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▲「三賢王の礼拝」を描いた16世紀の絵。三賢王(賢者または博士)を先導してベツレヘムの「幼児のいた場所の上空で停止した」星は実は宇宙船ではなかったかとUFO研究者に推測されている。また三賢王が黒人で異国人だったのも、最近のUFO史に出てくる黒衣の謎の3人男ときわめてよく似ている。 |
これらの記述を核爆弾や光線武器に当てはめるのは容易である。このような発明品の所有者はだれだったのか?そしてその人々が乗ってとんだ飛行物体とは何だったのか?
レイモンド・ドレイクはその『古代東洋における神々と宇宙人の中であるサンスクリットの写本から次のような一節を引用している。 すなわち「空中を滑らかに、快適に飛行する各種の空艇の製造法。 これは宇宙と一体化する力であり、人類の福利に貢献するものである」と。
これは、「鳥のようにそれ自体の力によって、地上や水上または空中を進行できるもの」として“ビマーナ”の定義を与えている。 現代では、空中を飛んである場所から別な場所へ、国から国へ、または惑星間を進行できるものを、航空力学の科学者は“ビマーナ”と呼んでいる。
その写本の目次には、次の章題があげてある。
「破れたり、切られたり、燃えたり、破壊されたりしない飛行艇を作る秘法。 飛行艇を動かなくする秘法。 飛行艇を目に見えなくする秘法。 敵の飛行艇内の会話や、その他の音響を聞き取る秘法。 敵の飛行艇の内部の写真を撮る秘法。 接近する敵の飛行艇の方向を探知する秘法。 敵の飛行艇の乗員を無意識にさせる秘法。 敵の飛行艇を破壊する秘法……」
「飛行艇に適した、軽くて、熱を吸収する金属は16種類ある…偉人な賢人たちは、この16種類の金属だけが飛行艇の建造に最適であると言っている。」
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▲シナイ山上で十戒を授けられるモーセ。 ニューヨーク州の牧師B.J.ダウニングは モーセが入って行った厚い雲は、空中のUFOだったかもしれないと言う。 |
マハリシ・パーラドワージャが英訳したこの写本は『飛行術』と呼ばれ、「有史以前の過去からの写本」と許されている。
それは、インドのマイソールにある国際サンスクリット研究学会から刊行されている。 これについて不可解な疑問がある。 こうした写本類―たぶん旧約聖書ほどに古いのだろう―は、その時代の空想科学小説家がインスピレーションによって書いた作品なのか、それとも、信じがたい出来事の目撃証言なのか、ということだ。
もっと研究をすれば、この面倒な疑問も解けるだろう。一方、UFOのおかげで空想的な作家たちは、有名な過去の出来事に新たな光を当てて再評価することができた。 聖書は豊富な資料源であることがわかっている。 3人の賢者をイエスの誕生地へ導いたベツレヘムの星は、あるUFO研究家たちによって空飛ぶ円盤と見なされている。 彼らはその星について行き、ついに「幼児のいる場所の上空で星が停止した」という事実を指摘している。
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▲「モーセと燃えるやぶ」。 このやぶは、炎を放射するUFOがその真ん中に着陸したために燃えたのだと、ダウニングは信じている。 |
もし、それが本当の星または惑星だったとしたら、どの位置にも停止するはずがない。 しかし未確認飛行物体なら1か所の上空に停止したかもしれない。 聖書に出てくるUFO関係の箇所を調べたのは、ニューヨーク州エンドウェルにあるノースミンスター長老教会の牧師、バリー・ダウニングである。 彼は、通常は超自然力のせいにされる聖書の奇跡類が、間違いなく大気圏外のものと解釈されると結論を下している。
天使というのは、精霊とか神の御使いとかではなく、宇宙よりの来訪者であったと考えられるし、言葉を発した神とは、危機に面した地球人を指導しようと、別な惑星から釆た人間であったのかもしれないという。
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▲伝統的な描写。 四つの車輪、四つの有翼の生き物のいる従来の戦車を示す。 生き物は人間、 ライオン、雄ウシ、ワシなどの顔を持つが、これはエゼキエルの言葉の忠実な再現である。 |
『出エジプト記』によれば、イスラエル人がエジプトから脱出したとき、主は「昼は雲の柱となり‥・夜は火の柱となって、彼らが昼夜旅を続けられるように照らしてやった。」この柱というのは空飛ぶ円盤だったのだ、とダウニングは言う。 彼によればその後イスラエル人たちが、荒野で数年を過ごしている間、“主”、“神の御使い”、“雲”などと種々の表現で述べてあるのは、UFOのことなのだ。 『出エジプト記』の中の数節は、モーセが、十戒を与えられた宇宙よりの来訪者たちとコンタクトしたことを、明りょうに示しているという。 たとえば次の部分である。
「こうしてモーセは登ったが、雲は山を覆っていた。主の栄光がシナイ山上にとどまり、雲は6日の間、山を覆っていたが7日目に主は雲の中からモーセを呼ばれた。主の栄光は山の頂上で、燃える火のようにイスラエルの人々の目に見えた。 そしてモーセは、雲の中に入って行った。」
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▲エゼキエルの目撃物に対する別な解釈。 事件は奇跡的であり、主の力を示しているという見方から、それでも苦心して、記述の文字どおりに解釈している。 |
これをダウニングは、次のように結論づけている―「モーセはUFOの中へ入って、そのときUFOに乗っている人間から、石の板をもらったらしい。」 たいていのクリスチャンは、宗教的な出来事を、もっとオーソドックスに、または超自然的に解釈したがるだろう。 学者でダウニングの説を認める人は、まずいないだろう。 我々の過去の時代を新しく解釈した他の人々と同様に、ダウニングも自分の主張に説得力を持たせようとして、誇張する傾向がある。 そして、信頼を失うようなことを大胆にやっているのである。 しかし宗教的見地よりも科学的に見て、聖書が重要なUFO関係資料を含んでいると信ずる人は、ほかにもいる。 こうした信者の間で最大の注意をひいている聖書の記事は、旧約聖書の予言者エゼキエルの驚くべき体験である。
旧約聖書の『エゼキエル書』は、予言者エゼキエルが見た光景の記述を収録している。 それはいろいろに解釈されうるが、従来は神秘的な体験として認められてきた。 しかし今日では、それを20世紀の科学技術の見地から説明する人もある。 ここに掲載しているさし絵は、エゼキエルの不思議な目撃の異なる解釈を示すものである。
『エゼキエル書』は、現代のUFO研究家の問に非常な騒ぎを起こした、注目すべき光景で始まっている。 その現代的な解釈を見る前に、まず、エゼキエルの物語の基本的な要素を知っておくほうがよい。 次の部分である。
「第30年4月5日に、私がケパル川のほとりで捕囚の中にいたとき、天が開いて、私は神の幻を見た・‥…私が見ていると、見よ、激しい風と大いなる雲が北から来て、その周囲に騒きがあり・‥・‥またその中から4つの生き物の形が出て来た。
その様子は、次のとおりである。 彼らは人間に似ていた。 おのおの、4つの顔と4つの翼を持っていた。 彼らの足はまっすぐで、足の裏は子ウシの足のようであり、みがいた青銅のように光っていた。 また四方の翼の下には、人間の手があった・‥…翼は互いに連なり、行くときは回転せずに、顔の向かう方向にまっすぐ前進Lた‥・・‥いずれも、2つの巽が互いに連なり、それは彼らの体を覆っていた。」
エゼキエルは4つの“生き物”が地上から上昇するときにも付属していた光る車輪を持っていた様子を説明し続けている。 その車輪で、奇妙なことが2つあった。
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▼現代の宇宙旅行・宇宮飛行士に関する知識に基づいた、新しい解釈。 イギリスの航空画家でパイロットのキース・モスリーが描いたもの。 彼はデニケンの説をそれなりに評価する。4つの顔は、大気圏外人の腕、胸、顔に3個の大きなマークとして示されている。 回転翼で推進され、車輪のような基部を持つ機械は、空中に停止する母船から人間を地上に送るのである。 これは、「翼を持つ人間たちと、生き物のそばの地上にある車輪」についてのエセキエルの描写と一致する。 |
つまり、1個の車輪が、他の車輪の内部にあるかのように作られており、また、それらは回転しないで1どの方向にも動くことができたのである。主とか天使とかに関するエゼキエルの信仰が何であったにせよ、彼は自分の知識や理解とは全くかけ離れたものごとを体験したらしいので日撃したものの“構造”について、できるだけ詳細を伝えようとした。 空飛ぶ円盤の信者は、エゼキエルの見た光景が宇宙船と乗員の描写だと、せっかちに解釈した。 しかし彼らの解釈は、エゼキエルの体験が全くの謎だという考え方と同じほど、多くの未解決の疑問を残した。
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▲ジョーゼフ・プラムリッチ。 航空機とロケットの設計・製作に生涯の大半を費やしたN ASAの科学者。 エゼキエルの目撃をUFOの来訪とするデニケン説に関心を持ち、デニケンをやりこめようとして研究を始めたが、逆に“改宗者”になった。 彼は、エセキエルが目撃したらしい宇宙船を復元し、その作動方法の詳きい細も述べている。 |
エーリヒ・フォン・デニケンは、エゼキエルの見た光景を、大気圏外のものと推理した著述家の1人である。
航空機やロケットの設計と分析に生涯の大部分を費やしたジョーゼフ・プラムリッチは、その推理を読んだとき、反証をあげ始めたが、骨の折れる研究をした後、エゼキエルは1機の宇宙船を見たのだと結論づけた。しかも彼は、予言者エゼキエルの説明に基づいて、その構造の詳細なスケッチをかいたのである。 彼によれば、この船体は、現代の科学技術よりも少し進歩しているという。 彼は『エゼキエルの宇宙船』という自著の中で詳細に説明して、「これほど有益でこれほど魅惑的に、これほど楽しく打ち負かされたのは、めったにないことだ!」と述べている。 NASA(アメリカ航空宇宙局)の機構設計部長であるプラムリッチは、1959年に故国のオーストリアからアメリカへ渡って以来、宇宙船の建造のために働いてきた。 彼は、サターン5型ロケットの共同製作者の1人で、多くの特許を持っている。
実際、ブラムリッチは、エゼキエルが正確に述べた車輪構造の設計とテストに没頭してきたのである。 これにより彼が気づいたのは、聖書の記述は霊的な光景よりも、技術的な装置を述べているのかもしれない、ということだった。 そしてさらに研究した結果、エゼキエルは観察力と、ほぼ写真に近いイメージの記憶力とのすばらしい才能を持っていたに違いないとの結論に達した。 「このことは、簡単なスケッチをかくことばかりでなく、大きさ、寸法、図解などを可能ならしめた。」
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▲地球の大気圏に突入する際の宇宙船。エゼキエルが見たと思った4人の「男」は実は宇宙船の4本足で一種のヘリコプターのように作用するという。大気圏に入る間4本足は船体の上方に折りたたまれブレーキング・ポテンシャルを充分に有効にする。この段階はエゼキエルが宇宙船を見る前に大気圏の上層部で完了していたのかもしれない。 |
プラムリッチによれば予言者エゼキエルの述べた4四つの生き物は、全然生物ではないという。それらは、巨大な宇宙船の4本の脚部だったのである。
そのどれにも、前後に動いたり横に回転したりする輪が1個ついていた。 このような車輪は、現在技術的に可能であり、特許が取られている。 翼というのは回転翼である。 こうしたヘリコプター式機構の構成から見て、巽が回転すると互いに接触したことは明らかである。主な推進システムはロケットエンジンによるもので、巨大なこま型の中心ボディーの中には推進燃料がある。 ヘリコプタ一式回転翼は、最後の着陸態勢時にのみ使用されたのだろう。
プラムリッチは研究の結果、次のように考えている。
「疑うべくもないこの宇宙船は、技術的に可能であるばかりでなく、その機能と目的を果たすために、きわめて巧みに設計されている。 決して空想的ではなく、その優れた外観からもわかるとおり、ほぼ我々の現代の能力に匹敵するものがあり、それゆえ我々の技術の現状を少し超えている。
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▲ヘリコプター式の4本脚で立っている、着陸した宇宙船。エゼキエルが稲妻と解釈したのは、適当な着陸地点を捜す時の制御ロケットの短い噴射であった。エゼキエルは燃える石炭のように輝く逆噴射を見たのである。 |
こうした技術を発見して、私は驚かざるをえない。しかも、検討結果からして、この宇宙船は地球を回る母船とともに動いていたらしい。2500年以上も昔にこのような宇宙船が実在したとは何とファンタスティックなことだろう!」
エゼキエルは、自分か精霊によって引っ張り上げられ、連れ去られたことを述べている。 これは、大気圏外から来た訪問者がエゼキエルと4回会った間に、彼をあちこち運んだ宇宙船のことを記したもので、宇宙船が実在した有力な証拠であると、プラムリッチは示唆している。
謎に満ちた聖書の記述が、現代の我々よりも技術的に優れた宇宙船の設計と基本原理を提供しているにしても、プラムリッチの理論はまだ説得力に乏しい。 地球人の進化の段階で、宇宙よりの来訪者があちこちで人類と接触したという証拠は不十分である。 しかし、我々の数千年にわたる歴史を振り返ってみると、UFOは―実体が何であろうと―20世紀特有の現象ではないことを、十分に示しているのである。
第4章 古代の宇宙船 終わり |