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| 第7章 現代のUFO 第2話 宇宙よりの来訪者 | |
| オカルトめいた事件の典型的なものは、1967年にネブラスカ州アシュランドでUFOと出くわしたパトロールマン、ハーバート・シャーマーの事件である。 |
12月3日の午前2時30分だった。 22歳の警官シャーマーがハイウェー63号のある交差点に接近していたとき、一列の点滅光を伴った物体が前方にいるのを見た。しかし彼がメインヘッドライトをつけたとき、物体は空中に急上昇して消えた。30分後に警察へ帰っってからの後の勤務日誌には、次のように記してある。「ハイウェー6号と63号の交差点で1機の空飛ぶ円盤を見た。信じようと信じまいと、確かに見たのだ。」 シャーマーが帰宅したときは頭痛がし、頭の中でブンプンという音がして眠れなかった。また左耳の下の首の神経組織のあたりに出来ている赤いミミズばれにも気づいた。彼がどうやらUFOの乗員にコンタクトされたことを発見したのは、コロラドチームに調査されたときである。 時間逆行催眠テストを受診中、彼の潜在意識は、UFOを見た直後に失った20分間の空白の詳細を述べている。彼は物体が野原に着陸した後、それを追跡し、事件を報告しようとネブラスカ州ワフーの警察を呼び出そうとしたが、無線機、ライト、エンジンなどが作動しなかった。輝くフットボールに似た物体は3本脚を持っており、地面に接地するにつれて脚が出て来た。統いて、緑色のガスを彼と車に噴射するUFOから、人間たちが出て来た。するとその一人が光線を照射したので、彼は全身が麻ひし、気絶してしまったのである。
逆行催眠によって引き出された記憶は、次のようである。人間のような姿をした生物の一つが、彼の首をつかんだ。円盤を撃つのかと聞かれて、撃たないと言うと、シャーマーはちょっと円盤内に人ってよいと告げられた。乗員たちの身長は1.5メートル前後で、ぴたりと身についた銀灰色の制服を着て、頭巾またはヘルメットみたいなものにアンテナがついていた。彼らの頭は細くて、人間よりも長かった。鼻は平たくて、口として割れ目があり、わずかにつり上 がったパまばたきをしない目があった。顔色は灰白色である。催眠状態を続けるシャーマーは、円盤の内部とその設備を述べることができた。乗員たちは、スクリーンに画像を投影した。リーダーか話しかけたけれども、同時に彼の心にはいろいろな情報が吹きこまれているのだと言われた。シャーマーは、彼らが近くの銀河系から来たことを知った。彼らは、金星や地球を含む他の諸惑星に基地を持っている。地球では、彼らの基地は地下か海洋下にある。 「彼らは地球人とコンタクトするのに、一定のパターンを持ちません」とシャーマーは、無意識下の質問中に答えた。「コンタクトは全く偶然に発生するので、政府は彼らについて、いかなるパターンも決定できません。まだ多くのコンタクトが起こるでしょう‥‥ある程度彼らは人々をいぶからせたがっています。」
UFO内で約15分過ごした後、シャーマーは円盤内へ人ったことをもらすなと命じられた。ただ目撃の最初の部分だけを報告せよ、と言われた。彼らは、この催眠暗示を彼の心中に植えつけたらしい。というのは、彼は苦痛や不安を感じたけれども、その異常な経験の意識的な記意を持たなかったからだ。詳細がもれたのは、催眠下のときだけである。この点で彼の体験は、1961年のヒル夫妻のそれに似ていた。この二人も数年後に催眠実験中、宇宙船に入ったことを思い出したのである。 シャーマー事件から6年後の1973年10月に、2人の造船工がミシシッピ州パスカグーラで円盤の乗員に遭遇した。これは1970年代の最も有名なコンタクトの1つである。彼らは事件を思い出すのに、催眠術を必要としなかったが2人とも別々に逆行催眠テストを受けて、その物語は一致した。彼らは最も驚くべき情報をもらしたのである。 チャーリー・ヒクソンとカルビン・パーカーが、午後7時ごろパスカグーラ川の西岸で釣りをしていたとき、2人は約3キロメートル向うに、青いもやを放つ奇妙な物体を見た。それは彼らのほうへ約30メートル以内まで接近し、水面上1メートルほどの位置に停止したのである。2人ともぼう然となった。すると3名の乗員が出て来て、2人のほうへふわふわとやって来た。 19歳のパーカーは狂乱状態となり、気を失ってしまった。冷静な性格で知られている42歳のヒクソンは、恐怖で体を硬直させた。乗員の1名は、ブンブンという奇妙な音を発している。手の代りにペンチのようなものを持つ他の2名は、ヒクソンを腕で抱え上げて、一緒に飛行体のほうへ滑空して行った。その物体は長方形で高さは約2.4メートル、一方の端に穴があった。外側は見慣れぬ青い光で照らされ内部は強烈に輝いている。乗員は、ヒクソンを水平の状態に置き、彼は空間に浮いたままとなり、その間に彼らは大きな目のような装置で彼を検査した。相手はしばらく彼を1人のままにしておいたがまた帰って来た。 彼は相手に話しかけようとしたが彼らは質問を無視した。ヒクソンはあまりの恐怖に相手の姿態を性格につかむむことができなかったが身長は約1.5メートル、人間の鼻があるべき位置に、何か突き出たものがあるようだった。この突き出たものの下に裂け目があるが全然動かないらしい。頭は首の部分がなく、見たところ胴の上に載っている。目や髪の記憶はない。ついに彼らがヒクソンを解放したとき、飛行体はブンブンという音を出して消えて行った。 この恐ろしい体験から4時間後、パスカグーラの保安官事務所でフレッド・ダイアモンド保安官と、グレン・ライダー所長が2人に面接し、彼らの証言はテープに録音された。続いて、事件全部がいんちきかどうかを見るために、2人だけを室内に残し、2人に気づかれないようにテープレコーダーを回転させたまま仕掛けておいたのである。ヒクソンは震えているようで、パーカーは腕が動かなかった様子を思い出しながら、狂気のようになっていた。
パーカー:「おれは失神したよ。生まれてこのかた、失神などしたことがないのに。」 ヒクソンは、釣り仲間だけを残して出て行った。調査官がテープを巻きもどして聞いてみると、若い男が独り言を言っているのが聞こえた。 それから、彼は祈りをささげ、その言葉は聞き取れないほどのささやき声になった。 ジャーナリストのラルフ・ブラムはその著『地球のかなた ― 人類のUFOとのコンタクト』に、ヒクソン・パー力ー事件の詳細な説明を載せている。そのコンタクト報告を自分で調査中に、彼はダイアモンド保安官にインタビューし、2人の男の話を信ずるかと尋ねた。「2人が最初にやりたがったのは、うそ発見器のテストを受けることだった」と保安官は答えた。「チャーリーは、ひどく震えていた。」「すごい事件が発生しない限り、ヒクソンほどの年齢の男が興奮して泣きわめくことはないでしょうな」とつけ加えている。 2人の男が受けることに同意した時間逆行催眠テストの実施中、そこにいたアレン・ハイネック博士は、後でこう言った。 「この2人の男が全く本物の恐ろしい体験をしたことについて、私の心に全然疑惑はない。その物理的性質については確かでないが・・・彼らは絶対に正直だ。彼らは信じがたいような体験をしているし、ほかの人たちの体験との関連も考えねばならないと思う。」 カリフォルニア大学の工学教授で最大の民間UFO研究団体の一つAPROの顧問でもある、ジェームズ・ハーダー博士は、ある心理学者とともに逆行催眠テストを指導した。彼の意見は、次のとおりである。 「彼らが持った体験は、確かに本物であった。催眠状態下で激烈な恐布の感情をいつわって起こすことは、実際上不可能である。」 パトロールマンのシャーマーと、ヒル夫妻の場合UFOの乗員は地球人の心をコントロールできたようである。そればかりか、本人の表層意識から体験の記憶を消すこともできたと思われる。 「世界中でどれだけの人間がこんなふうな処置を受けたかは、知るよしもない。本人たちには、体験を持った記憶が全くないからだ。したがって、我我の中のだれが心の片すみに眠っている不思議な気味悪い“プログラム”を持っているか、わかったものではない。」 これはアメリカの著述家ジョン・キールの見解である。彼は、空飛ぶ円盤は物理現象ではなく、固体の材質でできているのではない、と信じているUFO研究家の指導的立場にある。彼の考えによればUFOは超越した力を持ち、我々の世界のそばに存在するけれども、全く異なる時間尺度の上に存在するという。円盤は通常は目に見えないが我々の世界に入って来ると物質化することが可能になる。それはどんな形にもなれるし、信じがたい高速で運動する。キールはUFO人を超地球人と呼び人間に対するその出現の理由を考えている。宇宙はたぶん全知の一大英知またはエネルギーによって支配され、それが充満しており、それは我々の時間と空間の概念を超えたものだろうと彼は言っている。 キールの信ずるところでは、超地球人というのは、心霊現象や降霊術で生ずるのと同じ実体であるという。これは、矛盾と混乱に満ちた別な調査分野だ。不正な、いたずら好きな霊が降霊会で報告されるのと同様に、UFO人たちも我々をわざと混乱させようとしているらしい、とキールは言う。彼らは、地球人の追究をかわすために、大気圏外から来たという印象を与え始め、同時に彼らはわざと外観や話を変えて、研究者が彼らの本当の起源を発見できないようにしたのであるという。UFOの乗員は、背が高いのや、平均的なのや、小さなのもおり、皮膚は緑、グレー、黒色とか、普通人らしいのや、魚みたいなのや、怪物のようなのとか、さまざま報告されている。彼らは宇宙の最も遠い到達距離からばかりでなく、この太陽系の各惑星からも実際に来ていると言わわている。 あらゆるコンタクティーが自分たちの体験についてうそをついているのだろうか、または我々が多くの異なる宇宙種族の訪問を受けているのだろうか。たいていのコンタクティーは素ぽくでまじめであり、彼らは本当の体験を持ったと確信しているらしい。キールは、自分のコンタクトについて名を知られようとしない200名のコンタクティーにインタビューした。そしてそれについては、彼の著書『UFO−トロイの木馬作戦』で次のように述べている。 「彼らは書物も書かないし、講演にも出かけない。彼らはUFO関係図書にはほとんど、または全く関心を示さない。その中のある人たちは、最初のコンタクトの後に人格の低下を体験し始めているし、また、かつての正常な生活が夢魔や奇妙な幻覚によってだめにされたという人たちもいる。ポルターガイスト(騒霊)が彼らの家に侵入する。電話やテレビ受像機などが暴れ回る。私自身の推測では、アメリカだけでも、5万またはそれ以上の沈黙コンタクティーがいるかもしれない。そして新人が毎月リストに加えられているのだ」 彼らの多くは、シャーマーやヒル夫妻みたいに、逆行催眠テストを受けて自分が不安に感じる理由を発見しようとしない限り、自分がコンタクトされていたことを知りもしないだろう。 空中の物体に乗って着陸した人間と話し合ったと人々が最初に報告し始めた19世紀後半以来、目撃者は信じてもらえなかった。しかし、キールは主張する。こうしたコンタクティーたちは、「UFO人から聞いた話」を我々に語ってきた。そしてキールは言う。「UFO人がうそつきなのだ。コンタクティーがうそつきなのではない。」
彼の説は、1896〜97年のアメリカにおける大UFOパ二ックの研究後に展開し始めた。人々が見たという空中の飛行体は、当時建造されたり、設計されたりしていた飛行船によく似ていたがアメリカではまだ飛んでいなかった。このUFOはしばしば地上で見られ、ふつう外国人と表現されたその乗員は、それを修理しているように見えた。彼らはどこから来て、どこへ行こうとしているかをしばしば説明し、その飛行船を動かす方法なども話したりした。コンタクトをした素ぼくな農民たちは、相手が新聞などによく出ている、進歩した飛行船を持つ人間なのだと信じていた。しかし、このような報告類を調査し、枝葉末節(しようまっせつ)まで調べたキールは、地球上のだれもまだこの飛行体を建造しているはずはないし、乗員たちが説明した方法では作動しないはずだと言っている。しかも、それが本当に宇宙からの来訪者だとすれば、あれほど運転修理を要する粗雑な飛行船で巡航して回る彼らは、何者なのか? 明らかに、彼らはこんな飛行体で宇宙空間の広大な距離を旅したのではない。これは超地球人であったのだとキールは断定している。そして、彼らの本当の目的と正体を隠すための巧妙な煙幕にすぎなかったのだと考えている。 20世紀には、急速に発達する技術にふさわしい近代的な姿を装うことによって、UFOはまた我々を混乱させた。しかし、彼らは同じトリックをやり、我々をひどくまごつかせている、あの同じ超地球人なのだとキールは言っている。これは宇宙的規模のいたずらなのだと。 以上の魅惑的な憶測は、必ずしも解答を与えてはいない。もし超地球人だとすればいったいなぜ彼らは自分自身を見せる必要があるのだろう? 彼らの使命は何なのか? この線に沿って推測をしてみると、我々は最も大ざっぱなSF小説の分野に到達する。そして、ますます増えるUFO目撃事件は、異常な要素を含んでいるように思えるのである。
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