1976年のヴァイキング火星探査機以来16年ぶりの大プロジェクトで、成功すれば680日間にわたり、火星表面の写真を地球に送り続ける予定だった。しかしカリフォルニア州パサデナのNASA(米航空宇宙局)ジェツト推進研究所との通信は途絶えた。本体がどこを彷律しているのか見当もつかないという。
だがこの発表がNASAの情報工作であることは編者に早くからわかっていた。したがってGAPの東京月例セミナーでこれに関する質問が出たときも、実際は探査機が正常に作動しているにもかかわらず、故障ということにして米側が隠蔽工作を行なったのだと説明した記憶がある。
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▲在りし日のジョージ・アダムスキー氏 |
昨年10月9日(1994年)に開催された日本GAP年次総会において、アメリカGAP主宰者ダニエル・ロス氏は、はたせるかなこれを裏づける講演を行なった。つまり火星探査機マーズ・オブザーヴァーは実は故障したのではなく、正常に動いて火星を周回していることをNASAの職員が科学者に洩らしたというのである。
だが昨年夏にワイオミング州で開催された宇宙科学シンポジウムで、この発表がさほどの反響を起こさなかったのは、NASAの発表なるものが如何に欺瞞に満ちているかを科学者連が知りぬいているからだろう。
なぜNASAは火星探査機の行方不明説を打ち出したのか。いわずと知れた火星の超絶的な大文明の存在を突き止めたからである。そこで故障ということにして隠蔽し、これに世界の54億の人間が見事にひっかかったのだ。
なぜ騙されたのか。
それは「科学」という言葉をあまりにも神聖視し、「科学」の名のもとに発表される事柄を文句なしに真実と思い込むように大衆が馴らされてしまったからである。この頃氾濫する健康食に関する書物も、「これは科学的な研究にもとづいている」と書いてあれば一も二もなくその内容を信用し、野菜類を買い込んでスープを作ったりする。外国語の独習書までが「科学的な学習法」と銘打って、如何にも速効性があるかのように見せかけたりする。外国語を覚えるのに科学などは関係ないのに。
ここではNASAの隠蔽策を誹諾(ひぼう)するものではない。ましてや「科学」自体を軽視するものではない。科学は重要であり、人類の究極の進歩が科学によってなされることは編者の持論である。なんとなれば地球以外の惑星の大文明の存在を探知し、比較の法則によって一大覚醒を促す機運を生じさせるものは、宇宙船の開発による別な惑星への到達にかかっているからだ。訪問した惑星での大文明に接して驚愕し、矮小(わいしょう)な地球の井蛙(せいあ)の管見(かんけん)に心底から恥じいって、宇宙的な思想と大文明建設への槌音(つちおと)を高らかに響かせるものは、アダムスキーの言う重力場機関を搭載した宇宙船の開発にかかっているのであって、これ以外の何物でもない。
だがNASAは大芝居を打った。これはそれなりの理由があるのであって、いちがいに責められない。今、別な惑星の文明存在を公表して大衆を瞠目(どうもく)驚嘆させ、腰を抜かさせるには時期尚早なのだ。だから隠すのがよいというわけでもないが、もっと人類が追い詰められて真剣に打開策を講じるようになるまでは、現状維持がむしろ賢明と思われるのである。
問題は大衆の側にある。「科学」の名のもとに言及される事物をすべて盲信してしまうという悪い癖にある。そこでこれを逆手にとってUFO問題や超能力現象を「科学」の名のもとに葬り去ろうとするエセ研究者が横行する。
たとえばテレパシー現象を一つとってもこれを真っ向から否定し、物理学の法則に合わないという理由だけで嘲笑するのである。
どっこいアメリカは1957年頃からテレパシーの研究を初めていた。プリンストン大学のアインシュタイン実験室の協力者であったホフマンやバーグソンらの俊秀がテレパシー現象の実在を認めて声明を発したのが嚆矢(こうし)となって、翌58年には政府の委託により、メリーランド州のフレンドシップ市と2000キロ離れた原子力潜水艦ノーティラス号との間に、壮大なテレパシー実験が実施されたのである。その結果、テレパシーは人間の想念波による通信であるという結論が出された。
この想念波なるものはまだ科学的に検出されていないようだが、現代物理学の法則で実証不可能という理由で否定するのは間違っている。現象が存在するものならば、物理学で未開発の分野があるのではないかと推測するのが学問というものだろう。
サイコメトリーという、物品から出る波動を手でキャッチしてその物の特質を言い当てる能力がある。これも波動による現象なのだ。
(久)
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