現代ロシアに超能力者は沢山いるが、ここに紹介するディナ・ナザレンコほど凄まじい能力を持つ人はロシアはおろか世界にもざらにいないだろう。
テレパシー、遠隔透視、未来予知、疾患部の発見その他、彼女の手にかかると、レントゲンかレーダー以上に的中して、はずれたことはない。
「こんなカがどこからくるのか、私にはわかりません。ただ何かの印象、つまり情報が心の中や頭の中から浮かび上がってくるだけなんです。宇宙のカが私を助けてくれるのでしょうね」 と彼女も事もなげに語る。
「誰かが私の家に来るのが事前にわかりますし、人が電話をかけてくるのも事前にわかります。その人が善人か悪人かもわかるし、健康か病気か、幸せなのか不幸なのかも会う前にわかるんです。
私が飼っている犬達もそうなんです。以前に死んだ犬や、このガビという犬もそうです。この犬は人を見て鼻をくんくんさせて嗅いだあと、静かに去って行きます。見知らぬ人を見てから警告みたいなものを発して飛び出て行くこともあります」 インタビューに行った記者のエレナ・ベロストフスカヤが言う。
「私はふだん犬とは仲がいいんですよ。自分の事に関してはうまくいっていると思いたいですね。でも私の将来に関して予知をお願いしたいとは思いません。それはむしろ怖いことですからね」「あなたは、いずれまたここへ来ますよ」 とディナが言う。
「ええ、もちろん来ます。雑誌掲載用に準備した原稿を見せに来ますよ」「いいえ、そのことではなくて、別なことで、あなたはまたここへきます」「怖がらせてはいけませんよ」 エレナは心配そうに言う。
ディナの物凄い予知能力
これまでにディナは失踪したある男を連れ戻したり、殺人者の隠れ場所を言い当てたり、人を悪者から逃れさせたりしている。どうやら遠隔透視能力者でもあるらしい。
彼女は1991年のゴルバチョフの失脚を予言した。共産主義者の反乱が発生する正確な時期を言い当てている。しかもこうした予言は絶対にはずれたことがないと彼女は言う。
「予知されるのを怖がることはありません。誰しも自分の人生において予知したいことがあるんですよ」 ディナが予知できることは、全般的に何がやれるのか?
「そうね、人々が私の所へ相談に来たとき、相手が言い出す前に、あなたはこんな悩みがあるんでしょうと言って当てるのが比較的やさしいわ。
たとえば今会社を設立するのに良い時期か、それは成功するか、計画している旅行でどんな災難が待ち受けているか、といったことを人々は知りたがるんです。
人間はときどき旅行の準備をしますが、結局、良い結果が出ないことや、仕事が遅れることが私にも前もってわかるんです。
また、大学の入試を受けて、合格するかどうかを聞きに来る人もあります。頻繁に訪ねられるのは、痕跡を残さずに消えてしまった人を見つけてくれということです」
ここでディナは多くの写真を見せる。「この失踪した女の子をごらんなさい。母親がこの写真を持ってきたのよ。私はこれを見て言ったんです。『この子は3〜4日たったら帰ってきますよ』 そしたらほんとに帰って来たんです。その子は浮かれ騒いでいただけなのよ」
別な写真を見せた。「これは女の画家の写真で、旦那さんが持ってきたものです。私は言いました。『奥さんを探してもだめ。殺されているわよ』 とね。
私はときどき犯罪者を探すように頼まれるんです。94年の10月に警察の人達が殺人事件でやってきて、犯人はどこにいるかと聞くんです。 『12月には見つかりますよ』 と私は答えました。私には犯人達が逃げた場所がわかっていたものですから、結局そこで全員つかまりました。
ところで、この写真の女の子が失踪したんです。私は両親に話しました。『この子の女友達にあたってみなさい』すると親が言うのです。『娘を誘った人や、つれて行ったレストランもわかっています』 両親は娘を発見しましたが、すでにその子は気違いになっていました。
宇宙と彼女を結びつける径路
「地図を見ても謎が解けます。また、私は銀の指輪で謎を解くことができるんです。どうやらその指輪が私を"引っ張る"らしいんです。それから約15分問黙って座っています。そして指輪がふたたび私を引っ張ったとき、地図の中の問題の場所をジッと見つめることになります。
充分な結果が出ない場合はコーヒーを一杯飲むと、カップの底に地形が見えてきます。そして地形が崩れた瞬間に、映画の一場面のような光景が浮かび上がるんです。こんなときは人間の姿が見えたりしませんし、声も聞こえません。または光景が突然消えることもあります。
しかし夜になると、その光景が再度鮮明に見えてきます。たぶん私を宇宙と結びつける何かの径路が開くのでしょう」
ディナは人の病気を透視することもできる。だが今のところ治療を行なわない。彼女自身の体がよくないのだ。他人から病気を引き取ってしまったので、自分の病気を治すことは難しいといい、自分が不健康なのに他人の治療をするのは罪だという。
他人の不幸を予告しない
彼女は自分の物凄い超能力を最初にどのようにして気づいたのか?「30歳のときにその能力を漠然と感じました。今私は57歳ですが、51歳のときに予言をし始めたんです。私に奇跡を起こす方法を教えてくれた人はいません。
あるとき仕事仲間と話をしていたら、相手の女性は立ち上がって出て行きました。そのとき一陣の熱風が吹くのを感じました。そこで思ったんです。明日彼女に何か良くないことが起こるだろうと。すると実際に彼女は卒中を起こして急に亡くなりました。
でも私がそれを期待していたことに気づいたとき、不快な感じがしました。その時以来、私のまわりの人々の人生に不幸なことを予知すると、いつも不快な感じがします。ですから私は明日誰かに何か良くない事が起こることを予知しても、必ずしもそれを話すわけではないんです。場合によっては話さないほうが最上なのです」
他人の想念を読み取らない理由
他人の想念をテレパシーで読み取った場合、その悪影響から自分を守る方法があるのか。たとえば悪想念を受けて病気になることも考えられるからだ。これにたいして彼女は言う。
「ええ、私は自分を守る方法を心得ています。だから他人の想念を読み取らないことにしているんです。でも長いあいだ会わなかった友達に会いたいなと思ったら、その人がやってくるんです」
しかしディナはもう話したほうがよいと思う場合だけは、他人を待ち伏せしている未来のトラブルについて予告することにしている。
「少し以前のことです。私の心眼の中に雪の中に横たわっている人の姿が見えました。頭を撃ち抜かれているんです。その奥さんが心配して聞きにきました。『主人はどうしたのでしょうか』と。
私は話したくなかったんです。もっと待ってくれと引き延ばしていました。『何か悪い事があったんですね』と彼女のほうから言い出すのを待っていたんです。『悪い知らせを覚悟していました』と言い出すのをー。
ディナの最も幸せなとき
ディナにとって最も幸せであった出来事は?
「そりやあ失踪した人が生きているのがわかったときよ。そんなときはとても幸せです。あるとき一人の夫がいなくなりました。そこで奥さんが泣きの涙で相談に来たんです。しかし私の透視によれば旦那さんはケンカをして出て行っただけなのよ。やがて帰ってくるからと話したら、奥さんは私に抱きついて、『ありがとうございました』と言うの。そこで私は話しました。『もうケンカなんかするんじゃないよ』 またこんな事もありました。長いあいだ妊娠しなかった女性がいたんです。悪い波動の影響を受けていたので、それを取り除いてあげてから言ったんです。『二カ月待ってみなさい』
やがて坊やが生まれて、6カ月後にはものを言うのだそうです。『おかあちゃん、おとうちゃん』 と。『坊やはあなたに似ています。きっとあなたのエネルギーをもらい受けたのでしょう』と奥さんが言っていました」
ディナの奉仕の哲学
ディナ・ナザレンコは相談料を取らないのを原則としている。相手が自発的にテーブルにおいたお金をもらうだけである。しかしそのときでさえ彼女は内部の意識から来る声を聞く。お金を受け取ってよいかわるいかを告げる声を聞くのだ。また、相談に来た人が善人であろうと悪人であろうと、おかまいなしに彼女は人々を助ける。
「今日は悪人でも、明日は善人になるかもしれませんからね」 |