■ 過去生を思い出す方法
---その記憶はどのようにしてわき起こるのか。覚醒してから何をしゃべったか分からないような催眠状態におちいったときか。
「私は催眠状態におちいらない。あなたは自分自身を訓練し、自分の心、感覚器官などを静めて、内部の意識の声に耳を傾ければよい。これにはほとんど時間はかからず、すぐやれることだ。 これが意味するところは、あなたは自分で自分の心を沈黙させることによって空自状態にし、無干渉の状態にするということだ。
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▲6インチ反射望遠鏡を使用して低空に降下した円盤を撮った珍しい写真。上部に見える雲は機体内の磁極の転換の際に生じる人工的な雲。この方法により機体を意のままに雲で包むことができる。縁が欠けたように見える部分はフォースフィールドの作用によるもの。 |
たとえば、あなたは友人たちと教室の中で語り合っているとする。そして友人たちから何かについて意見を聞かれたとしよう。あなたは自分の意見を他人に書きとめてもらうかもしれないし、そうしないかもしれない。だが、ここで確かなことは、心が如何に邪魔をするかという事実だ。
あなたが何かの問題で話し始めるとする。するとあなたの心は次のように言うだろう。『おい、おまえは大丈夫かい?』
そこであなたは話すのをやめて疑問を起こすと、想念の流れを失ってしまう。しかしあなたがそれを無視して気にしないで話し続ければ、心はイライラするけれども、もう疑問を起こさない。というわけは、あなたが話し続けるあいだ、あなたは心が邪魔をしようとしていたことを知ったからだ。そして今まで読んだことも聞いたこともないような想念がわき起こってくることに気づく。
こうした想念の多くは過去生の体験からやってくるのだ。たとえばあなたは音楽家になるような教育を受けたことのないような子供であるとする。あなたはバイオリンを取り上げて、最高のバイオリニストよりも巧みに演奏をし始める。人々は驚いてあなたを天才と呼ぶ。だがあなたの家系に音楽家は全然いない。これはつまりあなたの過去生のバイオリニストであった体験の記憶がよみがえったからなのだ。
われわれが人生で行なう物事は何であっても、どこかで学ばねばならない。そして人間に同じように行動させ、自分でやれるだろうとは思わなかったような物事を成しとげさせるのは"記憶"なのだ。
こうした物事のすべてはどこかで先に経験しておく必要がある。人間は経験によって成長し生きるからだ。その経験がどこから持ち越されるにせよ、すべての物事は経験がもとで行なわれる。だからあなたはまず経験を持たねばならない。その後でその事が言えるのだ。
たとえば、どこにも存在しない物事について、あなたはどうして意識的になれるだろうか。なれるはずはない。本来存在しないからだ。存在しない物についてあなたは考えることはできない。」
■ 存在と非存在について
---そうすると、存在しない物について、人間はどのようにして考えることができるのか。
「存在しないものについて人間は考えることはできない。なぜならそれはないからだ」
---私が『存在しない』という場合でも、それについて考えているのだが−。
「あなたは『私は存在しない物について考える』と言う。よろしい、われわれはそのことを言ったとたんに、それはすでに存在しているのだ。われわれが何も言わない場合、それが具体的な物事でない限り、それについて言うことはできない。その"無"であるものが自動的に"有"にならねば、われわれはそのことについて言うことはできない。
われわれの定義や言葉はときとして非常に混乱する。われわれはときとして感じるように、自分で表現することができないし、表現するべき言葉を見い出すこともできない。だが、それこそわれわれが混乱するところなのだ。
というのは、われわれが何も言わなければ、それは決して存在しない物を意味することになる。『存在しない物』というのがわれわれの説明できる唯一の言葉だ。あなたはその 『存在しない物』をイメージとして描くことはできない。それについて言うことさえもできない。なぜなら、あなたがそれについて言ったとたんに、存在する何かについて言ったことになるからだ」
---そうするとあなたはゼロ点が宇宙にあったと言うのか。
「ゼロ点というものは宇宙に存在しない。おわかりかな、ゼロというのはすでに具体化しているものなのだ。もしゼロが存在しないものならば、あなたはゼロを作ることはできないだろう。あなたがゼロを作ったとたんに、すでにあなたは何かの具体的な物を持ったことになるのだ。」
■ 記憶こそは自分自身の身元証明
---ふたたび転生の問題に返りたい。 転生は他の惑星群のみならず、地球やその他宇宙の全惑星群でも行なわれるのか。
「そのとおり。それは宇宙全体で永遠に行なわれるのだ。かりに500億個の惑星があるとして、その全体を1つの大学とすると、500億個の惑星はそれぞれ教室ということになる。あなたも私もそれらの各教室を通過することになるだろう」
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▲アダムスキーの父 |
---しかし一人の人間が一つの同じ惑星上で何度も転生することはあるのだろう?
「それはある。あなたが次の学年に進級できるほどに学んでいなければ、翌年も同じ学年にとどまるのと同じ事だ」
---われわれが過去のことを忘れた場合、どのようにすれば発達できるか。
「うまく思い出す方法をひとたび学びさえすれば、あらゆる事が元に戻ってくるだろう。われわれはこの世界に生まれてくるが、地球の一般人は転生などを信じない。人々は重要でもない多くの物事をわれわれに押しつけてくる。前にも話したように、われわれにとって重要なのは、できるだけ多くの物事を記憶しようとすることにある。記憶こそは人間が常に持ち運ぶ唯一の身元証明なのだ。これ以外に身元証明は必要ない。名前などは意味のないものだ。転生しても外観は同じような、または似たような姿であるかもしれないが、過去生のある時代のある生涯の一人物が自分自身であるか他人であるかを気づかせてくれるのは、やはり記憶なのだ。これ以外に方法はない」
---あなたは前生のことを記憶しているか。
「記憶している」
---どんな人物で、どこにいたということが分かるのか。
「分かる。かなり遠い過去までさかのぼることができる。私は父親と母親の楽しみを台なしにした理由を覚えている。父親はある貴族の娘と結婚することになっていた(訳注=アダムスキーのお父さんはポーランドの王族の出身。後にアメリカへ移住した)。
父は軍人で将校だった。あるとき軍事演習に出かけているあいだに一人の女の子と関係して妊娠させた。兵隊がよくやることだ。体面上、父はその女の子と結婚するハメにおちいった。そして私が(アダムスキーが)生まれた。だから私は父の楽しみを台なしにした理由を記憶しているのだ。父もそのために私を好まなかった(笑い)。これで分かるだろう。記憶が最重要なのだ。 (訳注=以上は、ジョージ・アダムスキーという人間をこの世界へ転生させるために父親が貴族の令嬢と結婚するという楽しみを失うことになったのをアダムスキーがユーモラスに語ったもの。つまりアダムスキーがこの世界へ転生するには何かのカルミックな理由により貴族の令嬢よりも別な女性が必要であったという意味あいが含まれている。 その女性すなわちアダムスキーのお母さんは古代エジプト王朝の流れを汲む人で、東洋哲学に関心が深かった)
■ 金星に転生した亡き妻との再会
私は第一次大戦中の1917年に妻と知り合った。最初にデートで出かけたとき、2人は空の星々について語り合ったのだが、そのとき彼女は次のように言った。『私が死んだら次は金星で生まれかわりたい』。だが私はべつだん何とも思わなかった。
私たちは結婚して36年間、一緒に暮らしたが、ときどき妻は金星に生まれかわるのだと言っていた。
1954年に妻は突然亡くなった。それで私はメリーは思いどおりに金星に転生したのかなと考えていた。当時アメリカのテレビによくでていた有名な俳優のジャック・マホーニーが私の家にやって来たので、そのことを話し合ったら、彼は言った。『奥さんはたぶん金星で生まれかわっていますよ』1952年に私が最初にコンタクトした男(金星人オーソン)が私の所へ来て言った。『あなたは疑っている』 そこで私が言った。『いや、疑ってはいない。どうしたのかなと考えているのだ』
すると相手は言った。『あなたの奥さんは金星で生まれかわった。彼女が地球で最後に目を閉じた瞬間、金星で赤ん坊として目を開いたのだ』
でもまだ私は少し考えていた。そこで相手が言った『彼女が金星で成長して少し大きくなったら私は彼女を宇宙船に乗せて地球へつれて来るよ』
人間は一生涯を終えて次の生涯に経るまでに時間のロスはない。転生は瞬間的に行なわれるのだ。このことはイエスも言っているし、ヒンドゥー教の哲学でも言っている。
私はその間題を少し考えてから自答した。『われわれが生命と呼ぶパワーまたは英知は、決して停止することはない。万物は常に動いているのだ。それは他のあらゆる物を動かすので、停止する理由はない』と。 (訳注=人間の実体『意識』は肉体が死んで平均3秒で次の新しい肉体に移行する。それは赤ん坊が母親の体内から外へ出た瞬間に行なわれるとアダムスキーは言っている)
さて、ついに昨年(1963年)のクリスマスにオーソンは金星で生まれかわった彼女(アダムスキーの妻であったメリー)を大母船に乗せてつれて来た。彼女は小さな娘で、容貌は地球にいた頃とさほど変わっておらず、ただ少女であるというだけだった。
彼女はただちに私の正体に気づいたし、私も彼女がメリーであることに気づいたが、ひょっとすると相手は私の心を読み取っているのではないかと考えた。
実は1917年に私たち夫婦の間にある出来事があったのだが、そのとき 私はその出来事をすっかり忘れていた。すると彼女はその出来事について話して、私の記憶を呼び起こしてくれた。 それで私もその事を思い出したのだ。彼女は他にもいろいろと地球にいた頃の事を語った。
彼女は少女に成長している。金星では地球よりも人間の成長が非常に早いのだ。彼女は自分よりもっと小さな子供たちにいろいろなことを教えており、彼女自身も年長の人たちから教わっているという。
私はその場で彼女の写真を撮りたかったが、彼女は言った。
『あなたが私の写真を撮れば、地球であなたはその写真を見続けるでしょう。そして私のことを考え続けるでしょう。人間の想念には限界がありません。私が金星で一生懸命に学習しているときにも、地球からあなたの想念が来れば、それは私にとって妨げになります。ですから私がもっと成長して強い人間になるまでは、あなたから写真を撮ってもらいたくないのです。たぶんこの次にお会いするときは大丈夫でしょう』
私はまだ彼女の写真を撮りたいといぅ希望を持っている。彼女が私の正体に気づいたのは名前によるのではなくて彼女の記憶によるのだ。彼女が地球で私の妻であったことに気づいたのも記憶によるのだ。
(訳注=アダムスキーが金星の大母船の中で、金星人の少女に生まれかわった、かつての妻メリーと劇的な対面をしたときの詳細な模様は、アダムスキー全集第三巻『UFOとアダムスキー』の冒頭の(金星旅行記) に出ている。そのとき少女はアダムスキーに転生の実態と高次な宇宙的思想を伝えている)
■ 弱すぎる地球人の記憶力
そこでおわかりのように、ここであなた方が考えねばならない問題がある。
あなた方のうち一組の夫婦は一万年昔の過去生において夫婦であったかもしれない。そして今生でもまた夫婦になり、さらに未来の生涯でふたたび夫婦になるかもしれない。だがその間の夫婦でなかった時期には互いに別な体験を持っていたのだ。つまり別な相手と夫婦になっていたことが何度もあるのだ。
このことは私にもあてはまる。私は今72歳で、妻は1954年に他界した。今は生まれ変わって9歳になってる。私があと20年生きてから同じ金星に生まれかわるとすると、彼女は29歳になっているはずだ。そのときまさか赤ん坊の私とは結婚しないだろう。
だが、その後何度も転生を繰り返すうちに同じ時期に2人が生まれた場合、また2人はめぐり会って、夫婦になるかもしれない。
いずれにせよあなた方が過去生を思い出すとき、それをあなた方に伝えてくれるのは自分の記憶なのだ。過去生においてあなた方がどんな人間だったか、どこに住んでいたか、どんな知人がいたかなどを語ってくれるのは、あなた方自身の記憶なのだ。だから人間にとって何よりも重要なのは記憶を発達させることにあるのだ。
われわれ地球人の記憶は非常に貧弱だ。あなた方は誰かが何かを言うのを聞くが、それを理解する前に忘れてしまう。あとで相手に聞かれても相手の言ったことが思い出せないことがある。こんなふうに記憶力が弱いものだから、まして過去生のことなどは思い出せない。
今日25歳ぐらいまでの若い人たちは第二次大戦で死んで、自分の生涯をまっとうしなかった人々だ。彼らの生命は戦争のために中断された。なかには第一次大戦の頃から転生してきている人もある。
第一次大戦の当時に生きていた少年を私は知っている。その母親が彼を私たちの所へつれて来た。彼は自分が死んだ塹壕や、ヨーロッパの死んだ地域、時刻まで記憶していた。そして母親にそのことを話したのだ。最初母親は取り合わなかったが、ついに、少年がたんなる空想で言っているのか、それとも実際の出来事だったのかと本気で考えるようになった。
そこで彼女はワシントン市へ出向いて記録類を調査したところ、少年の言った事柄はすべて真実であることがわかった。体につけていた認識標の番号までが正確だったのだ。
少年は今成長して結婚し、家族を持っている。彼はその思い出をしばしば話す。それは非常に生き生きとして鮮明な内容だ。彼が結婚している女性は過去生において彼女が住んでいた都市が爆撃されたときに死んだ。それはドイツだった。当時彼女は6歳ぐらいだったという。だから少年は現在彼女と結婚しているのだ。今は二人とも大変幸せで、何人かの子供がある。
不幸な問題がある。そうした過去生の記憶のような事を人々は公表しないという問題だ。大衆が知っている物事以上にもっと不思議な事が個人または複数の人々に起こっているのだ。だが誰もそんな不思議な物事について話さない。彼らがいつも話すのはボクシングの試合、戦争、殺人といったようなことばかりだ。だが人々は珍しい体験や記憶のよみがえりなどをおおやけに語らない。もし語れば本人は気違いと呼ばれるだろう。それでみんなは黙ってしまう。これが現代の世界の大きなトラブルなのだ。
だが実際に記憶している人々もいる。そして再度言うと、あなたがテレパシーについて語るとき、それも一種のテレパシー現象なのだ。というのはあなたは過去生の記録を読み取って、それを現世に引き出しているからだ。
この世で起こる物事で一枚の葉のサラッという小さな音でさえも、宇宙で記録されない物事はない。あらゆる物事は記録されるのだ。したがって人間は記録されないですごすわけにはゆかない。それは本人が記憶を働かせればわかる。だから記憶は最重要な事なのだ。学校でも生徒はときとして何かの問題で一生懸命に勉強しなければならない。生徒が心の中にいろいろな事をつめ込もうとして一日に三時間勉強するとすれば、翌日はそれを復唱せよと命じられるかもしれない。そのとき何を行なわねばならないか。重要なのはうんと学習することではなくて、記憶することにある。だが記憶力を発達させることは最も困難なことだ。そのように思われる。
---記憶力を発達させることは可能か。
「ああ可能だとも。たとえばすぐれた詩人を例にあげよう。彼は人々に読ませるための詩を書く。だがそれは彼の記憶の中で非常にうまくよみがえらせているので、それを復唱したり書いたりできるのだ (訳注=本人が過去生で詩人であったことがあるので、その当時の才能をよみがえらせたの意)。
われわれが発達させねばならないのは記憶力だ。発達した記憶力を持てばわれわれは当然過去にさかのぼって、過去の記憶を引き出すことができる。 というのは人間には一本の連続した線があるからで、その生命の鎖は決して切れることはないのだ。」
第5話 完 |