第四の植物生長ホルモン
中国の原野の沼や水辺に生えているオオタログワイという野草から、どんな植物生長ホルモンともまったく性質の違う新物質がとり出されたと崔徴中国科学院植物研教授により明らかにされた。
これまでにわかっている植物生長ホルモンは、日本で発見された種なしぶどうの生産に欠くことのできないジベレリン、オーキシン、サイトカイニンの三種だけである。
植物組織培養の際、培養液として欠かせないココナツミルクを中国国内では自給自足できないため、その代用植物物質を見つけ出そうという契機で始められたこの研究は、中国が農業と関係深い基礎研究におおいに力を入れていることを実証している。
既知の植物生長ホルモンでは説明のつかない新物質が、オオタログワイに含有されていることに気づいてからは、それを用いてさまざまな実験が行なわれた。小麦の胚芽鞘にオーキシンを与えると一層進んだ発育を示すのにオオタログワイの抽出液を与えると逆に発育が阻害されるし、キュウリはサイトカイニンで緑色が濃くなるがこの新物質では全然、変色しない。オーキシンを与えると根が出るタバコの葉や茎は、新物質によると発芽しはじめたことなどから、この新物質は"第四の植物生長ホルモン"である可能性が強くなってきた。
オオタログワイの抽出液から二種類の物質を分離することには成功しており、純化抽出の努力が現在続けられているので、"新"植物生長ホルモンの発見も、そう遠くはないといえそうだ。
縄文コハクエ房?
わが国初のコハク生産遺跡が千葉県銚子市粟島台遺跡で発掘された。今回は市の都市計画道路建設で消えてしまう粟島台遺跡の"最後の発掘"だったため、顧問に野口文化庁技官、寺村光晴和洋女子大教授を団長として、のべ五百人の学生を動員して地下三メートル以上も掘り下げた。
その結果、地下約三・四メートルの泥炭層からコハクの製品・原石・未完成品など約三十点のほか、縄文中期以前のものでは珍しい朱塗りの絵画模様のついた土器、シカ・サメ・ベンケイガニなど動植物の遺物など石器土器類二〜三万点が出土した。
六〜七千年前の土器、具塚などが出土し"縄文文化の宝庫"といわれるこの粟島台遺跡からは以前にもコハク製品が出土したことがあるが、未完成品、原石の出土は始めてで、他の遺跡にはない"コハク工房"があったものと推定される。世界ではイタリアのローマにある二千年前の"コハクエ房"が最古とされているが、粟島台で確認されれば世界でも珍しい発見となる。
ピーマーベトカ洞窟調査
インド大陸ボパール南方ピーマーベトカ岩壁画の学術調査報告書が、インド中央政府に提出された。ご承知のように大岩壁壁画はすでに公表され世界の人々の注目をあびているが、このほかにも洞窟遺跡からインド大陸においては初めての"石器時代"の人骨が発掘され、次々と人類学史上、貴重な"新発見"がなされた。
今回の調査は、インド南部マディア・ブラデシュ州ビタラム大学、サガル大学、プソナ市のデカン大学によりピーマーベトカ地帯の七百二十六ある洞窟群のうち十カ所を発掘したにすぎないがインドは雨量が多いため石器時代の人骨発見は不可能という従来の考えに反し、これら十カ所のうち二カ所から人骨が発見された。その一体が発掘されたピーマベトカ十三号は典型的なロックシェルターで、豪雨の時でも一しずくの雨すら入らないという見事な地形が、数千年も人骨を保ちえた原因と考えられる。人骨は原形を留めてはいないが主要部分は識別可能で、カーボン検査等の分析によると新石器時代と推定され、八千〜一万年前の壁画の最古のものとは関係が薄いとみられている。
また数メートル地下から地表にかけ段階的に旧石器→新石器→青銅器→鉄器時代初期にいたる一連の先史時代住居が発見された。これは人類の祖先が坐り、種々の生活の道具を生産し暮らしていたフロアの発見といえる。今回発掘された石器は、十種類以上の形、矢じり、ノコギリ、工作道具と用途もバラエティに富み、かつ細工のしやすいきれいな材料を用いるなどその独創性、優秀性は狩猟文化だけでなく壁画を描き、進んだ文化を創造しうる先史人の社会を如実に物語るものである。
ピーマーベトカの洞穴住居跡からの"生活のにおい"は青銅器〜鉄器時代初期までで紀元前二世紀を最下限にバッタリ人跡はとだえている。また文字についても、インド最古の文字"ブラーミン文字"がいくつか残されているのが洞窟群から発見されているだけである。この文化の創造者たちはどんな種族で、いったいどこへ消えてしまったのだろう。多くの興味とナゾを包含し、今後の解明が非常に期待される。
頭脳流入科学者の実態
アメリカ科学財団の調査では、アメリカへ頭脳流入した科学者の動機は、
(1)高い生活水準−64%
(2)アメリカへの好奇心−46%(3)恵まれた研究機会−42%
(4)子弟により多く機会を与えたいー33%
となっている。
アメリカ人科学者のうち博士号をもっているのは10%程度だが、流入科学者においては博士号取得者28%、修士号29%となっており、8%がアメリカの特許、三分の一以上が外国の特許を持っている。
この流入科学者の三分の一以上は、母国から帰国を要請されているが、母国よりアメリカの方が知的刺激や進歩のチャンスに恵まれ、科学に対する国民の期待が大きいという理由でアメリカに留まると答えた科学者もいる。
三年後、通信衛星打上げ
宇宙開発委員会では
(1)郵政省が要求中の通信・放送衛星は、アメリカロケットにより昭和五十一年打上げをめざして開発
(2)現在、自力開発中のNロケットは、将来の需要に備え、これを大型化した"ポストNロケット"に改良開発
の二本立てを主要路線とするわが国宇宙開発の長期計画の改定方針を決めた。
これは、重さ二百五十〜三百キログラムの放送衛星を赤道上空三万六千キロの静止軌道にのせ、これから放送電波を実験的に出し、ゆくゆくは各家庭にテレビ映像を送るというもので、他方重さ二百五十キログラムの通信衛星は宇宙通信基地として同じく静止軌道にのせ、地上回線にかわる新しい回線、万一の災害による地上回線切断の際の代替回線にするという構想である。
しかし、昭和五十年度完成をめざして宇宙開発事業団が開発中のNロケットは静止軌道に百三十キログラム以上の衛星を打上げられないでいるため、宇宙開発委員会、科学技術庁が今年春からアメリカロケットの借用をNASAを通じアメリカ国務省に交捗してきた結果メドがつき、今回の方針改定に至った。
これは、アメリカからの技術導入ルートにより自主路線が弱まったといわれる昭和四十五年改定よりはるかに大幅な改定で、日本の宇宙開発のあり方を根底からゆるがすものといえる。
宇宙開発を通じ、日本の科学技術水準のレベルアップを当初のネライとして"自主開発"で出発した計画が、今回の改定ではNロケットの自力による大型化を打出しはしたものの、一番重視されるべき技術の波及を二の次にして、"金で手に入るものは金で"という考えでわりきられ、結局アメリカに全面的に近い依存と化してしまった。
通信・放送衛星の開発は、主要部晶を外国技術または外国製晶を買わねばできない現状で、このまま進めば日本の科学技術向上にはほとんど役立たない"オール舶来"の衛星となる危険がある。
隣りの惑星は大異変?
○謎の"ブラック・ベルト"
謎の惑星火星にまたまた謎が現われた。今年の六月末、京大花山天文台長宮本正太郎博士が発見した火星表面の巨大なブラック・ベルトがそれである。
十月十七日現在、長さ千五百キロ、幅一千キロの巨大な帯となっている。博士は七、八月にワルシャワで開かれた世界天文学会の会議の席上、この観測報告を初めて発表したが、以後の観測結果が最近、香川大で開かれた日本天文学会秋季会合の時に発表された。
ブラック・ベルトは、西経百十度南緯三十度付近、火星南半球にある"太陽の湖"と"シレーンの海"との間に、今年の六月末から七月初めにかけて形成され、その周囲には雲の固まりのようなものが見える。火星は主として玄武岩と花崗岩でできているので、この巨大な黒い帯はきっと珪砂や酸化鉄を含む地球の砂漠に似たものであろう。なぜ今まで"海"(水はない)とされていたところに、急にこんな巨大な砂漠ができたかはわからないという。
○注目される"砂塵移動説"
ここで注目されるのがアメリカ・コーネル大のカール・サガン博士ら、四十六年十一月以来マリナ一九号の火星近接写真を調査分析してきた科学者のとなえる砂塵移動説"である。これは学術誌「イカルス」十月号に発表された。
マリナー六、七号によって、すでに火星表面で黒く見える部分はクレーターが密集しており地形変化が激しい。また白く見える部分は地形の変化に乏しいということが判明していたが、マリナ一九号により、この両種の模様がシミ状の班点や、クレーター火口から流れ出ているスジ状の模様の集まりであることがわかり、さらにこれらは付近の地形に影響されて曲がったり、途切れたりしているのが判明した。
サガン博士らにすれば、この状態は風で巻き上げられ吹き流された砂塵がクレーターなどの地形物につきあたったりして地表に再堆積した時にできるとしか考えられない。クレーター火口から吹き出している黒いスジ状模様は火口に吹きつけた風がクレーター内の砂塵(「ヘレスポンツス運河」にある直径百四十キロの大クレーター内の黒い砂漠など)をまき上げ、風下のクレーター斜面に吹き散らしたものであろうという。
これは風洞試験でも確認されており、火星大気や粉体理論などから見て火星表面では一ミリほどの大きさの砂がもっとも風で移動しやすく、それ以外の大きさでは風の影響をうけにくいということである。
火星の模様変化が気象現象と密接な関係にあるならば、これは全火星的な気象解析に大きな手掛かりを与えることになる。そのため、火星全休の模様変化を知るための地上観測は、やはり重大な役割を果すことになるだろう。
宇宙人の遺伝子?
○地球外の生物の可能性
われわれの銀河系内だけでも約五千万の文化をもつ惑星がある。宇宙全休を考えれば一千三百億の文明星があるという。これらは科学者によって計算された数である。ところが今まで推定にとどまっていたこの理論を裏づけるかのような証拠が発見された。
○イン石より遺伝子の部品
学術誌「ジオシミカ・エ・コスモシミカ」によればハワイ大学微生物学部のフォッサム博士、メリーランド大学化学進化研究所のボナンベルマ博士らがマーチソン、アーレイ、オルグーユの各イン石を複合型ガスクロマトグラフで分析したところ遺伝子の重要部品であるピリミジン類の仲間が発見され、しかもそれは地球には存在しないものであるという。
これは実験室での合成が非常にむつかしいためにイン石にはすでに遺伝子の部品があったことになる。これに従えば他の太陽系の惑星にも地球人と似たような宇宙人が生棲していることのある程度の証明になり、非常にすばらしい研究結果といえる。
別な惑星から怪電波?
○規則的な電波信号
タス通信の報道によれば、ソ連の科学者が高度に進歩した別の惑星人から発信された可能性のある規則正しい電波信号を、四地域で受信したという。
これは一日数回それぞれ数分間ずつの間隔をおいて受信された。
発見者ゴーリキー大学のカプラン教授は「技術的に高度に発達した地球外の文明から送られたと考えることもできる。人工衛星のものでないことは確かだ」と語り、現在三十人以上の科学者が解明にあたっているという。
宇宙人につかまった!
十月十一日、ミシシッピ州南東部の漁港パスカグーラで夜釣りをしていた地元の漁師チャールズ・ヒッタソンさん(四十七)とカルビン・パーカーさん(十九)の目の前に青いUFOが突如ヘリコプターのように旋回して現われ、中からカニのような手をした宇宙人がフワリフワリと近づき二人を宇宙船内部につれ込み観察した。
宇宙人の顔は赤くしわくちゃで耳と鼻は先がとがっていて目はきれ長で細く、鼻の穴も見えた。
二人は釈放され、パーカーさんは途中で気絶、ヒッタノンさんが必死で警察にかけ込み、すべてを報告した。
カリフォルニア大学ジェームズハーグ一教授と円盤肯定論者のノースウエスタン大学天文学部アレン・ハイネック博士の二人は四時間にわたり催眠術で二人を調べ、二人が真実を語っていること、宇宙人は地球の重力に詳しいらしいことなどを確認した。
他にも報告がある。
十三日にはコロンビアのレーダーがヘリコプターよりも速く、時々空中で止まるUFOをキャッチ、その間十五分以上激しい電波障害がおこった。
また十五日夜にはメキシコ湾に面したガルフポート市で、タクシーの前に青いUFOが舞い降りフロントガラスをカニのハサミみたいな手がたたき、テネシー州では葉巻き型UFOが光線を発射し、ミズーリ州ではカブみたいな型のUFOが熱線を発射、デラウェア州では、警察のヘリコプターがオレンジ色のUFOを追跡したが、見失ったという。
(終わり) |