この事件については9年前に実施した日本GAP海外研修旅行『エジフト・ヨーロッパの旅』でポルトガル・ファティマを訪問した際の紀行を本誌に掲載したが、多数の続者の要望に応えて再録することにした。牧童が『聖母』から聞いたという予言の中に、今世紀末の第三次大戦発生に触れた項があるという噂か流れているからである。しかも大円盤は別な惑星から来た宇宙船であったという確かな筋の情報があるにもかかわらず、これは宗教上の奇跡とされて一般社会から隔離されてしまった。今ここにその全貌を検証して真相を伝えることにしよう。
ファティマとは如何なる場所か
ポルトガルはイベリア半島の西南にスペインとくつついている、ヨーロッパ最南西端の小国である。首都のリスボンは南部の海港都市で、石造の大建築物が立ち並ぶ重厚なヨーロッパ風の大都市。テージョ河畔に屹立するエンリケ航海王子の素晴らしい記念碑が、この国の栄光ある歴史を象徴している。
この首都から約80キロ北方の山間地に位置するファティマは、きわめて辺邸な町である。
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◆コーヴァ・ダ・イリアでお祈りをする(左より)フランシスコ、ルシア、ジャシンタの貴重な写真。 |
ここに3人の牧童がいた。当時10歳のルシア・サントスという少女、その従兄弟で9歳のフランシスコ・マルト、フランシスコの妹、7歳のジャシンタであるが、このうちルシアが長生きして後世に詳細な体験を伝えている。
日本で出ているファティマ関係の本ではルシアをルチア、ジャシンタをヤシンタと表記しているのが多いが、これは誤りで、誰かが書いた本を丸写しにしたものだろう。こうした大事件の執筆にあたっては自分で実地調査をすることと、その国の言語をある程度研究してかかる必要がある。そして現地資料を入手することが大切だ。
不思議な事件の始まり
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◆フランシスコとジャシンタの生家。 2人のベットが残されている。 |
1917年5月13日、仲のよい3人はいつものようにコーヴァ・ダ・イリアという牧草地へ羊の世話に出かけた。ここは7世紀頃に住んでいた聖女イリアにちなんでつけられた地名だが、実際は広大な平野だ。
この牧草地で奇怪な出来事が連続発生する。これは後年ルシアが司教に語る形式で書いた『思い出の記』の英文版を参考にするのが正確なので、以下、それに従うとー
実は二年前のある日(日時と場所は不明)羊をつれて野外へ出た3人が可愛い弁当の昼食を終えて、習慣どおりにロザリオの祈りを始めた。
するとまもなくヒイラギの木の上空に、まるで雪で作られたかのような真っ白い人間の像のようなものが浮かんでいるのが見えた。恐怖した3人が祈りを続けていると、やがて像は消えた。
帰宅したルシアが母親にそのことを話したけれども、母親は全く相手にしない。しかしさらに不思議な体験を牧童達が持つようになってから、次第に噂が広まった。
美しい”天使”の出現
翌16年4月のある日(この日時と場所も不明。なにせカレンダーや時計などを持たぬ貧家の子供達だから無理もない)、3人はチョウサ・ヴユリヤと呼ばれる丘の東側山麓の両親が所有する土地へ羊達を連れて行った。
午前中のなかば、こまかい霧雨が降り始めたので、一同は丘の上の突き出た大きな岩の下へ入りこんで雨を避けた。
やがて雨がやんで晴天になったので、3人はお弁当を食べてロザリオの祈りを行ない、小石遊びを始めた。石を並べて家の模型を作るのだ。カトリックの国なので子供のときからお祈りの習慣が身についている。
突然、突風が吹いて樹木が揺れた。一同は空を見上げて驚いた。オリーブの林の上空に大きな光る人像のようなものが見えるではないか! それは雪よりも白く、日光が貫通するほどに透き通った14〜15歳の少年の姿である。
あっけにとられている3人の眼前にその像は降下して地上に着陸すると、凄く美しいその人が言う。 「怖がってはいけません。私は"平和の天使"です。私といっしょに祈りなさい」
相手は地面にひぎまずいて額を地に押しつけながら、3回ほど次の言葉を3人に復誦させた。
「わが神。私はあなたを信じ、敬慕し、期待し、愛します。あなたを信じないで、崇拝もせず、期待もせず、愛さない人々を、どうぞ許してあげて下さい」
続いて"透明人間"は立ち上がって言った。
「いま述べたように祈りなさい。そうすればイエス様とマリア様の御心は、あなた方の祈りに応えられるのです」
ルシアはそのときの光景を思い出す。
「その方の言葉は私達の心にたいそう深く刻まれましたので、決して忘れることはできませんでした。それ以来、私達はよくこの言葉をとなえて、ついにはカつきて倒れたものでした」
UFO側のものすごい技術
UFOを深く研究してこられた読者は、以上の記述で気付かれるだろう。これは実際には上空に飛来した円盤が特殊な技術で作り出したか空中彫刻作品なのであって現実の生きた人間ではない。音声も円盤から放射される何かのビームを応用したものである。
地球人の想像を絶する物凄い科学技術を持つ別な惑星から飛来する宇宙船にとって、こんな事は朝飯前にやれるのだ。筆者もこれに類する体験を持ったことがあるが、それは言語に絶する光景であった。
しかし、まだUFOの知識など一般化していない当時のカトリック信仰の国ポルトガルでは、この一連の事件をすべて聖母の奇跡とみなした。現在でも文明国でさえUFOの何たるかを知らず、話を聴いても一笑に付する手合いが多いのだから、当時のポルトガルで神秘祝され宗教化されたのも無理はない。むしろ宗教と関連づける方が効果的とみたスペースピープルの思惑によって、少年像を出現させたとも考えられる。
スペースビーフルが接近?
1916年に3人の牧童は3回ほど天使々を目撃した。その2回目は夏のある日のことで、シエスタという昼寝の時間に牧草地から帰宅した3人は、ルシアの家の裏庭にある井戸の側で遊んでいた。 突然、1人の見知らぬ男がそばに立って3人に話しかけた。
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◆1916年の夏、2回目に”天使”が出現したルシアの家の裏の井戸。 |
「あんたらは何しているの? 祈りなさい。うんと祈りなさい。イエスとマリアの心は、あんたらに憐れみの気持ちを持っておられます。"いと高きもの"にたいして絶えず祈りと犠牲を捧げなさい」
ルシアによれば、この男も"天使"ということになっているが、これは空中から降下した透明人間ではなくて、特殊な服装をした人間だったらしい。
第3回目の天使々出現の場所は、ルシアの両親の地所でプレグエリアというオリーブの森の丘の斜面をまわった反対側の岩をよじ登った所の窪みに着いて3人が祈りを始めたときである。
この日時についてルシアは全く記述していない。
イスラム教徒みたいに3人が地面に額をすりつけて祈っていると、また例の天使々が眼前に立っている。これも透明人間ではなくて、生きた男である。
ルシアは説明する。
「その人は左手に聖餐杯(台付きの杯)を持ち、その上方の空間に聖体(ミサ聖祭で聖別されたパン)が浮いており、そのパンから聖餐杯の中に血液がしたたり落ちていました。すると"天使"は空間に聖餐杯を停止させたままで私達のそばにひざまずいて、次の言葉を二度くり返させました。
『最も聖なる三位一体である父と子と聖霊に。主がみずからこうむった暴行、冒漬、無関心などにたいする償いとして、この世のすべての聖櫃内にあるイエス・キリストの最も高貴なる体、血、魂、神性を捧げます。主の至徳なる御心とマリアの無垢の心の限りない功徳によって、哀れな人々の改心をお願いいたします』
それから"天使" は立ち上がって両手に聖餐杯と聖体を取り、聖体を私に与えた上、聖餐杯の中の血液をジャシンタとフランシスコに等しく分かち与えながら言いました。
『恩知らずの人々によってひどい仕打ちを受けたイエス・キリストのお体を食べて、血を飲みなさい』
もう一度その男の人は地面に平伏して先程の祈りの言葉を私達にさらに3度くり返させてから消えました」
この2度目と3度目に出現した男は一体誰なのか。賢明な読者は容易に推察できるだろう。これが地球人でないことは服装の描写でわかるのである。
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