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 科学を曲げる男 ユリ・ゲラー   ゴードン・クレイトン

第1話 UFOと宇宙 No.10 1975より

”UFO”物理現象との重要な接点がついに出現!?

「私たちは18世紀にはじめて電光を見た男と同じような立場にある。つまり、そのような現象が存在することはわかった。しかしそれを科学的に説明することはまだできないのである」


フライング・ソーサー・レビュー誌関係者の一部のみならず、同誌に好意を寄せる人たちの中にも、最近の同誌に掲載される記事のうちに″非科学的ないしはあまりにも超心理学的傾 向の強いものが散見されることに不安や驚きを感じるという声がある。ボルトとナットの、健全な科学の伝統に立ちもどってほしい、と彼らは訴えるのである。

だが、現実はといえば、友人たちがしがみついている健全な科学の伝統というやつが、知らず知らずの間に急速に解け去ろうとしているまうに思われる。あらゆる徴候が示しているのは、 人々の心の中にはぐくまれてきた新しい傾向こそ未来の科学であるということであり、この小文で決定的に明らかにしようとしているように、”真実こそ真実”であり、”固いものは固い”のだという19世紀的科学観・宇宙観は今や過去の遺物になり果てようとしているのである。

しかし、人間が、純粋に機械的な宇宙に関する最終的な大発見が今にも完成されそうに感じ、それからあとは学ぶものも発見するものも何もなくなるように思っていたのは、ほんの100年たらず前のことなのである!

科学の研究についてJ・アレン・ハイネック博士は、現代の人々が常にあまりにも偏狭すぎることに対して、くりかえして警告している。やがては21世紀の科学の、いや、たぶん31世紀の科学の時代が来る。そして、そのときには我々の子孫たちは、現在の我々の想像も及ばぬような技術や知識を自由に使いこなしているだろう、と博士は語る。

アーサー・クラークも言うように「現在の我々自身の技術よりほんのすこし進んだ技術でも、それは魔術のように思えることだろう」最もやっかいな問題も実はそこにある。

というのは、UFOを建造・操縦する人々の科学技術の”床”が、現代人類自身の科学技術の”天井”よりも上にあるならば、我々が近い将来にこの差を克服することがいったいできるだろうか、またそのような異質の本質をどうやって評価できるだろうかということになるからである。

●NASAも超能力に関心を示す?

読者諸君もご承知かと思うが、NASA(米国航空宇宙局)の関係者のなかにも、ここ数年来、超心理学に並はずれた関心を寄せる人々がいる。そしてそのなかには、米国では最も有名な神経学者であり、54の特許を持つ電子工学技術者でもあり、また世界最高の超心理学者であるアンドライジャ・ビュハリッチ博士もふくまれる。博士はまた、専門家たちの間では内容深い数々の論文の著者として、市民の間では”魔法のマシェルーム”や”テレパシーの彼方に”など一般向きベストセラーの著者として、それに超能力者のペーター・フルコスの発見者としてもよく知られている。

数年前のことだが博士は、NASA(あるいは、NASAにきわめて近い筋) から、古代聖者の術である空中浮揚術を行うというある人物を調査するためブラジルに潜行するよう依頼された。ビュハリッチ博士自身の説明によるとその人物の所在をつきとめることはできなかったが、ブラジル滞在中にすすめられたのは、いなか者ではあるがコンゴナス・ド・カンポですばらしい心霊手術を行っているホセ・デ・フレイタス、あだ名をアリーゴ (まぬけないなか男) という男を調査することだった。

博士は行って見てすっかり驚き、数カ月後には医者、技術者、カメラマンなど総勢12人の調査団を組織してふたたびコンゴナス・ド・カンポにやって来た。彼らはそれから何カ月かにわたって、神がかりになったアリーゴの仕事ぶりを観察し、フィルムにおさめた。彼は見知らぬ患者の群れの前で、ふつうはチラリと見るだけで、時には見もしないで病気の診断をくだすのである。平均1分に1人、1時間で60人というスピードぶりだった。

アン・ドゥーレイ、チャールズ・ボーウエン、ブライアン・ワインダー、それに私の4人は、1970年にロンドンでビュハリッチ博士に会い、博士の撮影したアリーゴの手術ぶりの記録映画を見ることができた。その手術は私と妻、息子の3人が英国で、リオ・デ・ジャネ一口のロリヴアル・デ・フレイタスから受けた手術と同様のものだった (姓は同じだが、ロリヴァルとアリーゴは親類ではない。デ・フレイタスというのはありふれた名前なのだ)。

調査団は、いなか者のアリーゴがくだした1000例以上の診断をできるだけくわしく、それも1人々について、時には]線や血液検査などのあらゆる近代技術を使用して徹底的に調査したが、誤診と思われそうなのはただの一例もなかったとビュハリッチ博士は語った。

この好人物は、ブラジル奥地の小さな町にあるみすぼらしい自宅の、マリアやイエスの絵のかかった部屋の中のそまつな木の小テーブルの前にすわり(立っていることもある)、神がかりのような状態のうちに、多くの医師や看護婦をかかえたニューヨークの大病院で1年間にあつかうよりもはるかに多数の患者をみごとに治療してしまうのである。

1970年11月、ビュハリッチ博士はニューヨークで、”人間のエネルギー場の研究”を議題とする国際会議の議長となった。

スポンサーはライフ・エネルギー研究所とウェインライト・センターである。彼が選出されたのは、この会議の研究課題の対象となりそうな人物をさがしだすための世界一周調査団を派遣するためだった。

1970年後半になってから彼は、あらゆるルートを通じて調査を開始した。女性治療者パテタを調査するためメキシコへも行った。彼女もブラジルやフィリピンの同類の治療者と同様に狩猟用のナイフただ一本だけで麻酔薬も使わずに、消毒薬も使用しないで大外科手術を行うのである(もっとも、こういった手術で感染する者は一人もないので、消毒薬は不要であるようだ)。ブラジルでアリーゴがやったように彼女も、頭蓋骨を開いて腫瘍を除去するみごとな脳外科手術をやってのけてみせた。

メキシコがすむと博士はドイツに行き、つづいてイギリスへ、さらにイスラエルへと旅を続けた。現代の奇跡である本編の主人公を博士が発見したのはイスラエルでのことだった。

●奇跡の人

本年28歳になる若いイスラエル人ユリ・ゲラーは、1946年12月20日テルアビブで生まれた。この青年の不思議な力がはじめて明らかになったのは、彼が7歳のときだった。だれかが彼の誕生日のお祝いに時計をくれた。この時計を見つめて心中に念じると針がとても不思議な動きをすることに彼は気づいたのである。学校に行くとこの現象はもっとはっきり現れた。

”洋傘効果”とでもいおうか、彼は自分を中心において周囲の人たちから、たぶんテレパシーで、ある種のエネルギーをひきだすように思われたのである。次に彼が発見したのは、離れたところにある固い物休を動かしたり(念動作用)、未知の方法で情報を送受したり(テレパシー)、手に持つか、なでてやるか、または見つめるだけで金属製晶を曲げたり溶かしたり、更に固い金属製品を全く消してしまったりふたたび出現させたり(物体消滅、遠隔移動)することだった。

ビュハリッチ博士がイスラエルに到着したころは、彼はもう劇場の大観衆の前で堂々とショーを行っていた。

博士がいうように、ユリの手にかかると実体のある固い物体が曲がりやすくなったり、時には単に気化してしまう。博士がメキシコの5ベソ銀貨をユリの手におき、「何とかしてみせたまえ」と言ったところ、銀貨はたちまち消えうせてしまった。博士が銀貨をもう一度出してくれとたのむと、ふたたび出現はしたが変形していた。

「彼の手の中の空間以外の場所で何かが起こったことはわかる。こんな貨幣を曲げるには約600ポンドの力が必要だ。2時間ほどするとユリは飛びあがって電話機に走りよった。そのとき天井から5ペソ銀貨が落ちてきて彼の肩ではねかえって、私のひざの上に落ちた。約60度ぐらいの角度に曲がっていた」

最初はイスラエルで、それからはドイツで、熱心な調査を数カ月にわたって続けたのち博士は、米国最高のシンク・タンクの一つであるカリフォルニアのスタンフォード研究所へユリを連れて行った。そこでは、宇宙飛行士のエドガー・ミッチェル博士をふくむ一団の科学者が、それぞれの専門分野で研究を行い、その結果は1973年3月、コロンビア大学における物理学会の席上で発表された。ビュハリッチ博士は語る。

「実験のさいにもゲラーは、正確なテレパシー能力と正確な透視力を発揮した。彼は念力のみで実験装置を操作したし、はかりに乗せた物質をその実際の重量に関係なく、念力だけで重くしたり軽くしたりしてみせた。また電磁場やきわめて鋭敏な実験装置を動かしてみせたし、実験室でも念力のみで金属製品を曲げてみせた。研究はまだはじまったばかりである」

●消滅した物体は、一体どこへ?

科学者たちが最も関心を寄せていることの一つに、「ユリが消滅させた物体はどこへ行くのか」という問題がある。 ビュハリッチ博士は言う。

「これについては、まだ適当な実験装置を開発していない。私たちの実験では彼に、貨幣でなく、替わりにある種の発信機を使ってもらっている。これが消滅して未知の宇宙に行ってくるわけだ。それがどこかはわからないが、ひょっとしたら彼の胃のなかかもしれない。だが私たちは、この発信機がもどってきたとき何かの記録が残るように、またそれがどこに行っていたのかがわかる何らかの変化を観測できるように、この装置に何らかの証跡を残させたいのだ。

実は、私たちはこんな結論に達したのだ。つまり、未知の空間に送り出すための調査機としては人間が一番望ましいということである。人間なら、何かの方法で消滅させられ、または霊的存在に変化させられてしまっても、作用するエネルギー源が何か、また行く先はどんな宇宙だったかを、帰ってから報告できるからだ。この難問を研究するにはそれがもっとも科学的な方法ではなかろうかと、私たちは真剣に考えている。宇宙飛行士を外部の宇宙に送り出すことは、今では日常茶飯事となっている。だが、超心理飛行士を内部の宇宙に送り出すようになるかもしれないとは!

もちろんこのような情報収集実験はあくまで合法的に行いたい。人間に関しては現在でも暗示、催眠術、麻酔剤の使用などによる様々な実験が行われている。もしわれわれがこれらの被験者を探険家として使用するようになれば、近代病院の麻酔チームのような医師団が必要になるかもしれない。この医師団が、被験者が消滅してその肉体から遊離するさいに彼の行動を追跡するのである。また、ユリが物体消滅の実験を行うさい、前もってだれかをその肉体から遊離させておき、空中にただよいながらユリのすることを観察させることもできる。彼は現場にいて観察をつづけているのだが、実際は全く別の次元の空間にいるわけで、彼の肉体は明らかにここにいるにもかかわらず、だれも彼自身を見ることはできないということになる。

彼は自身から遊離してその空間での出来事を観察し、消滅した貨幣を追跡するのだ。

われわれはいろんな種類の発信機を考えた。たとえば、この時計はすでに一度ユリの手で消滅させられたもので、その後ふたたび出現して、今では全く正確に動いている。だが彼はまた手に持った時計を念力で進ませたり遅らせたりすることもできる。したがって、時計を送り出すことは意味がないといえる。放射性物質で作った発信機をユリに消滅させることも前から考えているが、これならその内部のエネルギー分子の分布状態を計測できる。それがもどってきたとき、正常な分布状態とどれだけちがっているかわかるわけだ。そうすれば、その発信機が放してきた宇宙がどんなものか、何かをつかむことができるだろう。しかしこの間題は考えれば考えるほど、既知のいっさいのエネルギー組織や物質組織を操作できる人物を使って実験をすることは、情報よりもむしろ歪曲をもたらすのではないかということに気づいてくる。つまり、彼なら何でも操作できるかもしれないからだ。

科学が信頼している計器さえ信じられなくなる。計器の針は念力でも動くからだ。近代計測法が根本から危機にさらされているわけだ。古くさい黄金の子牛は窓から投げすてねばなるまい。研究所のスタッフがうろたえているのはそのためなのだ。つまり、この青年は、現代のビデオ組織もコンピューター組織も破壊しようとしている。 すくなくともそれだけの能力を持っている。

この”内部の宇宙”がUFO研究にどんな重要な意味を持つか、強調してみせる必要はないだろう」

第2話へ続く

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