●大陸部の地底岩石が大阪に
日本列島の基盤となる岩石が大阪府豊能郡能勢町の山間部に大規模に露出していることがこのほど確認された。これらの岩石は大陸部の地底でしかつくられないもので、日本列島が大陸か大陸の一部であることを示す最初の"直接証拠"になる可能性が強い。この岩石を確認したのは神戸大教育学部地学教室の中島和一教授、田結庄良昭助手と大阪府立泉南高校の池垣憲二教諭。
おもな岩石は「ざくろ石花こう岩」とでも呼ぶ一種の変成岩と「けい質砂岩」の2種。両岩石は日本では全く見つかっていないもの、極めて珍しい質のもので、中島教授は先カンブリア紀(ふつう35億年前から6億年前まで) のものに間違いないとみている。年代測定しだいでは日本最古の岩石になる可能性もある。
●これで地震の被害を最小限に
気象庁などが49年度から地震予知第3次5カ年計画を進めているが、その一環として昨年9月6日、愛知県の渥美半島先端に近い伊良湖測候所に、地底のひずみを調べる新型歪計を完成させた。今年度中に静岡県の静岡石廊崎、御前崎、三ケ日町に設ける計画。このように遠州灘を中心に歪計を設けることについて同庁は「遠州灘では過去120年間大きな地震がなく、専門家の間で"エネルギーが蓄積され大地震が起こる確率が高い"とみられているためだ」と説明している。
また、気象庁末広重2地震課 長は「地震はこれまでの研究結果などから、1万メートルにつき1メートルずれる力が地下の岩盤に働くと、その力に耐え切れなくなり、岩盤が崩れて起こるといわれている。とくに大地震の前には、岩盤に加わる圧力が急激に変化するとみられるので、この歪計である程度、地震予知が可能になるのではないか」と話している。
●一酸化炭素中毒の心配なし
人間が生きるために欠かせない血液。これに代わる人工血液の研究が進められている。輸液の研究が進んで、いまでは十分なカロリーのある栄養素を血液の中に送りこむことが可能となった。次は当然、酸素の運び屋ヘモグロビンの代用はないか、ということになる。
いまその期待がかけられているのは一般にフロロカーボンと呼ばれている過フッ化炭素化合物だ。フロロカーボンは油性物質で水に溶けないので、適当な界面活性剤でくるんでやらねばならない。ヘモグロビンなら、酸素は化学的にくっつくが、フロロカーボンでは、酸素や炭酸 ガスは中に溶け込んでいるだけなので、出入りしやすいだろうという。
「血液型はないので、だれにでも使える。一酸化炭素は溶け込まないので、一酸化炭素中毒の心配はないし、血清肝炎もない。発がん性もどうやらなさそうだ」と光野孝雄神戸大教授は人工血液のすぐれた点をあげる。
●列島全体の火山が噴火か?
このところ、海中火山噴火の話題が絶えない伊豆、硫黄両列島で、また新たな海底火山活動が発見された。大噴火で数多くの犠牲者を出したこともある明神礁と鳥島の近くの岩礁「嬬婦(そうふ)岩Lと「スミス岩」で、嬬婦岩は史上初の、スミス岩は59年ぶりの活動。
今回の活動発見者は東京工大の小坂丈予教授 (火山化学)。 昨年8月13日、西之島新島調査のため、海上保安庁の観測機で南下中、スミス岩のつけ根と、嬬婦岩の北約500メートルの海面が緑色に変化しているのを見つけた。この変色水は火山ガスの成分が海水と化学反応を起こして生じるもので、海中噴火の証拠だ。
伊豆、硫黄列島で、ここ5年間に活動した火山は、北から伊豆大島三原山(一昨年3月小噴火)明神礁(45年) スミス岩、嬬婦岩、西之島、硫黄島(28年頃から年間3、40センチと異常隆起中、49年北部で小水蒸気爆発)福徳岡の場(南硫黄島地束約90キロ、47年から断続的に活動中) 日吉沖の場(同島南東約90キロ、昨年8月28日)福神岡の場 (同島約330キロ、48年、49年各3回)と九カ所にもおよんでいる。
ここ数年、急激に列島全体の火山が活発化してきたように思える。たまたま活動期が一致したからか、それとも海上交通が多くなったため、発見のチャンスがふえて、活発化しているように見えるのか。
昨今、日本列島に関して無気味な予言が飛びかうおり、何事も起きなければよいのだが。
●海底に造山運動が起こったか
第5管区海上保安本部(神戸)に昨年10月3日朝、入った連絡では、現場は宮崎市の東113キロ、足摺岬南南西103キロの日向灘(東経132度38分、北緯31度51分)の水深2000メートル前後の海域で、水深わずか5〜7メートルの岩礁を大分県の漁船群が発見した。
この岩礁は海図にはなく、各船が集まって、約15人の漁民が半信半疑ながらも、確認した結果、岩礁は長さ約10メートル、幅7メートルの頂部で、海底からそそり立っている状態。
調査は「拓洋」が当たることになり、ロランで岩礁の位置を確定、音響測深儀で水深などを測定する。 岩礁が実在するとすれば、地殻変動などによる造山運動で、海底が約2000メートルも隆起したことになる。
この海域では、43年4月にマグニチュード7.5の日向灘地霹が起きており、地殻変動で海底が隆起したのではないか(?)ともいう。
●環境に順応しやすい人体
無重量状態の影響を予防する装置類は、十分な効果があるとこのほどソ連の科学者、ニコライ・グロブスキー博士は述べた。無重量状態に適応するまでに平均4日ほどかかるが、軌道科学ステーション・サリュート4号で63日間暮らして地上に帰還したピョートル・タリムク、ピタリー・セバスチャノフ両宇宙飛行士は、ずっと早く容易に無重量生活に慣れてしまった。
また、地上帰還後、以前と同じような生活感覚を取りもどすのに要した期間も短かった。2人は内耳前庭と方向感党についても興味ある報告をした。無重量状態では内耳前庭は全く役立たず、視覚だけが頼り。目を閉じれば方向感党はなくなる。そこで、天井が床だと思いこんでしまえば、あとは仕事の上にも支障はないし、心理的な困難もなかったという。
●太陽内部にできるコブが原因
米アリゾナ大のヒル博士らが、1時間ぐらいの周期をもつ太陽の振動を観測したと、つい最近述べた。これまで太陽表面での局部的な小さな振動(約5分の周期)は観測されているが、今回観測されたのは全く別の振動で、しかも太陽内部に原因があるとみられている。
これまで太陽は水素の原子核である陽子が2つ融合して重水素になり、この重水素と陽子とで軽いヘリウム原子核ができ、さらに軽いヘリウム原子核同士で重いヘリウム原子核になる、といった融合反応が起こっている。ところが、1つの疑問がでてきた。融合反応の一部では、ニュートリノ(中性微子)と呼ばれる電荷をもたない軽粒子が発生する。この太陽ニュートリノは1968年から観測されているが、実際にみられる量は理論値よりはるかに少ない(約5分の1))ということが明らかになったからだ。太陽モデルは基本的な点で壁に突きあたった。
そこで新しい理論が出された。東大天文学科の海野和三郎教授、尾崎洋二助手、大学院生の柴橋博資さんの3人による説だ。
太陽も進化を続けている。しかし、その動きは一様なものではない。融合反応のある部分が促進されるときと、そうでないときがある。軽いヘリウムから重いヘリウムになるとき、太陽内部にコブ〃ができることがある。このコブ〃は、平均分子量にムラがある重力的に不安定な層だ。この中では、軽いヘリウム原子核が融合する反応が急に進む。これによって振動が起きると考えるのだ。
また、こうしたコブ〃ができたり消えたりするくり返しは1000万年から1億年の間隔で起こるとみられている。このような反応のムラがニュートリノの量の増減になってあらわれているのではないかという。そしてこれが地球に周期的に訪れた氷河期にも関連しているのではないかと考えられるのである。
●宇宙からやってきた大雪塊か
67年前(1908年)、シベリアで起こった謎の大爆発の原因について、ソ連科学アカデミ−会員のゲオルギ・ぺトロフ、ウラジミル・スタロフ両博士はこのほど「宇宙からやってざた100万トンもの大雪塊ではないか」と、新説を発表した。 (シベリアの謎の大爆発についての詳細な内容は本誌12号に掲載)
ぺトロフ博士たちの新説によると、おそらく、すい星の核だと思われる直径約800メートルもあるボールのような雪のかたまりが、時速4万キロのスピードで大気圏に突入し、まさつ熱のために約50キロ上空で爆発したのだという。しかしこの理論の根拠については明らかにされていない。
●膿胸による自然治ゆか!?
死は時間の問題といわれた重症の肺ガン患者が、たまたま、肺にうみのたまる膿胸(のうきょぅ)という病気を併発したため、ガンが自然に治ったという報告が、昨年10月1日、大阪で開かれた日本肺癌(ガン)学会で発表された。入院患者を膿胸に感染させることは医者にとっては恥とされているが、膿胸のあとガン細胞がきれいに消えうせている例を4つほど上げ、ガン治療に有力な手掛りを与えるものとして注目を集めた。
膿胸を起こした肺ガン患者に生存率の高いことは20年はど前から注目され始めているが、自然治ゆとはっきりした例がこのように多数党表されたのは初めて。肺ガンが治った理由としては@膿胸を起こした化膿菌がガン細胞をも殺してしまうA化膿菌の出す毒素に対して体の中に抗体ができ、この抗体がガン細胞に作用する ーなどが考えられるというが、詳Lいことは今後の研究課題という。
●交戦国でなければ25年で回復
全米科学アカデミ−は北半球で大規模な核戦争が起こることを想定して、次のような報告書を発表した。(昨年10月4日報道)北半球でTNT火薬計1万メガトン相当の核兵器が使用されたとして、フィリッブ・ハンドラー科学アカデミ−総裁は、交戦国から離れた地域も高濃度放射能に汚染され、激しい気候の変化が起き、米国やカナダが核戦争に巻き込まれれば世界中の小麦の3分の2が失われると述べた。
また、オゾン層の約50パーセントが破壊されると予想、これは中緯度地帯で40年間にわたって皮虜ガン発生率を10パーセント上昇させるだろうと警告している。
しかし戦争に直接巻き込首れない地域については@自然生態系は大きな悪影響を受けるが、全生物が死滅してしまうほどではなく、3〜10年で回復し、25年以内にはほぼ完全に元にもどる。A南半球のオゾン層破壊は20〜40パーセントで、約4年間でほぼ回復する。H戦争後に生まれる第一世代では放射能による遺伝的障害が0.2〜2パーセント増えるが、第四世代までには半分に減ると予測している。
●西洋人にとっては雑音。
日本人は、動物や鳥、虫や声を脳の左半球で聴くが、西洋人は逆に右半球で聴くという。左半球には言葉を理解する場所(言語中枢)があるので、日本人は鳥や虫の声を言葉と同じよぅに感じている。しかし西洋人にとって鳥や虫の声は雑音。この違いは日本人と西洋人で先天的に脳のつくりが違うからではなく「子どものときに日本語を話して育ったかどうかで決まる」と東京医科歯科大難治疾患研究所の角田忠信講師が実験によって確認した。
図のように、日本人と西洋人でははっきり違う。西洋人では左半球(優位脳)言語音と子音を聴き分ける機能だけが高く、そのほかの音は右半球で識別する。
ところが日本人は、言葉のほかにアイウエオの母音、動物の鳴き声などかなりの音を言葉のなかまとして聴いている。 「その原因は、日本語の母音にあります」と角田講師。たとえば「イ」という音だけでも、日本語には医、衣、異、意、井、囲、層……とたくさんの意味がある。日本人の脳は「母音は言葉だ」と聴くように訓練されているのだ。
セミは「ジイジイ」、カエルは「ケロケロ」と母音で終わるように表現することで言葉になる。外国語で母音がこんな役割を果たすことは、きわめてまれだ。だから、日本人は、外国人なら右半球で聴き分けるはずのただの音まで母音で表現することで言語化し、左半球で聴くようになったといぅのが角田講師の解釈だ。
この説を応用して、いろんな民族の音の聴き方がどう違うかを調べれば、日本語の起源を探れるかもしれない。
●その存在を光学的に確認
米航空宇宙局のエドワード・ガル博士は昨年10月14日、ロンドンでオリオン座付近のエックス線星「AO621マイナス・ゼロ」ガナゾの暗黒天体ブラック・ホールであると発表したが、明るさは約2.7等で同観測所の観測では1〜11時間の間隔でまたたいている。明るさの増減は0.1〜0.2等。
ブラック・ホールは理論的には早くから予言されていたが、光を出さないため実証されず、わずかに強力なエックス線源がこれに当たるのではないかと推測され、エックス線天文学による解明が続けられているところで、比較的近いものについて光学的確認と距離の測定が急務とされていた。
ブラック・ホールは星が光を失って最後にたどりつくもので、自らの重力によって内側につぶれ、異常な超高密度となるが、そこでは光も外へ出られず、時間も遅れるなどいろいろ興味ある現象が生じているといわれ、現在天文学の最前線の問題となっている。
●資源小国、日本が一番乗りか
太陽熱は無公害で、ふんだんにあるエネルギー源である。米航空宇宙局(NASA)と全米科学財団(NSF)の協力でできた太陽エネルギー検討会も「米国の将来の熱源、動力源の主体は太陽エネルギーだ」という結論を出した。「石油や石炭が豊富で安い米国ではまだコスト高だが、燃料の値上げ、需要増大から、近い将来は石油や原子力と競争できるようになる。冷暖房、燃料変換、発電などで2020年までには、技術的、経済的にかなり実用的になる」としている。
わが国ではどうか。太陽エネルギーの利用を研究する政府のサンシャイン計画は始まったが、太陽熱発電所を設置したくても土地がない。海上に設置しても台風が来る。台風に耐える設計をすると、かなり高いものにつく。比較的晴天の多い太平洋岸でも、1年の半分は降ったり曇ったり。せっかくの発電所が1年の半分遊ぶことになる。
気象学の世界的権威、シカゴ大学の藤田哲也教授は「赤道直下の南太平洋、カントン島からガラパゴス諸島にかけての海を利用しなさい」と提案する。同教授は、米国の各衛星が毎日送信してくる地球の宇宙写真を見ているうち、この海域だけが四季を通じて晴れていることに気づいた。
ここは赤道直下でありながら水温20度という寒流のため海水の蒸発量が少なく、雨量も少ない海の砂ばく〃である。太陽エネルギーの豊富な熱帯で、これほど雨の少ないところは世界に例がない。悪天候を招く赤道前線もここでは発生せず、台風も絶対にこない。カントン島からクリスマス島にかけては海流もゆっくりしている。
「海上に太陽熱発電所を建設するなら、世界でここしかない。 いまに、ここが世界のエネルギーの中心になるように思う。ここを日本の発電所にしたらどうですか。ほおっておく手はないですよ。そのうち米国が乗り出すかもしれません」と藤田教授は、シカゴ大学の研究室で熱っぽく語った。
NASAの調べによると、赤道上空の大気の頂上に差し込む太陽エネルギーは、年間平均で1月1平方センチあたり850カロリー。このうち350カロリーが大気に吸収されて、残り500カロリーが海面上に届く。幅2キロ、長さ3.5キロの太陽発電イカダを50個浮かべれば、わが国が1年間に使う電力を生産することが可能だ。
●海溝部の引っぱる力が原動力
いまや、地球科学の基礎となっているプレート・テクニクス理論の原動力に新説が登場した。今まで、プレートが何を原動力に不断の運動をするのかはっきりしなかった。
東大地轟研究所の上田誠也教授は、昨年10月5日、地震学会秋季大会で「プレートの原動力は、海溝で地球内部にもぐり込むプレート先端部の引っ張る力である。これが機関車の役目を果たしてプレート全体を引きずっているのだ」という新説を発表し、注目された。
プレート運動の原動力については、これまでにもいくつかの説があった。代表的なものに「マントル対流論」がある。しかし、対流運動を起こし得る比較的軟らかいマントルの層(アセノスフェア)は薄く、小さなウズしかできない。この小さなウズの力ではプレートを動かすことはできないだろうと上田教授は考えている。
そこで、プレートの運動速度と海溝、海嶺の長さと相関関係を調べてみた。すると長い海溝を持つプレートほど運動速度は速いが、海嶺の長さと速度との間に相関関係が全く見られなかった。どうやら海溝部の引っ張万力がプレート運動を支えているようだ。
さらに上田教授は、海溝部の引っ張り力、海嶺部の押す力のほか、プレート運動に関係ありそうな海底大断層のずれ〃の力や各種の抵抗力の強さを比較してみた。その結果、海溝部の引っ張り力(図中のAの力) とプレート先端部が沈降するさいの低抗力(同B)が他の力に比べて10倍以上大きいことがわかった。この研究から上田教授は、海溝部の引っ張り力がプレート運動の原動力という結論を導き出した。
●フレミングの右手の法則応用
工業技術院は、東京・田無の電子技術総合研究所で超電導マグネット組み合せによるMHD発電機の長時間発電実験に世界で初めて成功した。(昨年12月10日報道) 省資源発電のエースといわれるMHD発電(磁気流体発電)の開発に成功すれば、火力発電を20パーセントも上回る熱効率が得られるといわれ、米ソなどでも積極的に開発に取り組んでいる。
MHD発電というと難しく聞こえるが、原理は簡単でフレミングの右手の法則を使って発電するものだ。つまり、磁石はN極とS極の間に磁場を持っているが、その磁場の方向に垂直に導体が動くと電流が流れるというもの。
MHD発電のトータルシステムはMHD発電に在来の発電方式を併設したものといえる。実用段階に達したときには両方あわせて熱効率は60パーセント程度にあると見込まれており、新鋭火力では40パーセントが限界といわれているだけに、大幅な省資源発電になる。エネルギー資源の乏しいわが国のエネルギー政策に大きく寄与する研究開発である。
MHD発電の難しいところは安定した強い磁場をつくることや、連続して流れる高温ガスに対する耐熱材料の開発などだ。 これまでの実験では、かなりいいデータが得られているが、実用化を考えると、まだまだ研究しなければならない点が多い。
●米国の17歳の高校生が発表
問題の古代絵文字は、いまはパキスタンになっているインダス川流域に5000年前頃居住していた人々が使用していたもので、ヨーロッパ言語や一部アジア言語の祖先とされながら、どの学者も解読できなかった。 この文字を米ロードアイランド州リンカーンの高校生、ジム・ダック君が解読したと胸をはっている。「特別な才能があるわけではなくて、ただ言語に魅せられているだけ」 と謙虚だが、解読の成果は近く考古学雑誌に発表するという。
ちなみにこのジム君、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語、オランダ語、エスペラント語、サンスクリット語、古代エジプト語スメル語、古代アングロサクソン語などの読み書きができる語学の天才〃。
●プラズマ安定化と不純物除去
日本原子力研究所はこのほど、世界中の科学者が手を焼いていた核融合装置内でのプラズマ(核融合反応の燃料)の安定化と不純物の除去という二つの難関を世界に先がけて解決した。
現在、このプラズマは思い通り容器の中で静かに浮いてくれない。容器の壁に当たっては壁を溶かし、溶けた金属が不純物としてプラズマに混じり込んでしまう。プラズマ内に不純物がまじると、発光現象が起きて熱が奪われ、プラズマが冷えてしまう。このため、各国の大型トカマク装置ともプラズマ温度を1000万度以上に上げることは困難だった。
JFT−2aは、こうした問題を解決するために一昨年秋完成したマシーン"で、内部にトカマク装置としては世界で初めて「ダイバータ」という装置を付けた。これは、ドーナツ状げプラズマの内側に鋼線の輪を作り、その上下にチタン合金線の輪を置いたもの。銅線に電流を流すと、プラズマ内に流れている電流との相互作用で「8の字」型の磁力線で生まれる。この磁力線の力でプラズマの形が整えられ、安定して容器内に浮いていることができる。これでプラズマが壁にぶつかり、不純物の生じる割合は激減する。
また、不純物の混じったプラズマは「8の字」型磁力線に乗ってプラズマ容器の外に出、ダイバータの鋼線のまわりを回るが、そのさい吸着性の強いチタンによって不純物が除去され、純度の高いプラズマに再生〃されるというもの。
JET−2aの今回の成果はプラズマの安定化と不純物除去の問題解消の道を開くもので、51年から建設にはいる日本のJT−60にはこの成果を十分取り入れ、90パーセント以上の高純度プラズマを作って一気に一億度の超高温を達成しょうとねらっている。
●米国の学者チームが発表
木星の大気中に一酸化炭素の存在が初めて確認されたと発表された。木星の大気中には水素とヘリウムが大量にあり、メタン、アンモニア、エタン、アセチレン、リン化水素および水蒸気が少量あることが従来から知られているが、今回のこの発表は米国のジェット推進研究所「JPL」とテキサス大学天文学チームによる。(昨年10月14日報道)
●直下型地震の防災対策に急務
東京とその近県に直下型地震の起こりやすい活断層が16ヶ所確認された。東京都防災会議地震部会は中間報告をまとめ、発表した。(昨年10月20日報道)
それによると直下型地震の際、被害を大きくする活断層は、埼玉、神奈川など首都圏一帯にかなり集中していることがわかった。確認された16の活断層のほか、埼玉県内にさらに5ヶ所の断層らしいものと2ヶ所の地殻変動が見つかった。
一方、東京付近の過去における地震活動状況を調べたが、昭和に入っての東京での有感地震は2077回(年平均41.5回)で、微震(震度1)軽震(同2)がほとんど。震度3(弱震)が148回、同4(中靂)19回、同5(強震)3回で、同6(烈震)はゼロ。震度3以上の地震の震源地を見ると、千葉県中部、茨城県南西部、茨城沿岸沖が全休の50パーセントを占め、東京直下型はきわめて少なかった。
東京を中心として半径100キロ圏内に震源をもち、東京に何らかの被害を与える地震は100年間に10個内外発生。そのうち明治27年の東京地震(マグニチュード6.5、東京、横浜など東京湾沿岸で死者31人、建物全半壊130戸などを出し、安政江戸地震以来の強震)程度の被害を生じるものは2、3個と推定された。
また半岩石状の軟弱層が地表から地下122キロにもおよび東京の地盤は意外に軟らかいことも明らかになった。
●学者の想像を裏切った金星
金星は地球のすぐ内側の軌道をまわっている地球に最も近い惑星である。いつも厚い雲に包まれているため、金星の世界は長いことナゾとされていた。
昨年10月22日、25日の両日、ソ連の惑星間ステーション金星9号、10号が送ってきたパノラマ写真は、学者たちの想像を裏切った。
写っていたのは、30−40センチの岩石がゴロゴロした明るい世界だった。ソ連の惑星学者ミハイル・マロフ博士は「9号の写真に写っているカドのとがった岩は、金星がいまも活発な地殻運動をしていること、つまり金星がまだ生きていることの動かぬ証拠である。10号の着陸したところは10平方メートルもある一枚岩で、9号が着陸したところよりは古い、風化した平らな地域である」と述べている。
人類は金星の上で生命と出会うことができるだろうか。ソ連科学アカデミ−学術勤務員のユーリー・コレートフ氏は「金星表面から30-70キロ高いところは、気圧もそれほど高くはないし、気温も地上と同じくらいだ。この雲の層こそ金星の生命のゆりかごである」と述べている。
かりにこの雲の中に生命が存在しなかったとしても、「金星なら人類の住める星に改造"できる」と本気で計画を練っている学者もいる。たとえば米コーネル大のカール・サガン教授。クロレラよりも下等な藍藻 (らんそう)類をロケットでこの雲の中にまき散らすと、藍藻類は大気中の二酸化炭素を吸って酸素を吐き出す。二酸化炭素が減っていくと金星表面の湿度はしだいに下がり始め、雨が降り……という計画である。
●このミステリーはナンセンス
謎のバミューダ海域"、いまや、アメリカでも大きな話題を呼んでいるこの問題に、米航空界の続元締め、連邦航空局(FAA)が、ついに同局の機関雑誌「FAAワールド」に初めて公式見解〃を発表した。それによると「このミステリーはナンセンスだ」と結論付けてはいるが、「特殊な問題」があることも認めている。
飛行機や船の失跡の原因として@天候異変A海洋横断の飛行、航海技術の未熟さB航行装置の不完全さC荒天による捜索、救助作業の難しさ……などを指摘している。
とくにバミューダ海域の天候は急変しやすく、飛行機が舞い込むと翼をもぎとられ、海中にバラバラになって墜落するという。また、この海域では、海流と波浪が大変な暴れん坊で、墜落機や難破船の残がいを何キロも遠くへ押し流し、捜索隊に手がかりを残さないと説明している。
●現在の姿は200万年前から
東大海洋研で開かれた「フィリピン海の構造と地史に関するシンポジウム」の席上、池辺展生大阪市大教授は、四国、九州の南方からフィリピン沖まで広がるフィリピン海は、900万年前までは広大な陸地で、現在の姿になったのは200万年前という説を発表した。
池辺教授によると、沖縄、南九州、南四国、紀伊など、南西日本の広い地域で、1500万年前から900万前までの地層中に有孔虫がみられないという。 有孔虫がないのは、当時そこが陸地だったことを示す。400万年前から200万年前にかけて、海面の上昇が何度か起こり、1000メートルも上昇して、現在の姿になったというわけだ。
(終わり) |