパシー
それから52ページの「知識を感受する方法」というところでは「生命体の体験の記憶は、その個体の細胞内の各分子内に記録されるということを最近科学者が発見しています」とあります。体験の記憶が記録されるということは、遺伝子のこととはまた別なことだろうと思います。詳しいことはよくわかりませんが、つまり、私たちが体験によって記憶するものは、その細胞の中の名分子内に記録されるのだという意味だろうと思います。
そして「これが過去・現在の活動の記憶の型や未来の活動のための記憶の型を運んでいる」というわけです。ということは「分子群から確実に与えられている意識的な印象類」とあるように、今度は逆に細胞内の分子がその知識をマインド(心)に与えようとしていますから「自分のせんさく好きな心を服従させる方法を会得している意識的な警戒性を持つ人は、多くの知識を感受することが可能であるという事実がわかってくる」というわけです。これが本当のテレパシーでしょうね。
それから「われわれはサイコメトリーに閑して多少とも知っています」(p.52、14行目)とありますが、サイコメトリーというのは、物品に触れてその性質由来などを感知する能力のことです。これの偉大な超能力者として有名なのはオランダのピーター・フルコスという人で、日本にも以前来たことがあります。この人は、例えば何かの犯罪があった場合にその犯罪の現場に残された品物に手を触れると、犯人は男か女かというようなことからどこに隠れているかというようなことまでわかるそうです。いつか日本の殺人事件を警察と一緒に捜索したのをテレビで見ましたが、あのときは当たりませんでしたね。さすがの被も100パーセントは当たらないようですが、しかしあれだけの能力があればたいしたものだと思います。
本当の超能力者というのはそうたくさんはいませんが、今のピーター・フルコスとかブラジルのアリゴーあたりは偉大な超能力看ですね。
53ページに行きますと4行目から「この印象類はこれまでに体験を持ってきた分子から波動となってやって来るのです。この徽小な記憶分子は実際には人体を維持し心を指導する意識的実体です。それらはかつて存在した、またはいま存在しているすべての物を"知る者”」だとあります。 "知る者”というのは英語では「知るlという動詞のknowにerをつけてknowerといいます。
それでこういうようなところになりますと、今の普通の科学や医学ではわからないことがここに書いてあります。言ってみればこれは21世紀の医学または科学を先取りしたようなものだということになるわけですから、私などがなまはんかな科学知識を振り回して説明したところでどうしようもないですね。
驚異のDNA
それから53ページのしまいから6行目には「これは真の"宇宙的な自我"です。この発見は他の惑星の兄弟の援助によって行われてきたのですが、地球の科学者はその価値や潜在性に気づいていません。一部の科学者はそれをDNA(デオキシリボ核酸)及びRNA(リボ核酸)と名づけています」とあります。要するに細胞の中の染色体に潜んでいる遺伝子のことが書いてあるわけです。これは一部の科学者どころではなく、今では科学界で公然と知られていることです。既に高校ぐらいで教えられているはずです。
それで、その遺伝子に、人間の実体ともいうべき何かが潜んでいるというようなことが述ペてありますが、確かにDNAというものは超精密なものです。今の医学は DNAの組み変えができるほどに進歩していますが、それならDNAをだれが作ったのか、どこから指令が来てできあがったのかということまではわかりません。
ところでこの DNAというのは最近発見されたものかというとそうではありません。1868年にドイツのヘッケルという学者が最初に遺伝の座というものは細胞の核の中にあると考え、1869年にフリードリッヒ・ミーシャーという学者が核酸の一種であるDNAというものを発見しました。核酸というのは細胞核の中の酸という意味です。彼はこれをヌクレインという名で呼びましたが、その機能に自分ではまだ気がつかなかったということです。ところが1892年にアール・プレヒト・コツセルという学者がもう一種類の核酸であるRNAを取り出して、そこから4種類の成分、すなわちアデニン・グアニン・シトシン・ウラシルという物質を抽出することに成功しました。1892年というと明治の中期ですからずいぶん昔からこういう問題が研究されていたということがわかります。そのころにこんなことをやった学者がいたというのは私たち素人から見れば驚くべきことです。
近代になってからはアメリカのワトソンや共同研究者のクリックという人がDNAの構造を完全に解明して1962年度のノーベル賞を受賞しています。ついでながら、その年のノーベル文学賞受賞者は「怒りのブドウ」などを書いたジョン・スタインベツクでした。
DNAというのは左の図のように、らせん形を成す柱のようなものを4本ずつの塩基がつないでおり、はしご状になっています。これが全ての細胞の中にあるわけです。この横木のような塩基という部分にはものすごい真の情報が含まれていて、1個の細胞の中のDNAが持つ情報というのは、何十巻もある世界大百科事典をさらに数セット集めたはどの情報量だそうです。このおかげで人間からは、あくまで人間が生まれ、イヌからはイヌしか生まれないというふうに種というものが保たれるのです。つまりここに生命の機能が見事に縮小されて内蔵されているわけです。
ところで1個の細胞の大きさはどれぐらいあるかといいますと、だいたい100万分の1センチです。この非常に小さいものの中にコントロールセンターがあったり動力工二嫁があったりします。そして内部交通も行われており、建設をはじめ各種生産単位があり、さらにコンピューターや設計部門・設計主任・管理委員会などがそれぞれの細胞の中に含まれているのです。
ですからひと口に細胞、細胞と言いますが、こうして1個の細胞をとりあげても驚異的な存在であることがよくわかります。
それから人間の細胞の中のDNAをつなぎ合わせると一人分で約90センチになるそうです。そしてはしごの横木のようなもの(塩基〉は全部で90億段にもなるそうですね。しかもそういう細胞が60兆も体の中にあるというのですから、これで目を回さない人はどうかしてますね。むしろその膨大な数字のためにボーツとなるかもしれません。
これほどまでに超精密な人体を作りあげたものは何かということについて、アダムスキーは、すなわち"宇宙の英知"あるいは"宇宙の意識"というべきものがその創造者であって、これに気がつかなければいけないということを耳にタコができるはど言っています。
しかしいくら地球の科学が進歩したとはいえ、DNAやRNAを完ぺきに理解し尽くしたとは言えないでしょう。まだまだわからないことがたくさんあると思います。しかし進化した惑星の人たちはそれを知っていてすでに応用しているに違いないと思います。
それから54ページヘ行きますと5行目に「進化した惑星上ならば、生命の研究において、おそらくDNAの半分は女性部分と考えられ、他の半分は男性部分と考えられるでしょう」とありますが、こういうことは今の分子生物学ではまだ言われていません。こんなことを書いてある分子生物学の参考書を私は知りませんね。ですからこれは明らかに別な惑星の科学であって、それをアダムスキーが聞いて、ここに書いたに違いないと思われます。
そしてその次に「この2つの部分のあいだには不変の関係があって、それはRNAと呼ばれる使者を生み出します。この使者が個体の型に応じて遺伝の情報または種に関する指示を与えます。これでおわかりのように、三位一体が存在するのです。DNAの二面とRNAの一面です。また、DNAの二面は種に関するメッセージを帯びたRNAを生み出すこともわかります」とありますが、つまりDNAがコピーされてRNAとなって分離して行くということです。その後はアミノ酸などが働いていろいろなプロセスが起きて行くわけですが、とにかくここでアダムスキーが細胞というものを非常に重視しているということは注目すべき問題です。テレパシーの本当の印象は細胞から来るのだと言っていますが、確かに細胞というのはちょっと分子生物学をかじっただけでも気が遠くなりそうなほどのすごい内容になっていますから、やはりここから波動が来るということは間違いないだろうと考えられます。
>>第4課 2部へ続く |