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新アダムスキー全集

 ├ 写 真
中央アート出版社
TEL : 03-3561-7017
E-mail :info@chuoart.co.jp
 『慈悲』は法則を完成させる 第1話

日本GAPニューズレター 第54号 より

ジョージ・アダムスキー問題のプロモーションを始めてから20年近くの才月が経過しました。 その間UFOの分野においてさまざまの体験をし、多数の人と接触して意見を聞き、すばらしい情報に接しては胸を躍らせて、疲労の極に達しながらも頑張り抜いてきた私が痛感しますのは、「事実は小説よりも奇なり」ということです。

やせさらばえていた若い頃の私の魂をとらえたヘルマン・ヘッセの作品群はもう遠い彼方へ消え去ってしまい、フィクションの世界は私にとって第二義的なものになってしまいました。言葉の遊興と空想とに陶酔しながら盲目的な生への執着だけで生きている世界のファセット(一面)と、驚くべき事実がだれも知らぬ問に行なわれている別なファセットとの大きな相違こそーそのようなものがあるとすれば一人間の覚醒をうながす最大の要因であると思われます。

魚が空気の存在を知るには水中から飛び出る必要があるのと同様に、人間が何かの事実を知ろうとすれば盲目の世界を脱出することが先決問題で、自分の小さなカラの中にこもっていては物事の真実をつかむことは不可能です。 そのカラの中でとなえられているお題目が権威ある言葉であるような錯覚を起こしやすいのがこの世界の人間です。

しかしアダムスキー支持者といえども、すべての人が宇宙の法則に従った生き方をしているわけではありません。 ここにも言葉による陶酔があります。

一体に言葉とはある理念の象徴にすぎず、言葉そのものが実体ではありません。 言葉と法則は異なるのであって、その相違を認識してかかる必要があります。 なぜなら真理の言葉を百万だらとなえても、ただとなえるだけでは自身に何の変化も起こらないからです。

これでわかるように、法則の存在を感知するのは言葉を超えたフィーリング要素の働きであるのであって、言葉のラ列による論理そのものが感知するのではありません。 この点、西洋哲学は論理の遊戯であり、ある意味ではプラトンを一歩も出ていませんが、東洋哲学は人間の感受力の開発に主体をおいているといえます。

ア氏の哲学が古代印度哲学に似ているのは当然のことながら人間の感受力開発を主眼目にしているからです。 クリシュナムルティーも結局感受力を開発して内奥のインスビレーションに従う生き方を説いているにすぎません。 本質的にはア氏のそれと同じです。 ただア氏の方はその方法を具体的に解説しており、現代人には最適です。

テレパシーの意義

近年、超能力ブームといわれるほどこの方面に対して関心が高まっています。 約20年前に私がア氏の「テレパシー」を世に紹介した頃からみれば隔世の感があります。 当時テレパシーといえば夢物語程度にしか思われずー今でも信じない人が多いのですがー私は少なからず嘲笑をあびたものでした。

しかし現在は主として若年層の人達がテレパシー、遠隔透視、予知などの超能力に興味を示しています。 これはたしかに好ましい傾向ですが、残念ながら超能力と宇宙の法則との関連までも考えないで、魔術的なショー程度にしか見ていません。 これはテレビの影響にもよると思いますが、とにかく、テレパシーは人間の本質の探求と不可分の関係にあることを悟らなければ、少々開発できても生活に生かすことができず、むしろ増上慢におちいったりして逆効果をまねくおそれがあります。

大体、真の超能力を持つすぐれた人は社会の表面に出ようとはしません。 なぜなら、いわゆる超能力なるものは自分個人の力ではなく、自身の内奥に宿る"至上なる英知"から来るものであり、金もうけに濫用すればその能力が減退し、やたらと他人の業苦を除けば超能力者自身が相手のカルマを幾分か吸収するようになるという事実を能力者が心得ているからです。 そうした人はひそかに社会を救う活動を行なっており、テレビの見世物になったりはしません。 もっとも、本物の超能力者がテレビに出演することもあり、それはそれなりに人間に潜在する偉大な能力の可能性について考えさせますけれども、宇宙の法則と人間の生き方まで示唆することはなく、所詮ショーで終わってしまいます。

テレパシーはショーではなく、宇宙の法則に従って生きることを他人に伝えるための必然的な手段であるはずです。

自然の法則に従って生きている動物が人間など足もとに寄れないほどのテレパシックな能力を持っているように(白揚社刊・ガディス夫妻著「動物たちの不思議な世界」に豊富な実例が出ている。 定価950円)、人間がテレパシー能力を身につけるのも法則に従ったバランスのとれた不安のない世界を出現させるのに必要なのであって、魔術を演じて人を驚かせるためであってはならないはずです。 万人がテレパシーを駆使できるような社会は価値観がまるで違うでしょうが、そのような理想世界の実現はほど遠いにしても、法則に従った生き方を基盤として自己訓練を行なった結果開発されるテレパシー能力は、少なくとも本人にとっては絶大な武器となるでしょう。

盲目的な判断力だけでーつまり普通の思考力だけで一生き抜くにはこの地球があまりにも危険な世界であるからです。 天災、戦争等が果てしもなく続くこの世界で確実に生き延びてゆくためには、どうしても内部から来るインスビレーションに頼らざるを得なくなってきます。 政府は必ずしも国民の生活を保証はせず、職場でいつ不測の事態が発生するやも知れず、いつどこで天変地異が起こるかわかったものではありません。 しかるに人間の思考力は、地震や火事を事前に感知していち早く安全な場所へ退避するネズミ一匹の予知力にはるかに及ばないのです。

インスビレーションというものを全く無視してセンスマインドだけで判断している人間にとって、これは当然のことです。 こうして大衆催眠という現象が起こり、デマに左右されやすく、ちょっと物不足になればたちまち大騒ぎになります。 これは、この世界で可視的なタッチャプルな(触知できる)"物"だけが人間のサポーター(支え手)となってしまい、不可視なものを感覚的にキャッチできなくなったからだといえます。

重要なのは言葉による理論の遊びではなく、フィーリング(感知力または実感)であり、内部からわき起こるインスピレーションのキャッチです。 人体を形成する細胞がすでに英知ある実体であり、測り知れぬ情報を持っていることは近代の分子生物学で実証されつつあります。 けだしセンスマインドを内部のソウルマインドと一体化させよというア氏の説は漠然とした抽象的な表現であるにしても、インスビレーションを引き出すための重大なキイであるように思われます。

とにかくテレパシー開発の自己訓練法はア氏著「テレパシー」に詳述してありますから、それを参考にされるようおすすめします。 日本GAPでは毎月東京で行なう月例研究会で約30分ESPカードを使用してテレパシーの練習を行なっています。 これは全くの基礎的段階にすぎませんが、四の五のと討論ばかりやるよりも手っとり早く実行″する方が有益であるという見地にもとづいて今年1月の例会から始めたもので、少しずつ成果をあげています。

地方在住の会員の力もESPカードまたはトランプのカードを使用して、ぜひテレパシーの基礎訓練を始めて下さい。 忍耐強く続ければ必ず効果があります。 人間の体は超精密な受信機ですから、練習さえすればだれでもある程度は開発できるはずです。 やらないで理屈をこねていても始まりません。 自動車の運転能力はだれにも潜在していますが、自分はだめだと思ってやらないでいると、いつまでも運転できません。 これと同様です。

>>第2話

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