1968年4月27日の午後9時20分に、ブリスリントン、聖クリストファー教会の牧師アンソニー・ミリカン師は、人気のないアーノス公園中を妻と共にたそがれ時の散歩を楽しんでいた。この公園はブリストル市(注=英国南西部の工業都市で重要な貿易港)のブリスリントン側にあり、ブリストル市のこの郊外一帯はグロスタシャー州からサマセット州にまたがる地域である。
時は終日降り続いた雨のあとのかなり暖かい夕方であった。視界は澄んでいて風もなく、空は約8分の3ばかり薄雲があるほかは晴れていた。あたりに飛行機は見えなかった。
突然、何の前ぶれもなしに夫妻は75ないし100ヤード離れた位置に地上から6フィートの高さに浮かんでいる一個の光る物体を見たのである。回転しているようであり(注:コマが廻るように自転軸を中心にして回転することを意味する)、一個所にジッと浮かんでいるようであったが、目撃中この動作は変わらなかった。
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▲ブリストルの公園で目撃された物体のスケッチ図。 |
このドーム型物体は概算高さが12ないし15フィート、円周が10ないし12フィートあると思われた。完全な左右相称型で。一部がふくらんだりへこんだりすることはなく、ずっと釣鐘型のままであった。物体の外縁の色はよごれた黄色だが、フチの内側は灰色がかった白で、この内部の光は強さが不規則に変化するように思われた。全体が透明であった。というのはその位置のむこう側にある坂の頂上の線が物体をすかして見えたからだ。目撃しているあいだ音響は聴こえなかった。
運悪く私はミリカン師夫妻を訪問する好機がなかったが、師宛に送った質問にこころよく答えてくれたので感謝している次第である。
彼が答えた要点や詳細のすべてはこの記事中に述べてある。その回答において彼は一つの奇妙な特徴に言及した。高さが4ないし5フィートばかりの中央の柱である。だが彼はこれが固体らしき物かそれとも異なる光の激しい集中状態なのかは述べていない。
約20秒ばかりしてから物体はぼんやりと薄れながら消えていった。目撃者はその夜10時にこの事件を警察へ通報した。あとでブリストルの署長は完全な報告書を受けとったし、ブリストルの教会の監督にも知らされた。
以上の他に私がミリカン氏とかわした質疑応答は次のとおりである。
問 あなたはそのときだれか他人の注意をうながしたいと思いましたか。
答 いいえ、私たちは恐ろしさで一杯でした。
問 その目撃はあなたにとって異常なものでしたか。あとでそれを普通の言葉で説明できましたか。
答 きわめて異常なものでした。私は普通の言葉で説明できませんでした。
問 その地域には空中に送電線がありますか。
答 ありません。しかし付近にテレビ放送局があります。
問 目撃中かまたはあとで肉体的な影響が起こりましたか。
答 冷たい感じがしましたが、これは神経の反応のせいでしょうか。妻は3時間も冷たく感じておう吐しましたが、これはショックのためでしょう。また妻はその夜ひどくうなされて物体の夢を何度も見ましたが、私は大丈夫でした。
問 あなたはUFOについて知っていますか。
答 いいえ、新聞記事で読んだ程度です。
問 あなたの体験をふり返ってみて、今それを別な工合に説明できますか。
答 できません。
聞 この目撃は一般のUFO現象に関するあなたの考え方に影響を及ばしましたか。
答 はい。私が"何かを"見たという意味で影響を及ぼしました。しかし正体についてはまだわかりません。それは大いなるシルシ(マタイ二四・二四)だったかもしれないし、"堕落した実体"の物質化だったのかもしれません(エペソ書六・一二にある天上の悪の霊のことか?)。化学者は鬼火だったかもしれないと考えています。
問 警察はすぐにどんな反応を示しましたか。
答 真剣でした。しかし彼らは何の発見もしていません。
問 その夜かまたはそれより前の数日間に、その地域に他の目撃事件がありましたか。
答 はい、ありました。ウォーミンスターの上空(日時は不明)と5月5日の日曜日午前4時10分にブリスール上空に発生しました(詳細不明)。
問 地元新聞の態度はどうでしたか。
答 5月2日付のニュー・オブザーバ−紙に見出しが出ました。
(注=これはデイリー・ミラー紙の数頁を飾る記事ともなった)
さて前記回答中にある5月5日の目撃事件の詳細は次のとおりである。
ある婦人−住所氏名は秘すーが目覚めてベッド上に上半身を起こしていたとき、オタマジャクシのように尻尾のある円型の物体がゆっくりと窓の外を通過してアーノス公園の方へ無音のまま飛ぶのを見た。明るいレモン色で、前記の物体ほどに明確な説明は不可能である。5ないし10秒間屋根の上を低く飛んだが、腕をまっすぐ伸ばして手にのせたフットボール位の大きさに見えたという。
私はまた約5年前にティーンエイジャーたちが牧師が見たのと似たような物体を同じ場所でしかも土曜日の夜9時頃に見たことを知った。一同が近づくにつれて物体の輝きが増した。みんなは恐ろしくなり、一人は泣きながら走って帰った。一同が恐れすぎたのか若すぎたのか、その筋には通報しなかった。
例の化学者の最後の言葉は次のとおりである。「これは土地の墓地のガスから発生した鬼火ではないかと思う」
(終わり) |