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  ホワイトサンズUFO搭乗事件 第7話 ダニエル・フライ

UFO Contactee No.142より転載 久保田八郎訳

(前回までのあらすじ)1950年7月4日の夜、米ニューメキシコ州ホワイトサンズのロケット実験場で技師として活動していたダニエル・フライは、暑さに耐えかねて砂漠地帯へ散歩に出かけたとき、突然空中から不思議な円形の物体が眼前に降下して着陸した。驚いている彼の耳にどこからともなく人間の声が響いて、地球の科学の誤りその他について英語で説明し始めた。フライは更然として聞くのみ。この物体は別な太陽系の惑星から釆た宇宙船らしい。やがて彼はそれに乗ることをすすめられて、信じられないような超高速でニューヨークを目指して無音で飛行したのである。この物語は実際に発生した驚異的事件として世界のUFO研究界にショックを与えた。この記事は生前に彼から翻訳権を与えられた訳者による連載の第四回目である。

樹木とヘビのマーク

「そうです」と私は答えて「いくぶんか読書したことのある人間なら、この樹木とヘビのマークに気づくでしょう。こいつは地球のあらゆる民族の昔の碑銘や伝説などに見られるものです。私にはいつも地球の特殊なシンボルのように思われていたんだが、宇宙の彼方から出現したのを見て驚きましたよ」

「それはこの次のコンタクトまでおあずけにしようと思っていた事です」とアランがいう。

▲イラスト 池田雅行
▲イラスト 池田雅行

「話したいことが沢山あるんだが時間がない。我々の先祖は元この地球から来たんです。先祖はあなたがたの伝説でいっているミューまたはレムリアという大陸で大帝国と偉大な科学を築き上げた。同時に、アトランティス大陸にも大帝国があった。彼らは科学的に対立していたのです。最初は友好的だったが、時代とともに仲が悪くなって、両国は相手に対していろいろな業績を誇示し合うようになった。数世紀たってから彼らの科学は、今地球に存在する科学水準を凌駕してしまった。わずかばかりの原子エネルギーを解放するだけではあきたらず ―これは今地球の科学者がやっていることなんですがね― 彼らはエネルギー軸を中心に全質量を回転させることを知った。こうした状況下では二つの大陸が結局互いに破壊し合うことは当然です。今日の地球の二大国がやろうとしているようにね。

しかしこの話は我々が帰って来るまでおあずけにしましょう。もう時間がすぎてしまった。母船を現位置に静止させるにはかなりのエネルギーを必要とします。しかも貨物船(フライの乗っている円盤)を見捨てるわけにはゆかない。それは地上にいる。だからドアーを開くことにします。じゃ、さよなら、ダン。我々が帰って来るまでお大事に」

夢遊病者のように私は円盤の床から降りた。そして砂の中を十数歩よろめきながら歩いて、うしろを振り返った。ドアーはすでに閉じられて、振り向いたとき、船体の中央部あたりに水平な一すじのオレンジ色の光が現われ、それがカタパルトから発射されたように上方へ飛び上がった。上方へ吹き出された空気を入れ替えるために吸い込まれてくる空気で私は一歩前へ押されて、危うく体のバランスを失うところだった。光のすじがスペクトルのオレンジから紫まで変化するあいだ私はかろうじて円盤の方に目を向け続けた。このときまでには円盤は空中数千メートル高く上昇しており、光が紫色でなくなったとき視界から完全に消えてしまった。 ひどくがっくりとした感じが全身にわき起こってきた。自分の仕事や人生の意義がすべて失われたような気がする。数時間前まで私は世界最大のロケット用計装を装備する自己満足的技術屋であった。その計画の中の私の仕事は、一小部分にすぎないことがわかっていたにもかかわらず、まるで自分が少なくとも進歩の先端を切っているように思っていた。しかし今やロケットのモーターが哀れな時代遅れであることを知ったのである。私は間の抜けた幼稚な科学のなかのちっぽけな無意味な歯車の歯にすぎない。その科学はそれ自体の破壊の方向に進んでいるだけである。長いあいだ私は砂の中に立って乱れたヤプのはびこった地面から星々を見つめていた。

第二部 異星人アランのメッセージ

"地球の人々へのメッセ-ジ″は1950年7月4日、ニューメキシコ州のラスクルーセスの近くのホワイトサンズ・ロケット実験場に始まった異常な訪問の話である。

一般の読者には信じてもらえるとは期待できないが、その出来事の歴史的な記録である。かりにこれがフィクションと考えられたとしても、この本は幻想的な読み物であり、主題を理解するのには十分役に立つので、読者が信じようと努力する必要はない。

これは新しい本ではなく、最初の報告は1954年に"ホワイトサンズ事件″として出版されている。それ以来、英文では18版になっており、九ヶ国語に訳されている。これらはすべてほとんど同時になされたがそれを広めるのに著者も発行者も何らの努力もしなかった。決してベストセラーではないが毎年この本に対する要望が続いて版を重ねている。ベストセラーにはならないが読者が決してなくならないで数十年のあいだ続く永遠の本の一つになったようだ。この本に現われた科学的概念のいくつかが今日的なものになっているとしたら、読者はこの本が20年以上前に書かれたことを思い出してほしい。

地球は大昔から宇宙船によって観察されていた

測りしれなく遠い惑星間の空間から一台の遠距離宇宙船が地球に接近しつつあった。やわらかく照明された休憩室に、宇宙旅行者と思われる二人の若い男女が小さな会議机をはさんでお互いに向かい合って座っていた。二人の間の壁には沈黙したビデオスクリーンがあり、それを作動させる電子パルスを待っていた。若い女性が話をしていた。

「私たちの出発前にあなたに説明する時間がなかったことは申し訳ないと思っています。でも、このことは本質的なこととは考えられません。というのは、今回の使命と多くの入り組んだ問題についての完全な説明をする時間は充分あるからです。このような勉強のために必要な映像および音声データを積んでいます。この資料は単純でしかも順序だって提供するために注意深編集されています」

そのとき女性がすぐ飛び出て、完全に渦巻状の銀河系を写しだしているビデオスクリーンの底部にある操作装置に触れると、渦巻の翼の一つが視野一杯になるまで銀河系はスクリーン上で、急速に接近した。その間に、女性の声が続いた。

「あなたも知っているように、私たちが接近しつつある太陽系は私たちの銀河系の、この渦巻の翼の内側に位置しています。地球自体は百世代以上の間、それを通過する銀河連邦政府の宇宙船によって、ときおり観察されており、以前に作られた記録がいくつかあります。その惑星は、そこで発達している私たちに似た人間状の生命をもつ族がいるので私たちの人類学者の何人かにとっては特に興味のあるものでした。過去の幾世代かの間に、私たちの宇宙船はそのコーススがその惑星の観測範囲内にあるときにはいつも追加の記録を作成し、より多くのデータを集めてきました。私たちの現在の観測技術によれば、もちろん、彼らの太陽系内のどこでもが観測範囲にあります。」

若い女性が語り続けている間に、ビデオスクリーンは彼女が説明するとおりにその惑星の各面を描写していた。

「私たちは全データのほんの一部しかもってきていませんが、連邦政府の本部図書館には地球の大気、水、土のサンプルはもちろん一千観察時間以上の映像および音声記録があることを私は知っています。多くの大胆な探検家の何人かによる短時間の着陸によって得た美術品さえいくつかあります。

この地球の表面の約71パーセントは、かなりの深さまで水によっておおわれています。この事 (水におおわれている事) は、陸地を制限している一方、連続的な蒸発と凝縮によって、ほとんどの動物と植物が必要とする充分な水を供給しています。この状況は水中と陸上の両方における生命体の進化のために理想的なものです。あなたが見ようと思えば、そこには無数の生きものが発見されるでしょう。

この地球を最初に大規模な観測をして、あたかも自然のごとく見え、気まぐれなムードにあるようだと報告書で述べている社会研究パトリールグループはこの惑星を、そこで有機体分子、原型質細胞を想像できるパターンと、結果として起こってくると思われる組み合わせにそれらを結合させるために、実験所として選びました。現在の生物研究家グループの間では、この多種多様な形を作り出したのは自然でも偶然でもなかったという疑問が生じてきています。

連邦に知られていない、いくつかの進んだ人類がこの地球を実証地として使用したかもしれず、また地球上で現在発見される生命体(複数)は、いくつかの長期研究プログラムの一部として開発され、植えつけられたというのが彼らの理論です。進化によるか移住によるかは別として、適当な環境をもつ惑星(複数)のほとんどにおいて、種々の進化段階で、人間状のものが起こるべくして現われてきました。

この特別な惑星の特筆すべき事実の一つはその初期の発達段階におけるすべての段階の人間状種族が同時にそこで発見できることです。弓矢も持たず、道具や武器は依然として石でできている種族(複数)があり、同じ時期に原子核からのエネルギーの解放を制御して使用することも含めた相当の技術レベルに達した別の種族もあります。あなたも知っているとおり、人類の進化においてこの二つの点は数百世代も離れているのが一般的ですが、地球上ではその両方が同時に、しかも隣りあって存在しているのです。

ほとんどの原始的種族は事実上、進んだ種族の知識は何ももっていないが、進んだ種族は原始的種族の存在と状態をよく知っています。進んだ種族は今や、惑星のどこにでも飛んで行ける航空機を持っており、彼らがそうしようと思えば原始的な種族の発展に容易に援助することができるでしょう。しかしながら、進んだ種族が自分で創り出した多くの危険な問題を調べると、おそらく彼らはそれをしないと思われるでしょう。彼らはむしろ強力な技術的な直感をもち、自分の技術的な偉業に対してかなりの誇りをもっているにもかかわらず、科学的知識と根本的な英知との区別ができていないように思われます。どの種族においても明らかに後者(英知)はほんの少ししか存在していません。

第8話へ続く

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