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 月は異星人の宇宙基地 第5話

7つの謎と奇跡より転載 久保田 八郎
 

大体に月には水が存在しないということがアポロ11、12、14号で確認されたということになっていた。このことはNASAの月科学部副部長のリチャード・アレンビーも声明している。


月面上空の大蒸気雲

ところが、アポロ宇宙船によって月面に残された装置により、驚くべき事実が明るみに出た。水蒸気雲の大噴出が起こり、月面の百平方マイルもの地域にわたって広がったことが探知されたのである!

この噴出は4時間も続いた。これはアポロの超熱イオン検知機が検出したデータを2名の科学者が分析して判明したものである。これは最大の驚異的発見で、月震が発生しているあいだに深奥部から噴出したものらしい。この事実を発表したのはライス大学の物理学者ジョン・フリマンとH・ケン・ヒルズの両博士であった。

NASAの科学者は真っ向から否定した。

「あれはアポロが月面に残した2個の水タンクから出た水蒸気雲だ」

▲実験装置を設置しているアラン・ビーン。青い光はバックパックからの水蒸気が氷結したものだというが・・・。アポロ12号。cNASA
▲実験装置を設置しているアラン・ビーン。青い光はバックパックからの水蒸気が氷結したものだというが・・・。アポロ12号。©NASA

しかし各水タンクにはわずか270キロから450キロの水しかない。それが百平方マイルにもわたって水蒸気をたなびかせるとは、どういうわけだろう。

もちろんライス大学の科学者はこの声明を相手にしなかった。アポロ12号と14号の着陸地点は180キロも離れているのに、両位置で水蒸気の同じ噴出量が検知されたのである。この2個の検知機は互いに反対方向に向きあった状態で水蒸気雲を検知しているのだ。

そこでNASAは、これは8月4日に司令船から月の上空に放出した宇宙飛行士たちの小便のせいだと苦しい釈明をした。この小便が数週間も月の周囲の空間を回り、次第に地表へ下降して検知されたのだろうという。

もちろんヒルズ博士は言下に否定し、小便ならば空中で自然消滅するはずだと主張した。

NASAと両博士との小便論争"は一見おかしくもあるが、月に水が存在するか否かは重要な問題である。これは月の起源と発達に関して、種々の説の中心課題になるからだと、『サイエンス・ニューズ』紙も指摘しているし、「月の内部は表面で見える様子とは全く異なるのかもしれない」と、月科学者のファルーク・エル・バズも言っている。だがアポロ16号が帰還してから、この謎は重大化した。宇宙飛行士が持ち帰った岩石のなかに、さびた鉄が含まれていたのだ!

▲アポロ16号の宇宙飛行士。正面左からトーマス・マティングリー、ジョン、ヤング、チャールズ・デューク。©NASA

月に水が存在しないというのに、なぜ鉄がさびるのか? さびるためには当然、水がなければならず、水があるのなら酸素も水素も存在するはずだ。

2名のソ連人科学者、バシンとシチュルバコフの主張によると、月の内部には巨大な空洞部があり、そこには生命を維持できるガス類が充満しているという。このガスが裂け目などから表面に出て、大蒸気雲を形成したのではないかー 。

謎は深まるばかりだが、実際にはアポロ16号によって、相当数の驚くべき事実が明るみに出されたのである。

閃光を放つ謎の物体

アポロ16号が着陸したのはデカルト・クレーターと呼ばれる高地である。ここは凹凸のある所で、危険な個所と思われていた。司令船キャスパーでトーマス・マティングリーが頭上を飛んだとき、船長のジョン・ヤングと着陸船パイロットのチャールズ・デュークは外を見ていたが、そのとき白色とピンク色に輝く多数の丸い物体がいるのを目撃した。大きさは自動車ほどもある。これは驚くべき光景だった。無人のはずの月面に何者かがすでに人工的な物体をおいているのだ!

一方、司令船のマティングリーも月の軌道を回っているあいだに、空中を光体が横切るのを見てハッとした。この物体は月の地平線の彼方に消えてしまった。

1972年4月22日のアポロ16号は次のような交信を行っている。

デューク「トニー、別なピークは?」
管制センター「宇宙線の測定実験だ」
デユ「了解。時速15でF-11・250を越えよう」
ヤング「了解。ヒューストン。いま白い岩石をひろったところだが、裏側は黒いガラス層になっている」
管「マティングリーがいま上空を飛んでいる。彼はデカルトの地域に閃光を見た。たぶんきみたちをちらりと見ただろう」
デユ「そう、我々をね。奇跡の男たちだよ。みんなホコリだらけだ」
ヤ「チャーリー、ここでは歩くな。ガラスが飛び散るぞ。まるでガラスの泡じゃないか」

月面にガラス質の岩石が堆積しているというのは、どういうことなのだろう。

しかしそれよりもアポロ飛行士が月面上空でしばしば見た閃光を放つ物体"がもっと謎である。地上の科学者団は当初これを微小な隕石か、あるいは飛行士たちの視神経を刺激する宇宙線効果と考えたが、NASAの科学者ファルーク・エル・バズは否定的見解をとって次のように述べている。

「アポロ16号の飛行士たちが目撃した光る物体は、外部で発生した現象だ。なぜならマティングリーは全然見ていないからだ。地球から月へ行った宇宙飛行士のほとんどは、目を閉じても閃光が見えると言っており、これは宇宙線が視神経を刺激する結果とみてよい。しかしマティングリーが見た物は宇宙船外にいて、月面上空を飛んで月の地平線の向こうへ消えた。これは全く奇妙な現象だ。おそらくUFOかもしれない。かなり大きな物体だろう。だがすごいスピードなので、我々が知っているようなタイプの宇宙船ではない。ソ連やアメリカの宇宙船は月面付近でそんなに急速に飛べない」

月面に宇宙人が着陸した形跡はないのにこれはどうしたことか、という記者の間に対して、バズは答えた。

「ああ、でも月面に宇宙人が着陸しなかったとはだれにも言えないよ!月面はまだ徹底的に調査されていないんだ。写真はかなり精密に撮影されてきたんだが、その写真でさえ肉眼で見える最小の物体は、さしわたし1.5キロはある。異星人の物体が月面にないとは断言できない」

第5話へ続く

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