奇怪な6個の火球
― それからどうなった?
父親「ああ‥‥そうだね‥‥おれはもう、うろつくのをやめて寝たよ」
― あんたは砲弾型の物を見たけれど、それを見に行かなかったんだね?また家の中へはいって寝たのかね?
父親「いや、いや‥‥もう寝なかったよ」といって笑う。
― どんな感じがした? 恐れたかね?
父親「うん、そうだな‥‥つまりこういう感じだ‥‥」と彼は弱々しく笑う。
― どんな感じがしたかね?
息子「お父さんはそれにむかって石を投げようとしたんだが、投げなかったよ」
― あんた、ちょっと恐れたんだろう?
父親「ちっとも恐れなかった‥‥あれを見たときに‥‥」
― そのときに懐中電灯を持たなかったのかね?
父親「いや、ポケットの中にあったんだ!だが‥‥」
― それをつけたの?
父親「いや!いや!ポケットの中にはいっていたんだが‥‥全然使わなかった‥‥正体を知ろうと思って火の玉のまわりをまわってみようと思ったんだが、そばへは行けなかった‥‥それであきらめたんだ」
(息子に)― きみにとってはそのときどんな物が見えたかね?
息子「そうだね、ぼくは砲弾型の物を見たんだが、それには3本の枝みたいなものが突き出ていたよ」
― 枝みたいなものが?
息子「そう‥‥まっすぐな枝みたいな‥‥ちょうどその絵に描いてあるような物だった」
― そして火の玉は?
息子「周囲に3本の枝がついていた。そしてあるとき1個ずつの火の玉がそれぞれの枝のところへきた。1本の枝に3つの火の玉がきたからみんなで6つだ‥‥砲弾型のてっぺんのところにサーチライトがあって、それがあの窓を照らしたんだ。部屋全体を照らしたよ‥‥ぼくはあの反対側の窓をあけておいたんだ」
― 散るような光線かね? それとも集中した直線状の光線かね?
息子「ああ、集中した光線だった。とても集中していたよ」
― それがきみの部屋を照らしたんだね?
息子「そう、照らしたんだ‥‥照らしたんだと思うより まるで昼間のようだった」
― しかしそのときは自分の部屋へ帰っていたんだろ?
息子「うん、ぼくは帰っていたよ」
― それで砲弾型の物はまだそこにいたのかね?
息子「その日、それが逃げるのを見なかったよ」
― それで、それがきみの部屋を照らしたんだね?
息子「そう、照らしたよ‥‥明るくなったり暗くなったりした‥‥回転していたよ‥‥回転し続けていた」
― ビーコンみたいにぐるぐる回転していたの?
息子「そう‥‥ときどき次の部屋を照らしていた‥‥回転し続けていた‥‥だけどもう11時か11時15分ごろだったなあ」
― そんなに変だとは思わなかったかい?
父親「うん、変に思わなかった。あれは何だろうとみんなで話し合っていたよ」
息子「すると突然光が全部消えてしまった。それ以上は見えなかった。行ってしまったのか、まだそこにいたのかわからない」
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