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 フランスの怪奇 火の玉UFO事件 第1話   F・ラガルド 

UFOと宇宙 創刊号 1973 より転載

フランスのピレネー地帯の農家付近に連続出現した怪奇な火の玉群と砲弾型物体!
2つのドームに人影の見える劇的な円盤出現!その正体は!?
これはフランスの円盤研究家F・ラガルド氏とそのグループが徹底的に調査した報告であり、現地の目撃者とインタビューした貴重な記録である。

1969年11月にわれわれはかなり注目すべき情報を含む長文の手紙を受けとった。研究仲間の1人であるデュパン・ド・ラ・ゲリヴィエール博士は現地で調査をするために派遣された。彼は調査報告と多くの写真、陸地測量部の地図、その他補足的な詳細な記録を送ってよこした。それらを検討してみると、事件は事実そのものであるけれども、その報告には十分に説明のつかないギャップがあるように思われた。もっとくわしい調査が心要だけれども、きわめて多忙な彼はそれ以上のことができなかったのである。

そこでわれわれはこれをその方面の専門家であるエメ・ミッシェル氏に話したところ、それが確実だとすればきわめて重要な事件だと氏は判断し、追跡調査をせよといってきた。そこでわれわれはこれに対して個人的に介入することにし、事件をすみやかに解決するために更に2人の調査員を加えることにした。以下述べる事柄は1人だけのインタビューによる調査ではなく、各調査員が各自で質問を発してはそれぞれ推測し、それらをまとめあげたものである。これは目撃報告、現場でのスケッチ、町役場で発見された文書類、写真、それに最も重要な資料であるインタビューの際の1時間45分にわたる録音テープなどから成るものである。われわれはローカルカラーを出すためにできるだけ目撃者との会話に重点をおき、物語をなるべく自然なままに保つようにした。

エメ・ミッシェルが望んだとおり目撃者と調査員にはきびしい指示が与えられた。目撃者たちのはっきりした意志により、本人たちの名前は秘されている。きわめて残念なのは現場の地名を洩らすわけにゆかないということである。本人たちは平和に暮らすことを望んでいるのだ。読者はこのことを了解されたい。しかも調査は現在も続行中である。

本記事中のさし絵の内2枚はわれわれが描いたが、他の絵は記録文書写真、スケッチ、その他目撃者から提供された詳細な資料にもとづいて美術の教授であるJ・L・ボンクール氏が描いたものである。

現場付近

この事件はすべてフランス、アベロン県のある農家付近で発生した。この家は1766年に建てられた古い家で、石の壁が厚くできている。2階建てで、そこに居住の部屋などがあり、ここから遠くまで見渡せる。10もある部屋は大きくて、窓は大体に南に面しており、せまい窓が西北にむいている。母屋の南側には中庭があって、3方に納屋などの建物がある。東側に入口があり、道路につながっている。西側には裏口がある。

この地所は控えめにできていて、おもに食肉用の小牛を飼ったり、干草、トウモロコシ、小麦、からす麦、大麦などを作ったりするが、家族用のブドー酒を作るための小さなブドー畑もある。要するにピレネー中央部の多くの農家と変わらない。

"何を見たかがわかっていて、しかも何も恐れていない"この農家の家族が目撃した光景は次々とかなりの数で続いたので、それがこの連続事件の混乱の原因となっているのである。したがって目撃者自身でさえも当時の覚え書きや日付などを記録していないために発生した出来事の正しい順序を思い出すことがむつかしい。

事件が発生した

1966年6月15日の午後9時30分頃である。孫たちの世話をしている76才の老婆が1階の自室の窓から最初に気づいたのである。

ばあさんは田舎弁のはきはきした口調で話してくれた。体験を思い出しながら感情が高ぶってくると土地の方言がとび出る。

− おばあさん。その夜あんたが見たものを話してくれないかね?

「あたしゃ窓のところにいたんだよ ― ちょっとのあいだね ― あたしぐらいの年になると、ときには一息空気を吸いたいからね。だけどこの年まであんな光る物を見たことはなかった!ただの光じゃない ― あれは火だった!火だったよ!」

− そのときには数個の火が見えたのかね?

「そのとき ― そうだね‥‥人間の頭よりも3倍も大きかったよ」

− 3つ見えたのかね?そのときはそんな遠方じゃなかったんだろう?

「そう、そのときは光る物(複数)が]の近くの上空にいたよ」

地図では]という土地は1キロ離れている。最初その物体群は約1200メートル離れた遠い所にいた。それから近づいてきて、]の上空へ、続いてYの方へきた。これは800メートル彼方である。]は山の上にあるその農家から真西にあたる。

ばあさんは続ける。

「すると光る物はYの方へきた。Yで火事があるかなと思った。よくわからないけど、それは動いていた。ずっと見え続けていたよ。べつに変化はなかった。だれでもこの光が見えたはずだよ。やがてずっと近づいてきた‥‥小さな川の上を越えて‥‥」

その球体群は低くなりながらやってきた。地図で見ると600メートルあったことがわかる。

「だけどあたしゃもう何も見えないだろうといった。すると突然それが少し高くなってやってきた。おまえがいったようにAの近くだよ」といってばあさんは娘婿の方に話しかける。

「それからあたしらはいったよ、この次はどこへ行くんだろうとね。Bの方向かな? あたしゃB地区の人たちを知っているんだよ。知っているんだよ!するとまもなくその火の群れがこちらへ少し近づいてきた。そこであたしゃいった。『あの火の群れは何だろう? カミナリは鳴っていないし、あらしもないし ― 。何をやっているんだろう?』あたしゃ叫んだ。『あの火の群れ ― あたしゃ年をとりすぎている。あんな物を見たくはない。あんなに動きまわっていて、あたしたちはみなどうなるの?』ブドー畑の隅の上をふたたび動き出したあと ― おぼえているかい、あのときおまえを呼んだんだよ」と息子の方をふり返って「あのとき、あたしゃ恐れたんだよ ― だけどもしあれがもっと近づけば納屋の中にはいり込んで、みんな燃えてしまうだむう。家もあたしたちも ― 。それでこの人を呼んだんだよ」

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