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  ホワイトサンズUFO搭乗事件 第12話 ダニエル・フライ

UFO Contactee No.145より転載 久保田八郎訳

第二章ホワイトサンズ事件以後

アランは数ケ月で地球へやって来ると言った。そして、そのときにふたたびコンタクトをすると言った。彼は本気で言ったのだろうか、それとも丁寧な別れの言葉だったのだろうか。


仕事への熱意を失う 

彼は私にたいして『彼らの援助に関して私の要求する最終的な決意』を聞かなかった。私が要求すると彼は信じているのかもしれないし、または私が無能な人間だから要求しないのだと思っているのかもしれない。だが私には分かるわけもなく、ただ待つだけだった。 

自分が何を待っているかが分からない場合は、待ち切れなくなるものだ。私は7月4日の夕方に発生した事件を公開することも他人に話すこともできなかった。(訳注:1950年7月4日の夜、砂漠地帯でダニエル・フライが別な惑星から来た宇宙船に乗せられてニューヨーク上空までわずか30分で飛んで往復したという驚異的な出来事。詳細は本誌139号から連載されている) 

それは一つには私がそうしたくないんだと暗黙のうちに認めているか、または私がそうしても誰も信じてくれないことは確かだったからだ。私は各種のロケットモーターをテストする自分の仕事にもどったが、かつての情熱を失ったので、数千年前に他の惑星の人類によって放棄されたことが分かっている不格好な時代遅れの地球のロケット技術についてトボトボと歩いて行くのはもう困難だった。

▲1995年1月米カリフォルニア州のアンザボレゴ砂漠で、ステヒーヴ・トムセンがこの砂漠地帯をハイクしていたところ、前方の空中に美しい銀色の金属物体が空中に停止しているのを発見。すぐにカメラで撮影したら物体は消えた。外形はアダムスキー型スカウトシップに似ている。
▲1995年1月米カリフォルニア州のアンザボレゴ砂漠で、ステヒーヴ・トムセンがこの砂漠地帯をハイクしていたところ、前方の空中に美しい銀色の金属物体が空中に停止しているのを発見。すぐにカメラで撮影したら物体は消えた。外形はアダムスキー型スカウトシップに似ている。

数日が過ぎて、数週間がたった。異星人アランやその仲間からはなんの音沙汰もなく、数週間は数ケ月になった。実験場付近には多数のUFO(未確認飛行物体)がやってきた、それはいつも報告されていた。 

私は考えた。「たぶんこれだ。彼らは戻って来たんだ。いまに私がやるべき事と、いつそれをするのかを私に言ってくるだろ」(私は自分でやるべき事をどのような方法でやるかを心得ていた) 

だが依然として何も起こらない。実験場への新しいUFOの訪問は、それを見た人々に興奮と確信をもたらしたので、自分が今まで持っていなかった知識から、全くありそうにもない世界の説明をすることになった。 

しばらくして最初の一連の(ロケットの)テストを完了したので、私はカリフォルニアの自宅に帰った。そしてまた二回目のテストをするためにホワイトサンズに戻って来た。

私はもう異星人アランとその仲間からの連絡や、彼が地球に住むという計画について考えるのをあきらめた。彼らが何かを始めることは信じがたく思われたし、時間の経過はそれをもっと困難にするようにさえ思われた。

私は自分が一時的な精神異常の犠牲になった人間であって、その出来事を自分の上司や仕事仲間に報告しなかったことを喜ぶべきだと思った。

火曜日の夕方、職員食堂を出て道路を横切り、私がいるHビルの駐車場へ向かったとき、私は突然、午後のテストの後で主計測盤の電源スイッ≠を切り忘れたことを思いだした。

重大なミスではないが、いくつかのアンプが通電されるので、オーバーヒー卜したら真空管が一、二本切れるかもしれない。これは全く起こりそうもないことだが、パネルのスイッチを入れたままにしておくことは私のルールに反することなのだ。なぜ忘れてしまったのか理解できなかった。

試験台までは遠かったが幸いに歩くことはなかった。会社の車がHビルのそばに停車しており、キーもついていた。五分後に私は試験場に到着して車を停め、計測室に向かって歩いていた。日が短くなってすでに暗くなっている。異星人アランの声が聞こえる 計測室に着く前に、試験台の真上をうろついているように思えるおぼろげな光に私は注意をひかれた。

そんな位置にライトがないことは分かっていたし、しかもその光の大きさは30センチメートルかそれ以上の直径があるようだし、照明装置にしては薄暗いものである。

急いでその方へ歩きだしたとき、突然に思惑が私の心に入ってきた。アランの声がすぐそばに立っているかのように聞こえてきたとき、すぐにそうだと確信した。

「そうですよ、ダン(訳注:ダニエルの愛称)、あの光は我々のものです。今は試料採取船を使っていないので、小さな通信用アンプを送るのが一番よいと思ったんです。そんなものはなてもできるんだけど、よいところもあるんですよ。私たちの会話でミスをなくしてくれるのです。

ところで、あなたは計測盤のことで心配していましたが、あなたはそれをちゃんと切ったんです。あなたが誰にも言わずに、おしゃべりのためにここへ来てくれるように我々がしたんです」

しばらく私は応えることができなかった。心は混乱している。結局真実だったではないか!”それとも幻覚であって、次の攻撃がやってきたのか。ついに私は当を得ない推測をやめて自分に言い聞かせた。

「真実のようだ。そのとおりに私は対処する必要があるんだ」

「素晴らしい結論です」

アランは私の想念を聞き取ったかのように言う。

「それは事実だとあなたに確信させることができます。真実というものは、あなた方が事実として受け入れているものよりもはるかに多く存在するんです。

しかし我々は正気や幻覚について話をするためにあなたを連れ出したのではありません。未来のことを話す必要があるんです。

私たちが最初に考えたよりも時間がかかっていますが、私の体を地球の環境に充分に適応させることと、地球の人間としてパスすることができることは確かです。それを成功させるためには、地球にすでに住んでいる人が私のために提供してくれる沢山のものが必要なんです。

あなたがその人になってくれるかどうかの最後の決心をしてもらう時が来たんです。自由な選択権はあなたにあるし、拒否しても何の罰もありません。我々を援助する意思がなければ、すぐに自分の部屋に戻ってもよろしい。このコンタクトや以前のコンタクトのすべての記憶はあなたの心から消されて、すべてが元通りになりますよ。我々が来る前より悪くなることはありませんよ。一方、援助してくれるというのなら、それに耐えるのは容易ではないということに気づくかもしれません。あなたは誰にも感謝されない仕事をし、時間と労力とお金を何の益もなしに浪費するようになるでしょう。あなたの評判は少なくともその活動を始めたときに、自分にとって苦痛になるでしょうし、その前よりもずっと悪い状態になることに気づくでしょう。

我々があなたに約束できるたった1つの報酬は、あなた自身の人類を救う活動を援助しているんだという内面的な満足感と、他の方法では決して得られない高い知識と理解を得るということだけなのです」

「最後の言葉はトリックだ」と私は言った。

「そこまではセールスマンのようではなかったんだがね。実際、あなたは私をこの仕事から思いとどまらせようとしているように思えますよ。仲間と一緒に奉仕して知識・経験それに理解を得ることは、生きるための言い訳にすぎないと私は思っているんだ。あなたが我々の幸せのためだけにやるんだと納得させてくれるのなら協力者になりますよ」

「有難う」と答えが返ってきた。

「私はあなたをおじけさせようとはしませんが、『この世の報酬』などであなたを錯覚させようとは思っていません。我々はこの仕事で何かの報酬を得ようとか、最後にあなたが、我々がそうであったように、偉大で永続的な報酬は奉仕したことで得られる知識だなどと、あなたに教えようとは考えていません。

我々はね、あなたが人々の幸せのために働くんだということを、もっともらしく言うことはできませんよ。少なくとも、始めは人々の生存のためだけに働くでしょう。もし彼らが生き延びたら幸せのために働くことができますが、もし生き延びなかったら、幸せは意味がないんです」

「それで充分だ」と私は言った。

「あなたが何を望んでいるのか教えて下さい。できるものならそれをやろうじゃありませんか」

「あなたにできない事を言いませんよ」とアランが言った。

「でも、そう思われるものもあるかもしれないけどね。我々の分析家はあなたの能力を正確に決定したし、ある部分ではあなたが考えているより高度なものがありますよ。しかし今、我々が欲しいものはそんなに困難なものではありませんからね。

文字と数学のテキストを要求

最初に、あなたの話し言葉については私もよく使えるけれども、あなた方と交わることができるようになる前に、それを完全にマスターしなければならないんだ。無学の者に読み書きを教えるために作られたテキストのコピーをもらえたら感謝しますよ。

それから高級でも低級でもよいから数学のテキストも使用できると思う。というのは、我々の数学はいくつかの重要な関係であなた方のものとは違っているからです。我々の祖先はあなた方と同様に、最初に計算法を学んだときに10本の指を使ったんです。

我々があなた方のやっているのと同じ10進法を基礎とした計算システムを開発したのはおきまりの結果だった。長い習慣から、その後、数世代の間、このシステムが使用され続けたが、12進法を基礎としたシステムがもっと簡単で有用で、本質的に可分性があることがわかったんです。ご存じのとおり、12は2、3、4、6で割り切れるが、10は2と5でしか割れません。 結局、我々の人類はどうあっても昔の習慣を破ろうと決定し、12進法による数体系を法律としてきめた数世代のあいだは数学的混乱の時代でした。

第13話へ続く

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