ホーム ライブラリー レターズ ピクチャーズ ufo 掲示板 お問い合わせ リンク

GA Site -UFO Contactee-

articles

過去更新記事

 ├ 2009年度
 ├ 2008年度
 ├ 2007年度
 ├ 2006年度
 ├ 2005年度
 ├ 2004年度
 ├ 2003年度

最新更新記事

サイト内検索



GA Site内を

新アダムスキー全集

 ├ 写 真
中央アート出版社
TEL : 03-3561-7017
E-mail :info@chuoart.co.jp
 空飛ぶ円盤の秘密   T.ベサラム/久保田八郎訳

第3章 円盤の磁力     昭和42年発行 高文社版より

ウェルズ・カーゴ社の仕事をしている間は、主任技師ホワイティー・エドワーズの命令を受けたものの、ほとんどは1人で仕事を片付けていた。それが円盤の話をしてからというものは噂がバッと拡がり、私は疑いの目で見られたり、陰口をたたかれたり、脅迫されたり、侮辱されたり、"円盤男"とかその他面と向っては云わないが、いろいろな悪口を云われたりするようになった。

ホワイティーは私の話に最初はびっくりしたが、その驚きがおさまってからは、また私を正気の人間として扱ってくれるようになり、自宅へ招待してくれたり、奥さんに私の体験を話させたりした。それにもかかわらず、私はしだいに淋しい怒りっぽい人間になっていった。今まではいつも親しみやすい、誰からも好かれていた私なのだが―。

私がこのような屈辱を忍んでいた頃、新聞も、流星、火球、燃えながら飛ぶ飛行機などの目撃談を書きたてたし、また大勢の人が似たような現象を見たと云いだした。ラス・ベガスの2つの新聞も、市の有力者たちでさえも円盤や火球を見たとか、それらが皆、その物体の色、形、連動方向、速度などがそれぞれ違うように云っている、というような記事を載せた。

だが読者は、私が数人に話しただけでどんな目にあったかを思い出して下されば、私が自分の経験を新聞社や政府に報告しなかった理由を了解して下さることと思う。それに夜は仕事で忙しいし、朝は日勤者と交代してすぐ睡眠をとる仕度をしなければならない。だから、自分の体験が重大なニューズで、他人、とりわけ政府の科学者にとっては最も興味ある事件だということなど考えもしなかったのである。しかも私の蒙っている嘲笑も決して有難いものではない。私はあらぬものを見たのではないか、砂漠の暑さで頭をやられたのではないか、私は狂人ではないのか?この恐ろしい反問が一度ならず私の脳裏にひらめいたのである。

1952年8月3日の夜から4日にわたって、私は再び円盤を見たが、それが幻ではないことを知ったとき、胸の中に湧き起った安心感を想像していただきたい。

私は、或るトラックのヘッドランプの修理に出かけて、その事をいちばん離れた最大の貯水池から仕事場までもって帰るところだった。そのとき流星のようなものが、星空を横切って落ちるのが見えた。その光は最初は青緑色だったが、次に橙色に変った。コースは、私が先週円盤を見た場所より半マイルほど東寄りの地点を指していた。

▲著者のトルーマン・ベサラム。
▲著者のトルーマン・ベサラム。

こいつはあの円盤だな、と思うと身震いがした。トラックを大きく方向転換させると、着陸地点めがけて砂漠を横切り、でこぼこの地面をゴロゴロと低い藪を押分けて進んで行った。すると思わぬところに道がついていたので、しばらくはそれにしたがったが、間もなくその道もはずれて大きく揺れながら行くと、はっきり円盤が見える場所に出て、ホッと安心の溜息が出た。やはり例の巨大な円盤だった。

今度の着陸地点は、ソールト・レイク市への幹線道路である第91号ハイウェイから、ほんの1マイルしか離れていないところである。よく晴れた夜で、時刻は午前3時半くらいだろう。私はスピードを出した。あの小さな人たちに早く会いたかったからだ。

私はこの2日間ほとんど眠っていなかった。昼間は―私にとっては夜だが―オーバートンにある「砂漠荘」の自室で、彼らの誠実さ、平和な目的、彼らの実在などを自分自身に信じさせようとして苦しんでいた。彼らが友好的であることは間違いない、でなかったら、私を傷つけるとか、私が円盤着陸の話を他人に知らせるのを何とかして邪魔するだろう。だが私は現にビンビンしている。彼らを友人として信じても大丈夫だという確信が私にはあった。「またた来ます」と婦人機長が云ったときと同じように、今度も平気だった。平和以外の目的で彼らがやって来るなどとは、どうしても考えられない。「場所と時間はあなたが自分の心で念じて下さればよろしいのです」と聞いたことをも思い出して、どういう意味なのだろうかといぶかった。

この地点のことは考えたこともなかった。最初会った場所とは半マイルかそこらは離れている。勿論、特に今日という日を予想したわけでもない。しかし、現実には彼らは再び現われた。多分、彼らは私が以前会ってからというものは、彼らのことが私の心中にこびりついていたのを知っていたのかもしれない。

円盤へ4分の1マイルの地点まで来ると、見たところは以前のと同じ型であることがはっきりした。私はホッとして、自分の正気を心配していたことなどはきれいに忘れてしまった。彼らも私たち地球人と同じように親しみやすく、地上で誰かに会ったり話したりしたくてたまらないのだろう。彼らの訪問の動機や私の身の安全などについての懸念は吹き飛んでしまった。

円盤から50ヤードくらいのところまで車を乗りつけて、私は数人の小男がすでに地上をいているのを見た。歩きまわったり話をしているだけであるところをみると、単に脚を伸して軽い運動をする以外にはたいして意味もなさそうだ。最初聞こえた話声は何のことかわからなかった。自分たちの言葉で話していたのだろう。

しばらくトラックの中に坐ったままで、胸をときめかせながら私は眺めていたが、間もなく機長が円盤の出入口に現われて右手を差出し、私を招いた。

私はトラックを降りて彼女たちに近づいた。私が近寄ったときには傍に3、4人しかいなかったから、円盤のむこう側にも何人かが散歩していたにちがいない。彼らは私に気がつかぬようなふりをしていたが、私が数歩の距離まで接近すると、2人がこちらを向いて「やあ」と云いながら手を振った。私も手を振って挨拶を返すと、彼らはまた散歩を始めた。

今度は誰も私の腕を握ったりしなかった。その上、私がそこにいるのを注意している様子もなかった。多分、この男は無害である、と認めたのだろう。

機長は私が乗り込むのを助けるかのように手を差出した。私が内部に入ると、彼女は先に立って自分の部屋に案内し、先夜私を大いにあわてさせた例の長椅子にかけるようにと云った。私も今度は慎重に腰をおろしたから、以前のような醜態は演じなかった。彼女も私の傍に坐った。

他の遊星から来た大型機を再び訪れた私は、友達づきあいのような気軽な調子で、長いあいだ機長と話し合った。

「またやって来たので、驚きましたか?」と始めに彼女が云った。

「いや、それはどでもありません。前にまた来るとおっしゃいましたから」

「お仕事があなたに合っているようですね。この間よりもお太りになったようですわ」

私は黙っていたが、ほんの数ポンドふえたことに気がつくとは、彼女の目も随分鋭いなと心中に思った。今夜も外部の音響は全然聞こえないが、それでも私は、どこかで何か動いているような気がした。機長の机の後にある金属の隔壁のむこう側らしいが、べつに扉も何も認められない。興味をおぼえたが、機長が話し続けていたので口には出さなかった。

この8月4日の再会では随分多くの話をした。彼女の話すところでは、彼らの生活も地球人とよく似ているとのことだった。私も沢山の質問をした。

「あなたの遊星からここへいらっしゃるのに一番大きな問題になるのは、どんなことですか?」知りたいの?とでもいうように彼女はいたずらっぼく笑ったが、返事はしなかった。

先方が聞かれたくないことを聞いたので、しまったと思った私はそれを隠そうとして話し続けた。彼女の遊星での品物の値段とか、品質とか、愛する家族とか、その他生活態度などについてたずねてみた。仕事や娯楽、悩みなども聞いた。"悩み"と聞くと彼女は私をさえぎった。

「地球でいう悩みとか心配事とかは、私たちの家庭にはないのですよ」彼女は例の歌うような調子の高い声で云う。「私たちには、病気、医者、看護婦などもありません。地球には職エや労働者がいますわね。そういったものは私たちの国なら悩みを意味することになります。おわかりでしょう。そういう言葉はみなタブーなんですわ」

私はダム、湖、河川などの話をした。まだ見ていらっしゃらないのなら、地球の自動車、飛行機、都市、農園なども面白いですよ、とも云った。

彼女は答えた。「そういうものを買おうと思えば私だって買えるのですよ。でも買ってもみなあなた方にお返ししますわ」

「私たちの陸海空軍、それに海兵隊などもごらんになったことがありますか?」

「それらが集まるときにはいつでも見ます」と彼女は可愛いらしい頭を振って微笑しながら答えた。

今度は私も真面目に原子力やその平和利用などの話をすると、彼女は答えた。「それは正しい方向への進歩ですわ。でも非常に小さな進歩よ」

政治だの税金だのの話をして、お国にもそんなものがあるのかと問うと、彼女は首を振ったが、すぐつけ加えた。「そういうもののために、あなた方の地球は分裂してしまったのですわ」

選挙や投票のことを話すと、彼女は笑って肩をすくめた。「そんなに政治家が大勢いたのでは、選挙ということもほとんど無意味みたいですわね」

だが、私が顔をしかめるのを見て、彼女はいそいで云った。「でも将来の見通しは明るいわけね」 

彼女は話題を変えて、彼らの花や動物の話をしてくれた。織物や色は地球と大変に違っているが、私たちが見ても好きになるだろうとも云った。

世界情勢や青少年の犯罪の問題にふれると、彼女は首を振って低い声で云った。「悲しいことですわ。クラリオンではそんな心配がなくて有難いことです」私はびっくりして彼女を見つめた。心配事はないと彼女はいうのだ。クラリオンとは何という素晴らしいところだろう。

またしばらく話が続いて、彼女は詩を朗読するような口調で2、3の質問に答えてくれた。

「私たちの最大の問題についてご質問なさったけど、さっきからどんなふうに説明すればよくおわかりになるかしらと考えていましたのよ。いうまでもなく、それは磁力の制御法を知ることだったのです。もちろん正・反ともにですわ。おわかりでしょうが、私たちはもうその問題は解決しました。でなければ今夜ここに来ることなどできませんわ」

彼女の声は、私が今までに話した誰よりもこころもち高い調子だったが、べつに不愉快な感じはしなかった。実のところ私はその声が好きだ。わざと気どったのではなく、私のためにそんな声を出したのだと思う。彼女の話し方はいつもそんなふうだからだ。

今度は、この前お会いした場所とは違った所に着陸しましたね、と私が云うと、彼女は次のように答えた。「私たちは誰にも迷惑にならない、都合のよい場所を選びますわ」

広々とした平坦なモルモン台地と周囲の沢山の丘陵は理想的な着陸地点だと彼女は強調した。一方に丘があってくれれば垂直にも離陸出来るし、必要とあればどんな角度でも上昇できて便利なのだなと私は考えついた。

30分ばかり円盤のなかにいたが、やがて彼女は時間が来た旨を告げたので、私は立上った。地面に降りるとすぐ宇宙船は見えなくなってしまった。

1つだけ確かなことがある。今までは考えもしなかったのだが、この大型機は時計をメチャメチャにしてしまうのだ。最初の円盤訪問以来、私の懐中時計は完全に狂ってしまっていた。先ず止まる、それで時間を合わせてネジを巻く、しばらくたって見ると、やはりもとのままの状態である。まるで歯車がこわれてしまったかのようである。ホワイティーの奥さんが町に行ったとき新品を1個買ってきてもらったのだが、今夜はそれを身につけていた。円盤が出発したあとで時刻を見るために時計をひっぱり出してみると、また同じことが起っていた。

私は愚鈍な男だから、時計屋へ持って行って磁性を除去してもらうことに気がつかなかったのである。実は、私は時計が磁性を帯びるということを聞いたこともなかったし、だからそれについては何も知らなかったのだ。たとえ知っでいたにしても、そんなことが故障の原因になるとは考えもしなかったのである。

だから私はなぜ時計が狂ったかわからぬままに、子供たちの玩具にくれてやってしまったので、今調べようとしても手遅れである。だが故障が円盤のなかにある何かのせいだとは気がついたから、また新品を求めたけれども、それ以後の円盤訪問には持って行かないことにした。

さて、私はこわれた時計をポケットに突込むと、のろのろと歩いてトラックに乗込んだ。ゆっくり走らせながら仕事場に帰って来た。勝誇った気持だった。私は再び円盤を見て、宇宙人に会ったのだ。夢でも幻覚でもなく、想像の産物でもないのだ。早く帰ってホワイティーに知らせてやろうと、私はうずうずしていた。

太陽が地平線上に昇るにつれて、闇は、西の方、紫色の山脈の彼方に退き、束の空は赤く燃えて輝き始めていた。今日も暑いぞと思うと、もう熱気を感じるような気がした。仕事場に帰る途中、目に入るものは焼けただれた砂漠の黄色い砂と、すでに熱気にふるえ始めた、ひからびた潅木だけである。

日勤者が勤務についたばかりの仕事場に車を乗入れると、ホワイティーが近づいて来た。

「いやに興奮してるな」と彼が呼びかけた。「また円盤を見たのかい?」「同じものを見たんです」と私は一生懸命だ。「また乗せてもらって、女の機長と話をしたんですよ」

「その女の名は何というんだい?」ホワイティーは私をからかうように流し目で見た。

 それを聞くと私はギグリとした。「しまった!」私はどもりながら答えた。「先方も云わなかったし、私も聞くのを忘れてました。それに―ええい、ちきしょう―こちらの名前を云うのも忘れたらしいです」

ホワイティーは低く笑った。

「フーン」と彼はうなった。「じや、おたがいに正式な紹介はすんでいないんだな」

2人とも笑って仕事場の方へ歩き出した。中へ入るとホワイティーはこちらを向いて、試みるような調子でたずねた。「なあ、トゥルー、このことをみんな奥さんに知らせてやったのかい?」

私は彼を見て顔を赤らめた。そして首を振りながら答えた。「いえ、まだなんです。夢でも見たんだろうと思いはしないかと、それが心配でね。私が望むことは、家内をこちらへ呼び寄せて、よくわかってくれるようにくわしく説明することなんですよ。それに、また円盤が着陸するようなことでもあれば、家内も自分の目で見れるように、夜勤のトラックで一緒に連れて行ってやりたいんです。そうすれば証拠にも……」

するとホワイティーは私の背中をどやしつけて口をいれた。「そうだ、トゥルー。ぜひそうするんだな。そうすれば何かの証拠になるだろう」

行きつけの料理店に行く途中も、自分の部屋に帰って着替えをし、寝台に入ってからも、私は家内に知らせてやることばかり考えていた。

そんな考えごとで、なかなか眠れなかった。手紙だけでは円盤や宇宙人の話が事実だということを家内はとても信じないだろう。唯一の解決法は、私がもののはずみでホワイティーに口をすべらせたようなやり方だけだ。ひとつ家内に手紙を書き、なだめすかして、砂漠まで来させずばなるまい。彼女がこちらへ来さえすれば、あとは多分簡単に打明けられるだろう……。

暑苦しいベッドの上でしきりに寝返りを打ちながら、何か手段を講じない限りはとても自分の心は安まるまいと考えていた。そこでまたごそごそと起き出して、一心に手紙を書き始め、こちらへ来て私と一緒に数日を過ごしてくれ、などとしたためた。

書き終ると手紙をたたみ、封筒に入れて封をし、表書きを書いて切手をはると、また私は体を寝台に投げ出し、今度はすぐにぐっすりと眠り込んでしまった。夕方仕事に出かける前に投函することにしよう。

第4章 機長アウラ・レインズの予言へ続く

home artcles letters pictures ufo bbs お問い合わせ link