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 空飛ぶ円盤の秘密   T.ベサラム/久保田八郎訳

第7章 フランス語の手紙と中国文筆蹟 昭和42年発行 高文社版より

部屋に帰って寝衣に着換えてからも、消え去った懐中電燈のことが頭から離れなかった。アウラ機長は"永久"になくなったのだと云ったが、これで自分たちの敵を処分する方法を仄めかしたものらしい。だが彼女は殺しはせぬと云っている。では空中に消え去ったのち彼らはどうなるのか、もっとくわしく知る必要がある。解答を得るために―答えてくれればだが―もう一度クラリオンの大型機を訪ねたくなってきた。

やっと数時間眠ると私は起きあがって、ラス・ベガスのホワイティーの家に行く支度をした。洗濯物がとどいたので、ちゃんとしまっておこうと包みを破ってみて私は驚いた。新品同様だった作業服はメチャメチャになっている。怒りがこみあげてきた。シャツの左下全部、それにズボンの後上部がすっかりなくなっているのだ。ちょうど酸にやられたようである。カッとなった私は、この次、洗濯屋の顔を見たらその場で文句を云ってやろうと思ったが、ボロポロの服をぶら下げていると不意に一つの考えが浮んできて、もう一度思いなおした。

これはたしか円盤を持ち上げた夜、円盤の縁にもたれながらクラリオン人と話していたときに着ていた服だ。布地が台なしになったのは何かそれと関係があるのではないか。そうだ、それ以外に説明のしようがない。だから今のところこれ以上頭を悩まさぬことにしよう。でも今後もし会えるようならアウラ機長に聞いてみようと思った。それに作業場へ持って行けば雑巾にでも使えるだろうからと考え、ボロ服でもとっておくことにした。

会社の給水トラックは土曜を休み、代りに日曜日に運転することになっていた。今日すなわち1952年9月6日は土曜日である。そこで私はラス・ベガスへ出かけた。

その日の午後は買物と散髪でつぶれたが、散髪中に奇妙な事が起ったのである。ちょうど首筋を剃り終ったところだった。私は撞球のタマみたいに禿げているのだが、床屋は金をとるからにはそれ相応に私の頭を化粧水でマッサージしていた。表通りを見ていると、見覚えのある背の低い女の人が通りかかった。小さなベレーを小粋にかぶり、ビロードのような黒の上衣に細い平襞をとった赤いスカートという姿である。私は興奮のあまり椅子からとび出しそうになった。アウラ・レインズ機長そっくりなのだ。あわてて床屋に声をかけた。

「いそいでくれないか? 知っている人が通ったような気がするんでね」

「ええ、もうすみましたよ。お勘定は正面でお願いします」

私は椅子からとび上ると、カウンターの横をすり抜けながら1ドル50セントを投げ出して、表に走り出た。女はもう角を曲りかけている。

「奥さん!奥さん!」と私は呼びかけた。

彼女は振り向いたが、首を振ると道を横切り、パスを待つ人ごみにまぎれ込んでしまった。挨拶されたくない様子である。

私は立止ったが監視はやめなかった。バスが走り去った後も彼女は一人で立っている。今ならどうかしら?あれがアウラだとしても明らかに気づかれたくなさそうだ。もし人違いだったら警官でも呼ばれたときはひっ込みがつかなくなる。

私は締めて道路を引返した。

何度も振返ると、その女はまた道を横切って薬屋に入ったが、それきり姿は見えなかった。私は、もしもう一度アウラと話す折があっても、彼女から云い出さぬ限り二度とこのことにはふれぬことに決めた。たとえこちらが口に出しても、彼女は、わかっていますわ、というように笑ってみせるくらいが関の山だろう。地上の人ごみの中では、円盤から来たという事実を知っている私をも無条件に信用できないのかもしれない。

それから私はホワイティーの家に行った。円盤、機長、乗員などについて、私はホワイティー夫妻に洗いざらい話して聞かせた。懐中電燈が消えてなくなった不気味な詰もしてやった。二人はとても面白がっていたようではあったが、その眼付と薄笑いとで、私が鮮明な幻でも見たのだと思っているらしいことがわかった。私はいささかむくれてホワイチイ一に云ってやった。

「まだ私の話を信用していませんね?」

彼は肩をすくめてなだめるように云った。「俺たちが信用していないって? おめえの話を証拠だてるものはほかに山ほどあらあな。新聞にだって円盤だの火の球だの、えたいの知れない光だのといっぱい出てるじゃねえか」 

そこで私は二人を決定的に信じさせるのに役立ちそうな計画を思いついた。

「お二人は円盤や婦人機長を見たいと幾度もおっしゃったことがありましたね。それならお二人で私と一緒に来ませんか? それともあなたの車で砂漠まで私のトラックのあとをついて来たらどうです。砂漠に着いたら私は最初にアウラに会ったときに云われた通りにします。つまり精神を集中して、彼らがやって来て近くに着陸するように念ずるのですな。彼女なら精神感応で私の祈りを聞いてくれそうな気がするんですよ。少なくとも彼女から受けた印象はそうでした。ひとつやってみませんか?今やりますか?それとも今夜?」

私はすぐにも出かけるつもりで立上った。二人とも私を見つめている。もう笑ってはいなかった。夜中にそんなことで遠出するなんてまっぴらだという眼付である。ホワイティーは何とかしておだやかに断ろうとするが、私の提案が冷たくあしらわれた事実はどうしようもない。

私も頑固になって一人で出かけようとした。だが私がその考えを実行に移す前に夫人が云った。「トゥルー、あなた南の方で発見された空飛ぶ円盤の記事を少しでも読んだことがある?とてもきたなくて臭いそうよ」

私はカッとなった。クラリオンの円盤はいつだって清潔そのものだ。乗員も同様である。それに私は地球に着陸する円盤は皆クラリオンから来たのだと思い込んでいた。

「ちがいますよ」と私は鋭い調子で云った。「そいつはクラリオンの円盤じゃない。私が見たのはピンみたいに清潔でしたからね」

読者も地球人のことを考えられれば、円盤だってきれいなのもきたないのもあるのだろうとお思いになるかもしれないが、私がアウラから聞いたクラリオン人に関する話によれば、乗員に不精者がいようとは考えられないのである。

しかしそれ以上の争いにはならなかった。私は果して精神感応で円盤と連絡が出来るかどうか自分だけで試してみるつもりで、別れを告げて外に出た。

トラックに乗込むと、ラス・ベガスを出発して、ヘンダスン寄りの砂漠へと出かけた。折よく小さな丘を一方に控えた木も石ころもない場所があった。広さは数百エーカーもあるだろうか。ほとんど平坦で、焼けた土に枯れかかった茂みがぼそぼそと生えている。そこをえらんでまんなかに車を乗入れた。車をとめるとハンドルの前に坐ったまま横の窓から空を見上げて、あの人たちに会いたいと心に念じ始めた。ホワイティーらが様子を見にあとをつけて来るとよいのだが。

そこはラス・ベガスから6マイルほど離れていた。途中つけられてはいないかと私は何度も後を振向いたが、ヘッドライトも何も見えなかった。それでいよいよ腰をすえて円盤に思念を集中した。

こんな所に独りで坐っているなんて、俺は馬鹿なのではないかなと時折思うこともあった。こまで来るため、トラックは前輪駆動状態にしてあった。傍に丘のある場所が、ぜひというわけでもないが望ましいとアウラが云っていたからである。

待っている不安のためだろう。随分長い間坐っていたような気がするが、実際は1時間も過ぎたろうか。私は光が3つ4つあちこちできらめくのに気づいた。だがどれも円盤が着陸するときに放つ光とは違うようだ。

つまらぬことをし始めたものだと思って、そろそろ切上げようとしたとき、ネリス空軍基地の方角に青い明るい光が一つきらめいて、2、3秒の問に直径20マイルから25マイルもありそうな円を描いて二度旋回した。音がしないからジェット機ではない。3回目の旋回でその光はラス・ベガスの上空へ来て、そこでほとんど停止したように見えた。

円盤が速度を落すとその光は消えた。位置は光の消えたあたりから推測するほかはないが、数秒後には、円盤は私のトラックのほとんど真上に停止していた。最後に着陸したのはトラックから50フィートも離れていない地点である。おそろしく正確な飛行ぶりだ。今度は彼らは私にこの怪物をどんなにゆっくりと降下させることができるかを見せつけて面白がっているようだった。最後の50フィートを降りるのに数分もかかったような気がしたが、実際には10秒くらいのものだったろう。

この着陸で初めて彼らは円盤をピタリと地に着けたらしい。いつもと違って機体が傾かなかったからだ。すぐさま扉が開き、数人の男たちが現われて運動を始めた。それまでに私はトラックを降りて、内部へ入る仕度をしていた。

一人が話しかけた。「今夜わたしたちが来ると思いましたか?」

幾分心細く思ったこともあるが、とにかく1時間ばかり坐って念じていたのだと答えると、彼は云った。

「機長がお待ちです」今度は彼女は入口に姿を現わさないで、乗員の一人が先に立って私を案内した。

大型機まで歩く途中も私はすっかり得意になっていた。トラックの中に坐って精神統一をするだけで、この巨大な宇宙船が呼び寄せられたとは、全く驚嘆のほかはない。いつまでたってもこの世に驚異の種はつきないものだ。

アウラの部屋に案内してくれると男は姿を消した。それで私は先夜アウラが私を教育するためにやってみせたあの消滅術のことを聞いてみたいと考えていたのを思い出したが、先ず歓迎の挨拶を述べた。

アウラは微笑みながら例の高いきれいな声で云った。「わたしたちが来たのでびっくりなさったの?」「そうですね」と私も笑い返しながら、「驚くのがあたりまえでしょうな。でもそれよりも嬉しい気持のはうが強いといいますか、まさに締めようとしたのですが、あなた方の距離は私らの考えているのとは違うと気がついたのです」 

彼女は私におかけなさいと云って自分も腰をおろした。

私はたずねた。「懐中電燈が消えてなくなったことについてお伺いしたいんですが、かまいませんか?」

彼女はうなずいた。

「宇宙人は決して他人を殺さない、自分を襲うものは消してしまうとおっしゃいましたね。懐中電燈のときは"永久に"ということでしたが、宇宙人を攻撃した者も永久に消え去るのでしようか? だったらどこへ行くのでしょう?それは死ぬことじゃあないんですか?」

彼女は美しい顔を仰向けにして可愛らしく笑った。私はそれを心に留めておこうと、じっと見つめていた。とび色の大きく澄んだ目、まっすぐな鼻、高い知的な額、引きしまった形のよい唇、眼にふれるものことごとくが私は好きだった。遠い星から来たこの婦人が本当に身近な人であるような感じを抱くようになっていた。兄が幼い妹に感じるような、愛情に満ちた、責任をもって守ってやろうというような感じである。むろんこんな女性を守るといっても、私には何もできるわけはないが、それにもかかわらず保護してやりたいという気がするのだ。

笑い終ると彼女は全く真面目な顔になって、私の質問に答えてくれた。

「それはほんとうですわ。わたしたちは如何なる人でも殺したりはしません。敵はわたしたちの前で倒れて消えてなくなる。そしてわたしたちは立去ります。あとで敵はまた起きあがって動き出すかもしれません―実際に敵が害を加えていなければね。物体の遠隔制御法といった方法があります―」 

彼女は話をやめてじっと私を見たが、私が彼女の言葉を少しも理解出来ないのに気づいたのか、溜息をついて肩をすくめ、これ以上説明しても無駄だという身振りをした。そしてまた話し始めた。

「わたしにはあなたにわかっていただけるようにうまく説明できませんの。それに、できるとしても、あなたにお話してよいことかどうかよくわかりません。ね、わたしは自分に全くなじみのない言葉でもって、あなたに全くなじみのないことを説明しようとしているのですものね」 

彼女の言葉の意味は諒解できたので、私はやや満足した。そこで今度はポケッ卜から一通の手紙を取出して彼女に渡した。

「グレンデールの食堂の女の子からのものですが、私があなた方の話をしてやると、とてもびっくりしましてね、この手紙をあずかったんです。ご返事をいただきたいと云っていました。フランス語で書いたんだそうですが、あなたならどんな言葉でも話せるとおっしゃったし、大丈夫だと思います。あの子は私にからかわれたのかもしれないと思って、私に返事ができないようにフランス語を使ったんです」

アウラは手紙を開いて読みくだしてから、うなずいた。

「家庭のことに関する質問よ。これならお返事は簡単ですわ」

「やはりフランス語で書いてやって下さいませんか」と私は云ったがニヤリと笑って付け足した。

「私へは中国語かヘブライ語で同じ返事をいただければ、あの子はもっと喜ぶでしょう」

彼女は笑って、中国語ならおやすいことですわと答えてから、右手で手紙を持ち上げて、表面を背後の壁に向けてかざした。びっくりして眺めていると、その壁のむこう側でかすかな光が明滅し始めた。しかも更に驚いたことには、私が円盤に乗せてもらうようになってから始めて音がするのが聞こえたのである。かすかではあるがまぎれもなくタイプライターのカチカチ動く音なのだ。私は口をアングリと開けたが、あわてて閉じなおし、何事が起るのかと待ちかまえた。

▲アウラ・レインズの書いた中国文。
▲アウラ・レインズの書いた中国文。
「中国の婦人はその夫を愛情でつなぎとめます。決して鎖で縛るようなことはありません。
あなたのお友達
アウラより

アウラが云った。「中国語でお返事を書くのは簡単なことですわ。でも読んでくれる人がありますか?」

「食堂にいる中国人のコックなら読めると思います。この国で働いている中国人で年配の者なら大部分は育ちのよい教育のある連中だそうですから」 

アウラは机の中からペンと紙を一枚取出すと返事を書き始めた。驚いたことにべンにインキがついていない。だがクラリオン人の持っているものなら大丈夫なのだろうと考えて、そのようにアウラに云うと、彼女はまた笑い出したが、すぐに筋の通った説明をしてくれた。

「私たちの通信方法は地球のそれとは全然違いますから、ペンや紙の必要はありませんが、地球にいるときは私も地球の道具を使うのよ。だけどペンにインキが入れてなかったわ」

私は自分の細字用のボールペンを差出した。中国語の部分を書き終ると彼女は私にボールペンを手渡そうとするので私は云った。

「よかったらお持ち帰り下さい」「あら、それは有難う」

私は笑いながら云った。「そのペンこそ文字通り"この世を捨てた"といえるでしょう」

彼女も笑った。「こんどは冗談ではないわね」話している問、かすかなタイプの音がずっと続いていたが、突然一人の乗員が現われて、タイプした手紙をアウラに手渡した。

それがフランス語の返事だった。私の心中にはさまざまの疑問がわき出て来た。この男は壁を透してあの手紙が読めたのだろうか? それから坐ってフランス語の返事をタイプしたのか?それ以外には説明のしようがないではないか―アウラが精神感応カで読んで聞かせたのだろうか。本当はそんなところかもしなれい。

>>フランス語の原文 (下はそのフランス語の返事の訳文)

マリアさん

クラリオン人も地球人と同じような性質をもっていて、あなたや私が直面するのと全く同じ問題にいろいろ直面しています。しかし私たちが地球で見るような文明は人類にさまざまな不幸をもたらしたように思われます。私たちも地球ではキリスト教を信じますけど、このことは決して私たちが、恐ろしい異教に蝕まれつつある地球の現代国家のように退歩したということにはなりません。

あなたは礼儀や習慣の厳格な国からおいでになりましたが、一方米国ではもっと自由気儀な生活があって、人はそれに慣れる必要があります。あなた方御夫婦も結婚生活というものをおろそかにしたり自己本位に考えてはなりません。そんな気持から起る誘惑や妄想から身を護るようにすることです。さもないとあなたには何の罪はなくても御主人は正しい道からはずれてしまい、その愛情をつなぎとめるのがむつかしくなることもたびたびあります。夫に叛いたり過去の短所を責めたりしたくもなりましょうが、心を奮い起し、貞節と献心の誠をつくして夫の理解を待ちなさい。しかし何よりも先ず神を信ずることです。そしてキリスト教徒としての努力のお手本を夫に示すようにるでけれは、夫もやがては其の信仰にたち帰りましょうし、次第に神への勤めを実践するようになるでしょう。 神は私たちを苛酷な気候やさまざまな世の不幸から免れさせ給うたのです。地球では離婚、姦通、不義などが怖ろしいほど行なわれていますが、私たちにはそのようなことはありません。私たちがこれまでにお見せしたようなカを私たちから学びとることです。地球の人々が心を改めないでいるならば、いつの日か地球はこの宇宙から姿を消すことでしょう。地球の人たちは徐々に自分たちを滅しつつあるのです。

地上にも比類なき友   アウラ夫人

「この手紙のことが知れ渡ったら町中の評判になるでしょうよ」

私は二通の手紙をポケットに納めて、またしばらく話を続けた。話題はいろいろあった。地球のこと、恒星や遊星、月のこと、それに私がこの大型機に同乗してクラリオンを訪問するときのことなどである。そのことを考えるだけでも体がシンから震えるのであった。

彼女もそれに気づいたらしい。「楽しそうね。声もはずんでいますわ」

だがこの一週間の重労働で私は疲れていた。そんなに興奮しても疲労でしだいに眠くなる。アウラも気がついて、それではまた今度と立上った。私もいやいやながら立って、大型機を降りた。

トラックまでもどらぬうちに円盤は行ってしまった。

その夜の訪問で私の得た結論は、大型機の操縦は四つの異なった場所からなされており、あらかじめ決定した方向へ前後左右どちらへでも飛べるし、何かきわめて鋭敏な自動操縦装置も利用してあるということだ。動力や操縦機構を彼らから聞き出すことは先ず絶対にできないだろう。敵にまわるかもしれぬ連中に秘密を洩らすような不心得者は、彼らのなかにはいないだから。

こんなことを私がどうして知ったのかは自分にもわからない。多分例の精神感応だろう。アウラの心と私の心の波長が合って、こんな考えが直接伝わったのかもしれない。それ以外には説明がつかないのである。翌日、私はボロポロの洗濯物を洗濯屋のおかみのところへ持って行って、洗うときに酸かそれとも強い漂白剤でも使ったのかとたずねてみたが、そんなことはないという返事だった。蓄電池その他酸を使用するものに近寄った覚えはないから、それも原因ではない。

そのシャツとズボンを作業場へ持参して、一同に見せてやったら、皆かわるがわる手にとって調べていたが、こんなことは今まで見たこともないという。布地は漂白でいたんだのではないし、すり切れたり、引きちぎれたり、鋏で切ったりしたのでもない。

私がその原因について自分の考えを話すと、皆は火のついた石炭でも握っていたかのように洗濯物をほうり出してしまった。そんな縁起の悪い布地は雑布にするのもおことわりだという。何かの汚染を受けるといけないからというので、皆ガソリンで手を洗う始末だ。

私は交代後必ず入浴することにしているので、この作業服の事件後は、火傷、傷、腫物でも出来てはいないかと手の裏表をよく注意して見るようになったがべつになにも起らなかった。

そうだ、よく覚えておいて、この次アウラに会えれば、そのときに聞いてみることにしよう。

日がたつにつれて、私はもう円盤を見る機会はないかもしれないという気がし始めた。だがそれは間違っていた。

10日後私はクラリオンの円盤の7回目の訪問を迎えたのである。

第8章 クラリオン人の生活へ続く

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