米国がオズマ計画というのをたてて宇宙のかなたに生存するかもしれない知的生命体と交信しようと実験を行ったのは1960年代のことである。ところが何の反応もないので、うや心やになってしまい、結局中止されたが、大気圏外の"人間"と交信しようという地球人の意欲埋荷まるばかりで、今度は米ニューメキシコ州の砂漠に1万台の電波望遠鏡を100平方マイルの地域にわたって設置し、超大型コンビューターにコントロールさせて、宇宙からの信号をキャッチしようという"サイクロッブス計画"が樹立され、これを実現させようと米国内で運動が推進されている。
宇宙の知的な信号をキャッチ
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▲エコラ研究所所長L・ジョージ・ローレンスはモハービ砂漠の植物を研究していた。 |
ところがこれより早く大気圏外の生命体から来ると思われる知的な信号をキャッチした科学研究機関があった。カリフォルニア州エコラ研究所がそれである。これは1971年10月29日に電波望遠鏡とは異なる装置でパルス信号を受信したもので、電磁波スペクトルの範囲をこえた波長だとジョージ・ローレンス所長は言っている。
これに応用された伝達エネルギーは地球の物理学では全く未知のものであったらしく、この信号は光速度を超えていたというから、時間と距離に無関係なテレパシーの搬送波に似たものと考えられるが、詳細は不明である。
とにかく、現代物理学で解決できない現象をすべて嘲笑し去るどこやらの国の素人、ジャーナリスト、学者連を尻目に行われている英米の科学者の研究には瞠目すべきものがある。
地球大気圏外の星々では"電波"というような時代遅れなエネルギーでなく、もっと高度な伝達法を応用して星間で即時通話が行われているのかもしれない、と考えても不合理ではない。
モハービ砂漠でのこの大発見は全く偶然の産物であるが、科学界では正式に認められていない。いつの時代でもそうだが、いかなる大発見でも最初はかならず他の学者から反撃されるのである。
口ーレンスのすばらしい実験
その日、ローレンスは何をやっていたか?彼は砂漠で植物を相手にとりくんで、人間と同様の生命体たる植物も何かの信号を発信しているにちがいないと考え、そのことを証明する現場実験を行っていた。彼が開発したのはすどぐ高感度の"得体の知れない"奇妙な機械で、遠方の植物から放射される波動をとらえて増幅し、テープに録音するというわけだ。しかし作業の合間にうっかりしてこの機械を30分ほど大熊座の方へ向けたのである。だが機械はやはり何かの"信号"を記録し続けたばかりか、それが生物から送信されたものであることはすぐわかった。なぜなら、宇宙空間から来るこの信号は砂漠の植物から来る信号と同種類のものだったからだ!
この受信機はファラデー管でもって既知のあらゆる宇宙放射線から絶縁されているので、電磁波スペクトルを利用した通信ではない。しかも一定のバターンのくり返しであって、地球人の通信科学では到達不可能なはるかな宇宙空間の発信源から来るものであることは明瞭であった。
直流をアナログ変換法で交流に変えると生物信号が電気から音に変換するので、これをテープに録音する。ふるえ声の歌うような音を聞いて、ローレンスは身ぶるいするような興奮におそわれた。すわったままヘッドフォンを少しずらしてローレンスは休をこわばらせて緊張していた。光学系と電子系の機械を複雑に組み合わせた測定機から6インチ屈折望遠鏡が突き出て黒いシルエットとなっている。この望遠鏡にファラデー管が取り付けてある。ローレンスは方位を測定してジェット機の計器盤に似た装置に連結された録音機のスイッチを入れた。
それからの30分間はまさに夢心地であった。科学者としての冷静な態度を失いがちになるのを一生懸命に抑制しながら、感情を押し殺した平板な調子の声で状況をしゃべって録音してゆき、次に望遠鏡の角度を調べて、狙撃兵のようにファインダーの中心に星を見定めて、更に3度目のチェックをしてからマイクを取り上げた。
間違いはない。大熊座の方向から強力な非電磁波信号がたえまなく流れて来る。他の測定機ではキャッチできないような信号だ。ローレンスは頭を振ってから10月の夜の寒さが身にしみる暗い砂漠にうつろな眼を向けた。自分の五官の延長である周囲の機械に奇妙な信頼感がわいてくる ― 。
想像もつかぬ遠い宇宙空間の知的生物から送信されるのかもしれない非電磁波信号の記録を眼前にしで、ローレンスは頑がクラクラしてきた。宇宙の生物は数百万年も以前からこの"生体放射線"で交信をしていたのか!電磁波の通信などはまるで旧式ではないか!こうなれば光速度の壁で頭を悩ませる必要もない。星間の即時通話も可能となるだろう。ローレンスはあらためて自分の過去の業績を振り返って、その貧弱さと地球というケシ粒の上の人間の存在、広大きわまりない大宇宙の神秘に思いを馳せて、しばし冥想した。優秀な海洋学者、歴史家、地理学者、世界最初のレーザー光線の研究者、46冊の著書執筆等の輝かしい経歴の持主も、この信じがたい現実に圧倒されてしまい全く声も出ないまませまりくる砂漠のたそがれの中に独り身動きもせずにたたずんでいた。
埴物は人間の想念に反応する
エコラ研究所というのは最近は放射能研究、医学と農業両面での生物磁気研究、NASA(米航空宇宙局)の委託による大気圏外研究などを主に行っている。この所長であるL・ジョージ・ローレンスは広い心の持主であり、学者としてはきわめて進歩的な人である。一体に英米の科学者の進歩性は日本の比ではない。先年来世を騒がせたユリ・ゲラーにしても(関工学博士をはじめとする電通大系の少数の科学者がその超能力を研究しておられるにしても)、一般の科学者は全く無視しているが、英国ではロンドン大学の主任物理学教授がゲラーを科学的に徹底調査して超能力の実在を証明しでいる。
約10年前の1966年には米国で植物が発する生体放射線の研究が始まった。
現在は日本でもよく知られているがこの年ニューヨークのポリグラフ(ウソ発見機)の専門家であるクリーブ・バクスターが、ポリグラフに連結した植物に水をやるとその植物が神経電流を発生することを発見したのである。
最初バクスターは水分が葉まで到達する時間を測ろうとしたのだが、驚いたことに、植物は人間と同じような反応を示したのだ。彼は気まぐれに葉を1枚燃やしてみようと思ったが、まだマッチをすらないうちに ― 正確に言えば、燃やしてやろうという考えが彼の心中に浮かんだとたんに ― ウソ発見機の針が猛烈に揺れたのである!そこで、植物だけでなく動物などの生命体もテスーしてみたが、結果は同じだった。
植物の葉や茎を粉々に切りきざんでも、"暴力"に関係ある想念に対しては、完全な姿でいたときと同じような強い反応を示した。熱湯の中へ生きた小エビを投げ込むと遠い位置の2本のフィロデンドロンが小エビの死に反応を見せた。これは一種のテレパシー現象である。小エビ以外の生命体の死に対しても、フィロデンドロンはやはり反応を示した。いろいろと条件を変えてもやはり同じである。こうした実験の結果は国際超心理学会報の1968年冬季号に発表されたが、これは植物その他動物など、生命体のすべてが人間の愛情に答えるという昔からの言い伝えを科学的に立証したものである。
第2話へ続く |