同様にしてわれわれは円盤内部の印象を形成することができるかもしれないのだ。おそらく正確な印象ではないかもしれないが、一つの理論を公式化するのに役立つだろう。円盤の特徴の多くは報告されているので、円盤の最も共通な型に固執するならば、私の仕事は簡単になってくる。
ここに種々の事実がある。これらは確証され徹底的に調査されたものなので、それを認めるのに躊躇する必要はない。躊躇すればわれわれの研究の妨げとなる。
以下は一般に知られている事実である。
a) 円盤は一体に円形であり、コーヒー茶碗用の台皿をさかさにして、その中心部に小さなカップをのせた形に似ている。そこで「フライング・ソーサー」という言葉が生まれた。
b) 円盤は青灰色の物質で建造されているらしい。
c)大体に円盤は中心軸を中心にして回転しているのがよく見られる。
d)その多くは昼夜を問わず、強烈な光を帯びているのが見られる。
e)驚くべき加速と減速が可能で、空中に停止したり横トンボ返りを打ったり垂直に上昇したりして、意のままに運動ができる。
f)数度の機会に円盤が音を出していたことが報告された。これは例外であるらしい。大体に円盤は無音である。
次に円盤の主な特徴をあげることにしよう。一見したところではこれらの特徴は故意の計画の結果であるようには見えないが、よく考えてみると興味深い種々の可能性を示している。
(1)大体に円盤は二つの主要部分から成っていると考えられる。外部の皿型の部分(これは回転しているらしい)と、内部の球根状部分(これは回転していないと思われる)である。これはどうやら中央部(球根状部分)が一種の船室または操縦室であることを意味するらしい。これが正しいとすれば、外側の部分は発動機の一部または全体を収容していることになる。
(2)外観は金属のようで、その色は青味がかった灰色によく見えるけれども、高度に磨かれた金属の鏡のように日光を受けてきらめく光景がよく見られる。円盤によっては半 透明だといわれているのもある。
(3)完全な静止状態で空中に停止している円盤が見られることがある。次に中心軸を中心に自転し始めてから急速に飛び去る。ゆえにこの自転が"上昇"に対する必要条件だと仮定はできないにしても、外からは見えない何かの部分が自転し続けているということは全く考えられることである。またこの自転部分は一種の起電力を作り出す巨大な発電機として役立っているとも考えられている。しかし後述において、円盤の自転はこれよりもはるかに重要な意義を帯びていることがわかるだろう。
(4)船体の輝きは円盤の特徴のなかで最も不可解なものの一つであろう。色は青から緑、黄、オレンジ、赤などに変化するのが見られるが、赤が最もよく見られる。
円盤は一種の半透明な金属で作られており、その輝きは乗組員の人工的な"照明"にすぎないのだといわれている。チャイルズ機長の事件でこの確証らしきものがある。その長い葉巻型の船体はキャビンからマグネシウムの閃光に似た強烈な光を放っており、これと同種類の不気味な光は他の円盤類にも共通して見られる。この説は一応もっともだと思われるが、他の色についてはどのように説明すればよいか。それらの色はどの部分にあてはまるのか。矛盾を示してはいないか。そうかもしれないが、重要な事実が一つある。白、オレンジ、赤などに光る円盤の多くは地上から見られており、その際、円盤の底部も見られたのである。
空中から見られたと報告されたかなりの数の円盤は、青灰色の外観を呈していた。そうすると一つ推論できることがある。人工照明説が正しいとしても、円盤の下半分は何かの理由で色が変化しやすいということである。だがもっと重要な可能性は、さまざまの色光は本来全く表面的なものであるということ、すなわちそれらの色は円盤をとりまいている空間で発生するのかもしれないということである。たぶんもっと重要なのは、円盤によって示される各種の色光は、われわれの研究所で見られる、よく知られた電気現象に似ているという事実である。
(5)この不気味な光が円盤の最も神秘的な特徴であるとすれば、驚くべき加速度は最も不可解な事である。このすさまじい加速度は 経緯儀とレーダーで測定されている。それが後の各章で示される理論の主な理由の一つである。円盤が空中に停止したり垂直に上昇したりする性能は、ヘリコプタータイプの翼すなわちローターに属するものであるが、ちょっと考えればこれは違うことがわかる。
アディックス機長が目撃した事件のように、円盤がまるで巨大な車輪のように空中に縦になって旅客機と並行したという場合、その推力の中心線が地表と平行しているのに、航空力学的浮揚理論で円盤自体を空間に浮かばせることができるだろうか。
飛行機が高速で低空を飛ぶ場合は、かなりの音を発するのが普通である。しかるに音がしなかったとすれば何か異常な物が動いていたと考えてもおかしくはない。私は例外的な解釈を見つけたいと思う。しかも問題はまさに空飛ぶ円盤なのである。少数の例を除いて円盤は全くの無音であった。そこで考えられるのは、円盤がいかなる動力を用いているにせよ、可聴帯域以外の周波数の波動を放射しているにちがいないこと、その性質は電気的なものか、それともわれわれには全く未知な何かにちがいないということである。
私か他のだれかが完全無音のガスタービンを作るのは困難である。音を立てないようにするだけでも、このようなアイデアをだめにしてしまう要素が別にあるからだ。したがって揚力を発生するために円盤の外側のリング状部分に何が仕掛けてあるにせよ、それはわれわれが知らないような物であろう。
円盤は一体に無音であるというのは本当だが、たまに音を出すことが知られている。ついでながら、"音を出す"蜃気楼を想像するのはむつかしい。かりに想像したいと思っても、そんな現象を書いた報告があればインチキとして無視されるだろう。ちょうどこうした事件が米国アイダホ州サモン・ダムと呼ばれる場所で起こった。
二人の鉱夫が清涼飲料を飲んでいたとき、空中に奇妙な聞きなれぬ音がしたのである。それは急速に大きな唸り音に変わってきた。空中から二人の方へ二機の円盤が飛来してきたのだ。美しい物体である。完全な鏡のようにピカピカと輝き、その光は驚くべきスピードとよく似合っていた。これは円盤が音を立てるよぅになる条件があることを意味する。
たぶん重要なのは、円盤が音を立てることにきめたとき、明るい日に太陽光を反射する鏡の表面に似た強烈な輝きを見せたことにある。さほど認められていない別な説としては、円盤のなかには用途に応じて各種のタイプの動力発生装置を持っているのがある、というのがある。
●各種の型の要約
円盤の簡単な分析結果を考えてみると、次のように要約すれば、これから先の研究にガイドとして役立つかもしれない。これは19世紀から現在までに及ぶ報告類のなかの、すぐれた部分からとったものである。もっと詳細な知識を得たい方は他の著書類を参考されたい。
D 現在の種々の限界 へ続く |