月面でUFOを見た
美しくも不気味な月面の荒涼たる光景が、次第にズームアップして、宇宙船の窓から見る乗員たちの目には、まるでSF映画の場面のようなすばらしい様相が展開してくる。
月面に降り立った着陸船の上空を回る司令船のパイロット、エバンズが呼びかけた。
「何を知ったんだい?」
着陸船「月面上のすごい物体だよ、ジャック」
エ「その異常な物はどこにあるんだ? すぐ簡単に知らせてくれ」
着「次に通過するときに知らせよう」
エ「おお、着地点に輝く物がひとつ見えるぞ。彼らが何かを燃やしたのかもしれない」
管「了解。おもしろいぞ」
エ「おお、信じられないことだ。いまオリエンタルのふちの真上にいるんだが、下を見たら、また閃光が見えたんだ」
管「了解。わかった」
エ「小川の端の所だ」
管「また確認するチャンスは?」
エ「オリエンタルの東側だ」
管「ヴォストーク (ソ連の宇宙船) じゃないのか?」
エ「絶対に違う。地図でその位置を確認する必要がある!」
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▲スプリット・ロックの後ろ側を歩こうとしているアポロ17号のハリソン・シュミット博士。©NASA |
ソ連の宇宙船がアポロ17号より先に月面に到着して、アメリカの宇宙船に閃光で合図をしたとは、まず考えられないことである。到着していたとしても気づかれぬように極秘裡に行動するだろう。ヒューストンの管制センターとエバンズ飛行士との交信中、しばしば「キロ」とか「ブラーボ」という暗号が使用されているが、これは月面でのUFO目撃を意味する合言葉らしい。先にも述べたように、NASAはアポロ計画でUFO問題を極秘にして、帰還する宇宙飛行士には厳重な緘口令をしいたのである。
「アメリカの宇宙飛行士は全員UFOを見ているが、他言してはならぬと厳命されている」
トップクラスの宇宙開発科学者ゲリー・ヘンダーソン博士までがこのように言っているのだ。結局エバンズは月面でUFOを2回目撃し、シュミットは1回見た。これらは写真やムービーにも撮られている。そして極秘だとはいっても早晩洩れるのだ。秘密は絶対に保たれ得ないというのが惑星地球の特性である。
謎のドームと立体交差路を目撃!
さて、月面における不思議な現象のトップにあがるものに謎のドームがある。これは宇宙開発以前から観測されていたもので、1960年代に入るまでには200個以上もの白いドームが天体観測者によって発見されていた。なかには直径200メートルに及ぶ巨大なものもあり、これらの数は増加しているという。
英国の天文学者H・P・ウィルキンズによると、このドームが最初に発見されたのは1953年である。その年の9月26日に、天文学者のF・H・ソートンが、暗黒の月面に川のような光る物を望遠鏡で観測したが、これはたしかに円形のドームであった。
だがウイルキンズは当初それらを人工的なドームだとは思わず、火山活動で生じた丸い丘だろうと考えていた。地球で見られるすりばち山のように、熔岩の流出でできたものではないかというのだ。そうだとすれば、かなり昔から観測されねばならぬのに、おかしなことに1953年までは地上の天体観測家のだれも気づかなかったのである。20数年前からいわば雨後のタケノコみたいに月面で急に増加し始めたのだ。ただしアマチュア用の小望遠鏡では発見が困難で、強力な大望遠鏡でないと見えぬらしい。ウイルキンズやパトリック・ムーアは100個ほどのドームを発見したと言っている。現在もこれらのドームは月面に出現し続けており、なかには消滅したのもあるという。
それなら60年代に月面に到着した宇宙飛行士たちもドームを見たか? 見たのだ!アポロ16号の交信記録をかかげよう。これは月面のデカルト・クレーターに静止しているオリオン船から飛行士のデユークが地球の管制センターに報告したものである。
デユ「ここは柔らかい場所だ。ひとつお知らせしよう。ここに空気があってもなくても、たしかに美しい光景だ。ストーン山の頂上の光景 ― 信ずるためには、そこへ行ってみなくちゃだめだよ。あのドーム群は信じられないほどだ!」
管「了解。その煙のような地域をよく観察してくれたまえ」
デユ「ドーム群の向こう側に、構築物が峡谷のなかへ伸びており、頂上に伸びているのもある。峡谷の北東側の壁は輪郭が見えない。北東の方にトンネル(複数)があり、北へ向かってそのトンネルが約30度下へ曲がっている」
この驚くべき会話は、月面の人工建造物を描写した言葉以外の何物でもない!
だれが、なんのために、こんなドームやトンネルを建設したのだろう。
アポロ17号になると、もっと不気味な言葉が出てくる。
管「どうぞ。ロン」
エ「了解、ロバート。月の裏側から報告したいのは、双眼鏡でエイトケンのなかに立体交差路を見たということなんだ!東側にはドームがあった」
管「了解、ロン。そのドームの色と『エイトケンの海』に何かの相違があるか?」
エ「うん、そこには・・・あのコンドーかコンドーセイか、コンドルセだったかな、なんとかいった ― なそうだ、コンドルセ・ホテルは、床にダイヤモンド型のつめ物のあるホテルだ」
管「ロバート、了解。コンドルセ・ホテルだな」
コンドルセというのは月面第1象限の壁平原で直径72キロある地域だが、これをエバンズがユーモラスにホテルにたとえて言ったのだろう。ダイヤのようにきらめく異様な物体を目撃したらしい。
エ「コンドルセ・アルファだ。一同はそこに地すべりを見つけたぞ ― そこは北西側の壁の地面とは違うようだ」
管「了解。コンドルセ・アルファの北西壁をコピーする」
エ「その地域はクマゴ型または楕円型だ。もちろん、その楕円は頂上にかけてだ」
アポロ宇宙船と管制センターとの交信には、しばしば暗号が使用されている上に、宇宙飛行士たちは興奮しているせいか、地上との交信で前後関係の暖味な会話を交わすことが多く、交信記録の文脈を正確に把握するのに難渋することがあるけれども、驚異的な物を目撃していることはたしかである。
第7話へ続く |