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新アダムスキー全集

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中央アート出版社
TEL : 03-3561-7017
E-mail :info@chuoart.co.jp
 <巻頭言> 物証と心証

UFO Contactee No.101  1988より

35年に及ぶUFO研究で痛感するのは、人間は如何に他人の体験を信じたがらないかという点だ。これは地球人が物的証拠のみで事実を確認する習性を有するからで、物証に頼りたがるのはあらゆる感覚器官のなかで目という視覚器官を最優先させて、テレパシツクな感覚を応用しないからだ。

むかしGAP会員で東京出身のH君という人がいた。昭和30年代中期、まだ高校生だった同君が、島根県の田舎町で細々とGAP活動を続けていた編者の陋屋(ろうおく)を訪れたことがある。西日本周遊旅行の途中立ち寄ったという。単身で旅をするだけあってしっかりした少年だったが、卒業後音信はと絶えた。

20数年後に、突然同君から電話があり、世にも不思議な話を聞かされた。なんと十数年間一睡もせずに生きてきたのだという。唐突な話なので戸惑ったが、編者宅へ来るように告げると数日後にやってきた。すでに不惑を超えた同君はかなり体力が弱っているものの、むかしの面影を残していた。

冷静に訴々と語る驚くべき話を聞いているうちに、これは真実であるという強烈な印象がやってきた。一秒間たりとも眠らなかった十数年間の不眠状態をどこの病院で説明しても全く相手にされず、果ては気違い、ウソつきの格印を押されるばかりで、同君の方から医師を見放したという。眠らないこと自体、さほど苦痛ではないが、百パーセント他人から信用されず、イカサマ扱いされるのが残念でしようがなく、何とか信じてもらいたいの一念でやってきたという。

この話は7,8年前本誌に書いたので記憶している方もあるだろう。普通の人間は1週間以上不眠状態を続けることは不可能とされている。ローマ軍の捕虜となったマケドニア王は強制的不眠のために死んだ。十数年間の不眠記録はギネスブックどころではなく、医学上の謎中の謎、神秘中の神秘だろう。よろめきながら出て行ったH君からその後の消息はない。不信感を買ったと思って失望したのかもしれない。

事実は小説よりも奇なりという陳腐なことわざを持ち出すまでもなく、世の中には信じがたいような不思議な話がいっぱいある。それでも人々に不信感が起こるのは"物的証拠"という妖怪のためだ。しかも感情的になって否定する人にはこの妖怪の魔力すら通用せず、反撃のための反撃を続けたりする。

戦後43年間、世界で無数のUFO目撃やコンタクト体験者が出現した。そして懐疑論者の攻撃で消滅したのもある一方、強力な支持を受けて生き残っているのもある。物的証拠という次元を超えて、体験者の人柄、思想その他の判定材料により事実であるとの判断が下された結果だ。裁判用語ではこれを「心証」という。これは裁判官が訴訟事件の審理において、事実認定について心の中に得た確信または認識を意味する。この心証を排除して絶対的に物証のみを判断材料とすれば裁判はお手上げになるだろう。

もっと重要なのは、心証よりもむしろ一人物の言明に対して不信の自由もある一方、「信じてもよい」自由もあるという点だ。その"自由"という見地からすれば信ずる者と不信者間に争いがあってはならない。懐疑論者が信ずる人を誹謗(ひぼう)するのは論外である。他人の自由を侵害することになるからだ。

アダムスキーの体験について物証がないという理由で否定する人がいる。

しかしアダムスキー没後24年にしていまなおアダムスキー型円盤と呼ばれるUFOが国内外で目撃撮影され続ける事実を否定論者は何と説明するだろう。これ以上の物証はあるまいに。

これらのUFOが我々の太陽系内の惑星群から来るというア氏の主張を否定する人の根拠は、惑星探査機により太陽系の地球以外の惑星に生物は存在しないことが"判明した"ことにあるという。だが実は米ソ両政府も科学機関も「太陽系の地球以外の全惑星に生物は存在しない」と公式声明を出した事実はない。NASAその他から断片的に流れる情報によって多数の民衆がそのように思い込んでいるにすぎないのだ。

しかし多年のUFO研究で腹の底から痛感するのは、物証もさることながらテレパシツクな感知力の重要性である。これこそ心証の根幹だ。 

(久)

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